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「・・・何で・・・跳ねているんだ?」
ボンッボンッ・・・ボンッ
次の瞬間、沢村は言葉を失い立ちつくした。
転々と近づいてくるサッカーボールのすぐ後ろに白い影のようなモノがボールにじゃれるように追いかけてきている。
「・・・・な、何だよ」
立ちつくす沢村に白い影は気が付いたかの様に立ち止まった。
そして、サッカーボールも同じように動きを止める。
ポンッ
再び、ボールが転がり始め、白い影がサッカーボールを追いかけてくる。
「ちょ、ちょっと待った。僕は見えるだけで何も出来ないよ」
沢村は少しずつ後ろへ下がっていく。
追いかけるように近づいてくるボールと白い影。
「・・・・ど、どうすれば良いんだ・・・」
その言葉に沢村の耳元で、誰かの囁くような声が聞こえた。
「・・・僕・・・を・・んで・・・」
「え?何て言ったの?」
白い影は沢村に興味を持ったらしく、沢村へ近づいていく。
「僕・・・・を呼んで・・・やく」
「何?良く聞こえないんだっ」
「・・・・僕を呼んでっ、僕の名前を呼んでっっ、先生っ!」
白い影は沢村の目の前にいる。
突然白い影の手らしきものが動いた。
沢村の腕に痛みが走る。
「・・・来てくれっ、イチハっっ!!」
囁き声の主の名前を叫ぶ。
次の瞬間、イチハは沢村と白い影の間に突然現れ、白い影に手をかざした。
「この人は僕たちの大切な人なんだ。危害を加える事は許さないよ」
白い影はイチハと暫く間対峙していたが、フッと空気に紛れるように消え、サッカーボールもなにも無かったように沢村の近くで止まっていた。
「大丈夫ですか? 先生」
体育館の扉の近くから大きな声が聞こえる。
それと同時に体育館に灯りが灯る。
沢村はゆっくりと振り向いた。
そこには、学生会会長の日下部雪哉、副会長の夕凪朔弥が佇んでいた。
「・・・あぁ、何とか大丈夫。イチハが助けてくれたから」
沢村は痛みが走った腕を押さえながら力無く座り込んでいた体をゆっくりと起こした。
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