□ クルノ洞窟3 □


「魔物は倒したのですか?」
今まで岩の陰に隠れていた武器屋の主人は、綺羅達へ嬉しそうに近づく。
しかし、綺羅達は燃え上げる影をジッと見つめていた。
「まだ・・・だ」
螺夜は、燃え上がる大気に銀色の髪を紅に染めながらつぶやく。
「レイスはファイヤ・ボールだけでは死なない、影が剥がれ真の姿が見えて来るだけだ。 奴を倒すには今以上の炎の呪文を唱えるか、本体に直接攻撃をするしかない」
「ファイヤ・ボールは今のが精一杯です。あれ以上大きくすると、影を倒すより先にこの洞窟内の酸素を燃やし尽くしてしまいます」
綺羅は燃え上がる影を見つめた。
「伏見、月水華を影に突き刺して下さい。雷撃呪文で爆発させます」
「月水華をか?」
綺羅は紫の瞳でにっこりと微笑む。
「このままでは私達の方が危険ですからね」
「この剣を使って下さい」
急な言葉に三人は振り向いた。
そこには一本の剣を手にした武器屋の主人が立っている。
「雷を集める避雷針であれば、どんな剣でも良い。月水華を使用する必要はありません。・・・綺羅王子」
「・・・ばれてしまいましたか」
「綺羅、影が来るぞ」
螺夜の言葉に綺羅は向き直り、影を見つめる。そして、主人から受け渡された剣を伏見に手渡した。
「伏見、この剣でお願いします」
伏見はしっかりと頷き、綺羅達の一歩前へ歩み出た。
綺羅は再び詠唱へと入る。

「天空の雷よ、我が意志に従い天空の刃と化せ」

伏見は剣を左手に持ったまま、影に向かって大きく飛び上がり剣を投げた。
剣は銀の光を反射させながら、影の胸元へ突き刺さる。

「ライトニング ボルトッッ!!」

巨大な光の玉が綺羅の手の上に浮かび上がる。
そして、その日仮は洞窟を照らし、影に突き刺さる剣めがけ光の刃となって飛んだ。

「サモン エレメンタル 我は命ずる、南東の方角に住まいし眷属よ、南東の門(ゲート)より出よ、ヴァルト!」

螺夜の呟いた言葉のあとには、南東に巨大な門が生まれ、光溢れるその中から剣を横に携えた光り輝く男性の姿が現れ、影へ刺さっている剣に向かって刃を振り下ろした。
影は光の中で叫び声のような悲鳴を上げ土へ帰って行った。

 

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