|
「・・・セン・・・パイ・・・イ・・チハ・・・先輩・・・壱羽先輩!」
その言葉にイチハは慌てて瞳を開いた。
イチハの瞳には一人の女子学生の姿。
その姿を見つめ、イチハは安心したかのように微笑みを浮かべる。
「・・・あぁ、なんだ。ヒカリくんか」
「・・・なんだ、って何ですか。・・・学生会会長が学生会室の会長席で気持ちよさそうに居眠り
しているところをコッソリ起こしてあげたんですよ」
スラリと伸びた手足。
短い黒髪。
見るからに活発そうな少女は、大きな黒い瞳でイチハをじっと見つめる。
「ゴメンゴメン、悪かった。助かったよ。副会長さん」
焦ったように答えるイチハにヒカリはニッコリと微笑んだ。
「もう他の学生達は帰宅しました。私も書類が片づいたので帰ります。壱羽先輩も帰りますか?」
「そうだね・・・でも、もう少し残っていくよ。居眠りしてて今日中に片づけなきゃいけない書類が
残っているんだ」
「・・・そうですか。・・・じゃあ、先に帰りますね」
ヒカリはカバンを手に学生会室の扉を開く、そして、何かを思い出したかの様に振り向いた。
「先輩。最近、学生会長の顔色が悪いって噂になっていますよ。・・・何か心配事があるよう
でしたら話してください・・・力になれないかもしれないけど・・・」
その言葉にイチハは優しく微笑む。
「・・・・ありがとう。でも、僕は大丈夫だよ」
ヒカリは心配そうにイチハを見つめ、笑みを浮かべる。
「・・・先輩も早く帰ってくださいね。お疲れ様でした」
「ごくろうさま」
学生会室の扉がゆっくりと閉まる。
ヒカリの遠退いていく足音を聞きながら、イチハはゆっくりと呟いた。
「僕は・・・大丈夫だよ」
|