□ scene9 □


「久しぶり。ナオ」

ステージ裏に立つ二人の前に
神矢の元バンド「BLUE SPIRIT(ブルースピリット)」のミヅキが声をかける。

「よう、久しぶり」
「彼が噂のユキ?」

ミヅキは神矢の後ろにサングラスをし隠れるように佇んでいたユキに
にっこりと笑みを浮かべる。
白い肌に黒い髪。グレイがかったサングラスをかけたユキは、
ミヅキに向かって小さく会釈をした。

「ストリートで話題になっているって聞いていたよ。
 すごく綺麗な声を出す綺麗なボーカルがいるって」
「あぁ、そっちはどうなんだ?」
「ミキヤ? ・・・いろいろ頑張ってみたんだけど、もう限界かな。
 ・・・ナオが抜けてから言い争いばかり。僕とヒサトも近いうちに・・・」

「ミヅキ、何やってんだよ。・・・あれ?ナオ?」

その言葉に全員が声の方へ視線を移す。
そこには、「BLUE SPIRIT」のボーカル、ミキヤの姿があった。

「今日からステージライブをする事になったんだ」
「ふーん。そう」

「神矢」

ユキの言い放つような言葉にミキヤの視線がユキに移る。

「あんたがナオとやっているボーカル? へぇ、そう」

ミキヤはユキを見下すように笑みを浮かべ見つめている。
神矢はその視線からユキを守るように、ユキの前へ出た。

ミキヤと神矢の視線が交差する。

「ナオ、そいつが理想のボーカル?」
「あぁ、ユキだよ」
「・・・ユキね。ナオの理想の声がどんなのか、楽しみにしているよ」

ミキヤは再び笑みを浮かべ歩き出した。
そして、ミヅキが後を追うように歩き出す。

「ミキヤ、俺はもうナオじゃない。カミヤだ。・・・それと・・・先に謝っておくよ」

その言葉にミキヤがゆっくりと振り向いた。

「何だよ。バンドを脱退したことか?」
「そんな事じゃない」

神矢は隣に並んだユキに視線を移し、再びミキヤへ視線を戻した。
そして、にっこりと笑いながら話を続ける。

「俺達の音楽で、BLUE SPIRITのファンを頂いていくよ」

その言葉にミキヤは振り向きもせず、右手を少しだけ上げて去って行った。

 

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