□ scene9 □


黄昏の空
太陽は姿を消し、残り少ない夕焼けが桜の花びらをうっすらと染めている。

その中、守野春奈が長い黒髪を優しい風に靡かせながら佇んでいた。
「・・・・な・・か・・・たに・・・セン・・・パイ・・・」

「彼は来ない」

その言葉に守野春奈は振り向く。
そこには日下部と清瀬が佇んでいた。

「彼は来ない。正確には来ることが出来ない」

日下部の言葉に桜の花がザワザワと騒ぐ。

「・・・そんなはずは無いっ、中谷先輩は来てくれるって約束してくれたのよっ」
「中谷駿二はあなたと同じ日に亡くなりました。多分、あなたに会いに来る途中で」
「嘘よっ、そんな嘘、私はダマされないわっっ!!」

守野の黒髪が風で舞い上がる。
次の瞬間、強い風が再び日下部達に襲いかかった。
「イチハっ!」
日下部の前にイチハが突然現れる。
イチハの広げた両手に風は阻まれそれ以上届く事が出来ない。


少し離れた場所で二人の姿を見つめていた沢村は夕凪に向かい呟く。
「夕凪くん。二人だけで大丈夫なの?」
「さぁ、どうかな」
「さぁって、二人を助けに行かないとっ」
「僕は先生を護る事が今回の任務だから・・・それに、先生があそこへ行っても何も出来ない」
夕凪の冷たい視線にグッと拳を握る。

「でも、僕は一応・・・君たちの先生だっ!」

沢村は日下部達に向かって走り出す。
夕凪は少しだけ驚いた表情を見せたが、口元に少しだけ笑みを浮かべ、沢村を追って走り出した。

 

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