□ キャラル・スルー3 □


「君たちは旅をしてきた冒険者のようだ。それに四振りの剣「吹雪」のソードマスターであれば、腕も立つだろう。 そこでだ、私は明日ここから北にある都、風の都「イオス」に行かなければならない。 ここキャラル・スルーからイオスに行くにはユラン平原を行くか、ルノール山脈に開けられた洞窟「クルノ洞窟」を通りイオスへ抜けるか、どちらかだ。 勿論、クルノ洞窟を通り山脈を抜けた方がユラン平原を行くよりも二分の一、一日で行ける」
「その道中のガードをするって事?」
主人はゆっくり頷いた。
「洞窟を通り二日間でキャラル・スルーへ戻りたい。何日も店を閉じるわけにはいかないからね。ただし、クルノ洞窟は魔獣が住み着いているという噂があるんだ」

「・・・魔獣?」

「本当に居るかどうかも分からない魔獣だ。ただ、言えるのは洞窟を通って抜けた者はいないって事だけだ。どうだい?それでもガードしてくれるかい?」
伏見は少し困った顔をすると、綺羅と店の入り口に寄り掛かる螺夜を交互に見つめた。
「何事もなくキャラル・スルーへ帰ることが出来れば、その剣を売って頂けますね」
主人は緑の瞳を細め頷く。
「もちろんだ」
綺羅は螺夜の方へ振り向く。
「螺夜、私は伏見と共に主人とイオスへ行きます。螺夜はどうされますか?」
綺羅の言葉に驚いたように主人は口を挟む。
「おいおい、彼を置いていくのか?彼はどう見たって魔術師だ。それにランクの高い使い手だ。 その彼を置いていけるのか?吹雪のソードマスターはともかく、魔術師無しで大丈夫なのか?」
主人は綺羅をジッと見つめる。
その言葉に伏見が何かを言いかけようとしたとき、螺夜がそっと呟いた。
「街に残りやっかいな事に巻き込まれるよりは気楽そうだ」
綺羅は再び主人に向かい深い紫の瞳でにっこりと微笑んだ。
「お役に立てないかも知れませんが、私も含め三人でガードをします。今夜は近くの宿に泊まり、明日の早朝、こちらに参ります」
その紫の微笑みに、主人は圧倒されながら手に持っていた眼鏡をかけ直す。
「その紫の瞳、どこかで合っているはずなんだが」
綺羅は嬉しそうに瞳を細めた。

 

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