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ザワザワ。
ザワザワザワザワ。
沢村は周りからくる強い視線を感じながら、うつむき加減に廊下を歩いていた。
「・・・なんか、いつも以上に視線を感じる・・・」
その沢村の言葉に、隣を平行して歩く清瀬が囁く。
「渚先輩の人気は絶大だからね。・・・それに今回は沢村先生も一緒だし」
「・・・どういう事?」
沢村の問いに清瀬はにっこりと微笑む。
「まぁ、そのうち慣れるよ」
「・・・???」
「彼女を呼んでくるわ。ちょっと待っていて」
3年生の教室が並ぶ校舎の奥にあるAクラス
渚はそのクラスの中へ入っていき、一人の学生の腕を引きながら現れた。
「彼女、美津留よ」
渚と同じように長い黒髪の生徒。
ただ、二人の印象は全く異なり、渚が凛とした美しさであれば、彼女は幼ささえ残る柔らかな雰囲気を持っていた。
優しく微笑む美津留からは霊が取り憑いているとは思えない。
「渚?」
美津留は目の前にいる日下部達を見ながら不思議そうに首を傾げる。
「この前学生会に遊びに行ったら、ピアノコンクールに出る美津留の話題になってね、どんな子なのかって」
その言葉に日下部がスッと美津留に近づいた。
「すみません。突然」
日下部の視線と美津留の視線が交差する。
その瞬間、美津留の背後に重なるように黒く蠢く影が見える。
「・・・・何? あれ?」
美津留の姿を見つめ、沢村は小さな声で呟く。
その隣にいる夕凪が沢村と同じように小さく答えた。
「美津留先輩に取り憑いた霊。雪哉の力に影響されて影が見える」
「・・・? 日下部くんの力?」
夕凪は沢村の言葉にゆっくりと頷いた。
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