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夜。
月の明かりが静かに世界を包む。
「・・・もう、夜か」
目が覚めたユキはゆっくりと体を起こした。
「・・・神・・矢?」
月明かりに照らされた部屋にベッドへ寄り掛かるように神矢の姿があった。
手には読みかけの音楽雑誌を開いたままの状態で置いてある。
ユキは朝と同じようにそっと神矢の頬に手を触れる。
指先に神矢の体温が伝わる。
ユキは安心したように微笑んだ。
そして、呟くように微かな声で歌を口ずさむ。
『A dear person.
・・・Even if the day of separation visits some day, ・・・you are shining forever.』
ユキが神矢の頬に触れていた手を離そうとした瞬間。
神矢の手がユキの手を絡め取る。
「奇蹟の宝石」
神矢の言葉にユキの体がビクリと反応する。
「エドワード・ライシュマン。
有名作曲家が唯一作詞した曲。若くして亡くなった日本人の妻へ捧げた
ラブソングだって言われているけど、本当はユキ、ユキへ捧げた歌だった」
神矢の指とユキの指が優しく絡み合う。
「ユキ、聞いてもいい?」
「・・・・。」
「寝ている俺の頬に触れるのはどうして?」
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