|
「・・・あれで今日何回目?」
「・・・5回。帽子被ったって全く意味がない」
ユキが溜息混じりにニット帽を脱ぐ。
黒い髪がサラサラと揺れる。
「コンビニ行くのにも命がけねぇ」
その優しい女性の声にメンバー全員が振り向いた。
「櫻子さんっ」
ベージュ色のスーツを身に纏った女性は、A4サイズの大きなバックを片手に
にっこりと微笑んだ。
「でも、私でもユキちゃんが一人で歩いていたら声かけちゃうかも」
「・・・ダメですよ。ユキは俺達の大切なボーカルなんだから」
「なんだか妬けちゃうわね〜」
「何言っているんですか、勿論櫻子さんの事も大好きですよ」
神矢の言葉に櫻子は嬉しそうに微笑んだ。
「あら、アリガト。今回の特集記事、1ページ追加しちゃうわ」
櫻子は眼鏡をかけながら、ボールペンを片手に資料に目を通す。
そして、メンバー達の顔を見渡し、にっこりと笑みを浮かべた。
「では、始めましょうか」
櫻子は小型のレコーダのスイッチをONにする。
そして、一呼吸開けてからゆっくりと話し出した。
『今回の特集ではファンから沢山届いている疑問をメンバーの方々に
真っ正面からぶつけてみます。覚悟は宜しいですか?』
「はい、受けて立つよ」
ヒサトの言葉に櫻子はにっこりと微笑んだ。
『では、宜しくお願いします』
|