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誰もいなくなった校舎。
窓から見えるグラウンドにも人の姿は見えない。
外からは秋の虫たちの鳴き声が聞こえてくる。
イチハは残っていた最後の書類をゆっくりと閉じた。
「・・・そろそろ時間だね・・・」
イチハは学生会室の扉を開く。
そして、暗闇に続く廊下をじっと見つめた。
誰もいない廊下。
誰もいないハズの廊下。
イチハの瞳には次第に人の姿が映る。
暗闇に浮かぶ白い人の形をしたモノ達。
うずくまる少年。
微かに輪郭を保つ少女。
輪郭すら無くした白い影。
この世の人間とは明らかに異なる姿。
「・・・また増えてる・・・」
イチハは近づいてきた白い影にそっと手をかざした。
影は次第に人間の形を作り、青年の姿へ形を変えていく。
「心からの安息と安眠を」
青年は安らかな笑みを浮かべ、空へと還っていく。
「・・・さようなら」
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