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その言葉に反発するかの様に、人型の白い影から突風の様な風が吹き荒れる。
「先生っ」
次の瞬間、沢村の前には夕凪が佇み、左手を体の前へかざす。
夕凪の手の平から空気の壁が生まれ、突風から沢村達を守っている。
「ありがとう、夕凪くん」
沢村は再び視線を人型の白い影に向ける。
「君の話を聞きたいんだ」
その言葉に白い影が揺らめく。
「・・・・・う・・・」
空気へ紛れてしまいそうな儚い声で白い影は呟いた。
「・・・・う、うぅ・・・・・」
白い影は次第に人間の形を作り、揺らめきが残る男性の姿になった。
その姿を見つめ、沢村は少しだけ安堵の表情を浮かべた。
「・・・うぅ・・ぼ、ぼくは」
男性は頭を抱えるように俯きながら、ゆっくりと話し出した。
「ぼ、僕は・・・高校生達が楽しそうにサッカーをやっているのが羨ましかった。
いつも・・・見ているしか出来なかった・・・から。
ある日、僕の体が急に軽くなって・・・自由になった。
・・・だからサッカーも出来るんじゃないかと思って学校へ来たけれど・・・学校には誰もいない。
・・・生徒も先生達も、・・・学校にいるのはサッカーボールを追いかけている子猫だけ。
・・・でもボールを追いかけている姿がすごく楽しそうで。
・・・だから、突然現れた君たちが子猫を虐めようとしたから」
沢村はゆっくりと男性に一つの疑問を呟く。
「・・・・君は気づいていないの? 亡くなっている事を」
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