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数ヶ月後。
バンド「snow jewel(スノウジュエル)」
夜だけの条件で神矢とユキは活動を始めていた。
何年も人間と接していなかったユキは、初めのうちは神矢の側から離れず、
ぎこちなかったが、活動を初めてから数週間後には口コミで広がり集まった人々の
大きな輪の中でも平然と歌を口ずさんでいた。
夜に浮かび上がるような白い髪、白い肌。
サングラスで隠しているが時々見せる光の加減で赤く見える怪しげな大きな瞳。
そして甘く切ない歌声に人々は魅了され、
波紋が広がるように次々とsnow jewelの評判は広がっていった。
神矢は活動拠点がユキの家からの方が近いこともあり、何日も泊まり込む日々が続き、
自然とユキの家へ住み込むようになっていた。
「・・・あ。」
「何? 神矢」
ソファに座っている神矢の小さな驚きの声に、
ユキは濡れた髪をタオルで拭きながら姿を現した。
「あぁ。明日のライブの相手・・・お、おいっ? ユキ、その髪」
「うん? あぁ、いろいろ聞かれて面倒だから染めた」
ユキの白い髪は闇の様な黒髪へ染められていた。
黒い髪は白い肌を一層引き立て、蝋燭の炎を映した赤い瞳は妖艶な美しささえ漂わせている。
「黒も良く似合っているな」
神矢は反射的にユキの頭をくしゃくしゃと撫でる。
その神矢の態度にユキはイヤそうしているが、ユキの頬が微かに赤い。
「・・・。それより、さっきの」
「あ? あぁ。大した事じゃない。
・・・初めてのステージライブの相手が、元俺がいたバンドだったって事。
・・・皮肉だな」
「ふぅん。そう。・・・どんな奴らか楽しみだな」
ユキは黒くなった髪を掻き上げながら、瞳を細めた。
「さて、俺はもう寝るよ。ユキもちゃんと寝ておけよ」
「あぁ」
「たまにはソファじゃなくて、ちゃんとベッドで寝ろよ。
ちゃんと寝ないとステージでぶっ倒れるぞ」
その神矢の言葉にユキは少しだけ瞳を曇らせる。
「・・・わかってるよ」
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