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神矢とユキは海沿いを走る電車に揺られ、1時間程が経過していた。
ユキは深くニットの帽子を被り、窓際のシートに座り海を見つめていた。
神矢はユキを人の目から隠すようにユキの隣に座り、ユキと同じように海を見つめている。
二人の瞳に晴れ渡る空と太陽の光にキラキラと輝く海が見える。

「・・・まぶしぃ」

ユキは流れる景色を眩しそうに見つめていたが、一瞬何かを思い出しそうな感覚に襲われる。

「・・・この・・・景色・・・」
「どうした?ユキ」
「・・・なんか、懐かしい・・・気がする」

その言葉に神矢は優しく微笑む。
そして、電車の進む先に見える岬の方に指した。

「あの岬の先端、そこにある建物がユキの母親が生活をしていた場所」

ユキは神矢が指さす岬を見つめる。

「・・・教会?」

海に迫り出した様な崖の上は豊かな緑に覆われ、その中に緑に囲まれた白い建物が見える。
その白い建物には太陽の光を浴びて輝く十字架が見えた。

 

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