|
コンクール当日
美津留の優しく楽しそうな演奏がホールの中に響く。
そして、大きな喝采が起きた。
ステージの上には沢山の花束とトロフィーを持つ美津留の姿。
満面の笑みを浮かべる美津留に、渚は嬉しそうに笑みを浮かべた。
「沢村先生。助かりました。先生達がいなければ今頃美津留はどうなっていたか・・・」
「僕は何もしていないですよ。お礼は日下部くん達に言ってあげてください」
沢村は嬉しそうに拍手を送る日下部達に目を向ける。
「ここにイチハも来られれば良かったんだけど・・・」
その言葉に渚は少しだけ寂しげに微笑む。
「イチハは大丈夫ですか?」
「・・・そうだね。とりあえず表面上はいつものイチハに戻っているけど、時々何かを考えるように窓の外を
見つめたり、話しかけても気付いてくれない時もある・・・あの日、夏目くんを導いてから様子がおかしい。
日下部くん達に理由を聞いても教えてくれないし・・・」
「・・・先生は理由を知らないのですね」
「日暮さんは知っているの?」
渚は沢村を見つめ、ゆっくりと呟く。
「先生は何故イチハは学生会室に存在しているのか、何故イチハの意志に沿って学生会が特殊な活動を
しているのか不思議に思った事はありませんか?・・・その原因を知ればきっと分かると思います。
・・・その先は先生が見つけてください」
沢村は渚の言葉に言葉をなくす。
その姿を日下部はそっと見つめていた。
|