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ユキの澄んだ甘い声がスピーカーを通して響き渡る。
スピーディな旋律にもけして負けない遠くまで通る声に
snow jewelを初めて聞く観客達の心を掴んでいく。
ユキはサングラス越しに見える観客の反応に、神矢へ満足げに笑みを浮かべ、
神矢も応えるように笑みを浮かべる。
「あれが、ナオが選んだ声かよ」
ステージ横で聞いていたミキヤが不満そうにミヅキ達へ呟く。
「ナオが選んだだけの事はあるよ。とて綺麗で通る声だ。しかも彼、音を一度も外してない。
それに・・・見て、初めて見た観客達すら虜にしている」
「ナオの言う通りだな。BLUE SPIRIT目当ての観客がsnow jewelへ流されている」
タオルを首にかけながら、ヒサトは笑みを浮かべる。
「落ちていく俺達と違って、きっと奴ら大きくなっていくぜ」
その言葉にミキヤはヒサトのTシャツを強引に掴む。
「俺は成功するっ、成功出来ないのはお前達に力が無いからだろっ!!」
「はぁ?もう一度言ってみろよっ!!」
「ミキヤっ、ヒサトっ。止めろよっ!」
ミヅキはヒサトのTシャツを掴んでいるミキヤの手を無理矢理に外す。
その時、観客から一段と大きく悲鳴のような歓声があがる。
「またね」
ユキの優しい言葉がマイクを通して響き渡る。
ステージへ必死に手を延ばしている観客達に小さく手を振りながらユキと神矢は
ミヅキ達のいるステージの横へと戻り始めている。
その姿を見つめながら、ミヅキは意を決した様に話し出した。
「・・・BLUE SPIRITがここまで大きくなったのは自分の力だと思っているなら、
大きな間違えだよ。ミキヤ。
・・・ナオが去ってからBLUE SPIRITのファンがどれだけ動揺していたのか知っている?
僕とヒサトはナオと造り上げたBLUE SPIRITを残したい思ってやって来ていたけど、
・・・もう限界」
ミヅキは少しだけ間を開け、ゆっくりと言葉を口にした。
「・・・BLUE SPIRITは今日限りで解散しよう」
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