□ scene16 □


神矢はカメラのシャッターの音を聞き、教会の外へ飛び出した。
しかし、音がした場所にはカメラマンの姿はすでに無く、周りの雑木林を探しても見つける事は
出来なかった。
神矢はため息をつきながら、教会へ戻る。

「ユキ?」

教会の扉にはシスターと話をしているユキの姿が見える。
ユキは教会へ近づく神矢の姿を見つけ、小さく手を挙げた。

「神矢」
「ユキ、良いのか?」
「うん。もう大丈夫」

神矢はユキの頬に手を差し伸べた。
ユキは安らいだ微笑みを浮かべる。

「そっか。良かった」

神矢は嬉しそうにユキを抱きしめた。

「こらこら、こんな所で抱きしめたりして。来週の週刊誌もトップを飾る事になるよ。神矢」

その言葉に神矢とユキは声の方へ視線を向けた。
そこには笑みを浮かべるミヅキの姿があった。

「僕達も東京にいる気分になれなくて」
「達? って事はヒサトも?」
「今頃彼を捕まえているんじゃない?」
「・・・彼?」

その時、雑木林の方からヒサトと男性が現れた。
男性の首からは大きな望遠が付いたカメラがかけられている。
ヒサトは男性の腕をしっかりの掴み、男性は逃げ出すことも出来ない。

「あぁ! こいつ!」

神矢は男性に向かい勢い良く歩き、男性のカメラの中からフィルムを取り出す。
「悪いけど、こいつはこっちで処分させて貰う」

男性はその言葉にニヤリと笑みを浮かべた。
「いいさ、また良い写真を撮ればいいだけの事さ」

その言葉に腕を掴んでいたヒサトの手に力が入る。
「・・・こいつ殴っちゃってもいい?」

その言葉にミヅキが答えた。
「ヒサト、そんな事したら彼の思う壺だよ。それよりも」
ミヅキは神矢の少し後ろにいたユキを見つめる。
「ユキ、彼をどうしたい? このまま訴える事も出来るけど」

ユキはしばらく考えていたが、ゆっくりと男性に近づいた。
「・・・何もする気は無い。ヒサトもう離してやって」
「え? 良いのか?」

ユキはヒサトの言葉ににっこりと頷いた。
「あぁ、良いんだ」

男性はヒサトから腕を解き、捕まれていた腕をさする。
「腕をきつく捕まれちゃ、次の仕事に支障が出そうだよ。仕事無くなったら君たちの事
 書いてもいいかな?」
男性は4人に向けてカメラを構えながらニヤリと笑う。

「仁志田秀雄さん、でしたよね」

ミヅキの言葉に男性はカメラを構えるのを止める。
「悪いけど調べさせて頂きました。貴方も僕たちの事いろいろ調べているはずですよね。
 でしたら知ってますよね。僕の祖父の事」
ミヅキはニッコリと笑みを浮かべながら話を続けた。

「祖父にこの事を話したら、かなりお怒りでした。・・・その意味、分かりますよね」

 

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