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広い通りを過ぎ、小路に入る。
人通りも少ない寂れた場所に綺羅の言う武器屋「シーラス」はあった。
店の中は至る所に剣や弓、防具の鎧や盾までもが所狭しと置いてあった。
「いらっしゃい」
その中から一人の髪の白い男が現れた。
三十代半ばの丸い眼鏡を掛けたその男は緑の瞳を細めにっこりと微笑む。
「何を探しているのだい?」
伏見がいくつも並んだ剣を見ながら呟いた。
「剣を・・・ブロードソードを探しているんだ」
伏見は男に青い瞳で見つめる。
「魔者とも戦えるような名剣をね」
男は何本かの剣を棚から下ろし、伏見に手渡した。
「名剣なら君たちの手の内にあるだろう。君の持つ青い宝石が付いたその剣、この聖国にも無い名剣だ。
宝石は・・・確か氷月と言われる氷の宝石」
伏見は男を見つめていたが、ふと、カウンターの奥にある埃にまみれた剣を見つけた。
「あの剣は?」
男は指差した先を少し見つめていたが、すぐに伏見を見つめる。
「あれは売り物じゃない。魔法効果もない普通の剣だよ。それよりも魔法効果のある剣の方が良いぞ。
氷の魔剣を持っているのだから、炎の力を持つ剣はどうだ?きっと役に立つぞ」
「いや、魔法は無くて良い。普通の剣で良い。魔法は魔術師の管轄だから、幸い私には強力な魔術師がついているからね」
男はにっこりと笑む伏見に押され、埃にまみれた剣を手渡した。
伏見は息を吹きかけ埃を払う。
すると、剣は光を反射し、剣の刃を収める鞘には細かな飾りがされていた。
伏見は左手で柄を握り、ゆっくりと剣を引き出す。
「これは・・・すごいな・・・」
伏見はため息を付くように呟いた。
左手に持つ剣は刃に、曇りや刃こぼれも無く銀色に輝いている。
「名だたる剣の造り手が一生に一度創れるかどうかの代物だ。それもこの造り手は小人族の名手。
もし、売ったとしても君たちには手の出せない金額だよ」
「どのくらいの金額なのですか?」
伏見の前にすっと出てきた綺羅に、武器屋の主人は掛けた眼鏡を外し不思議そうな顔をした。
「君・・・見たことのある顔だな・・・」
綺羅はにっこりと微笑んだ。
それを見ながら伏見は綺羅に耳打ちする。
「知り合いの武器屋じゃないのか?主人は覚えていないみたいだ」
「この姿ですし・・・何年も前の事ですからね」
主人は緑の瞳を伏せ、少し考えていたが綺羅を見つめにっこりと微笑んだ。
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