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「・・・神矢。・・・神様はいると思う?」
ユキの突然の言葉に神矢は言葉を失うが、ユキの淋しそうな瞳にゆっくりと呟いた。
「神様?・・・どうかな。もし、いたとしても神様は気まぐれだから、
きっと俺達の事なんか見ちゃくれないんじゃないかな」
窓の外から優しい風が入り、ユキの髪を揺らす。
ユキは今にも消えてしまいそうに淋しげに笑みを浮かべた。
「俺はね、昔、いて欲しいと願った。・・・でも、いなかった。
・・・神様なんて最初からいなかったんだ・・・」
「・・・ユキ?」
ユキの脳裏に遠い日の記憶が蘇る。
手入れされた美しい庭。
月明かりの下、グランドピアノの優しい旋律。
風に揺れる真っ白な布。
グランドピアノの音色に導かれるように部屋へ入る幼い頃のユキ。
グランドピアノを奏でる男性の影。
聞こえてくるのはユキが口ずさむ旋律。
「・・・俺は奇蹟の宝石なんかじゃない。
俺は・・・そばにいてくれれば、それで良かったんだ」
ユキは聞こえてくる旋律に両手で耳を塞ぐ。
それでも聞こえてくるグランドピアノの音色。
ユキの脳裏には真っ白に辺りを覆い隠す雪が映る。
静かに降り続く雪に何もかもが消されていく。
その中を彷徨い歩くユキの姿。
辿り着いた白い世界のその先には白いシーツのベッド。
ベッドへ横たわるユキによく似た男性。
眠るように、横たわっている。
「・・・おい? ユキ、どうした?」
「・・・俺は・・俺は・・・俺は・・・・」
ユキは何かを小さく呟き続ける。
「おいっ!! ユキ、しっかりしろっ!!」
神矢はユキの両肩をしっかりと掴んだ。
その瞬間、ユキは神矢の胸へ倒れ込むように意識を失った。
「ユキっ!?」
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