|
玄関の鍵を開けて家の中に入る。
『・・・ポローン』
神矢はピアノの音色に誘われるようにグランドピアノのある部屋へ入る。
カーテン越しの淡く白い光が部屋を儚く照らす。
そこには寂しげに鍵盤を見つめるユキの姿があった。
「・・・ユキ」
その言葉にユキはゆっくりと振り向いた。
そして、微かに笑みを浮かべる。
「お帰り、神矢。今・・・曲が浮かんだんだ」
神矢は床へ視線を移す。
そこには五線譜が描かれた紙が辺り一面に散らばっていた。
「・・・ユキっ」
辛そうに微笑むユキを神矢は優しく抱きしめる。
「・・・神・・矢?」
「ユキ、辛い時は無理して笑わなくていい。・・・泣いていいんだぞ」
神矢の言葉にユキは神矢を強く抱きしめた。
|