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聖風宮の門、優しく吹き抜ける風に螺夜はその流れる銀の髪を掻き上げる。
「・・・螺夜の事、国王は誰と見間違えたのかな?」
伏見は黄金の髪を鬱陶しそうに片手でまとめながら呟いた。
「さあ・・・知らぬな」
伏見は再び螺夜に何かを言いかけようとしたとき、綺羅が割り込むように話し始める。
「さあ、身支度を整え、法の塔へ行きましょう。ここから法の塔までならば、ベアスに乗って、陽が落ちるまでにはつきますからね」
綺羅はにっこりと紫の瞳で微笑む。
「そうだな・・・行こうか」
綺羅達が宿屋の方へ足を運び掛けたとき、聖風宮の方から綺羅達を呼ぶ声がした。
「・・・あの声は葉柴・・・?」
振り向いた三人の後ろから、息を切らしながら走る葉柴の姿があった。
「どうしのですか?葉柴」
葉柴は白い髪を掻き上げながら、一枚の封筒を手渡した。
「これは・・・通行許可書と紹介状・・・?」
「サエル湖の南に位置する湖に囲まれた都メーロスの宮殿、湖樹殿の許可書です。国王陛下が言えなかった事を伝えます。
「冒険者達よ、湖の都メーロスの近くに小さな村がある。その海に面した村カラツがここ何ヶ月か連絡がない。メーロスから向かった者達も帰らない。
その村が今、どのようになっているのか状況を確認して欲しい」」
螺夜は氷のような瞳を細める。
「・・・それが、聖風宮へ呼んだ本当の理由か」
「確かにそれもありました。しかし、綺羅王子にお逢いしたかったのは事実です。
ディル・ウォーグの伏見王子に逢え、これ以上の余計な危険を避けるためにも言えなかったのでしょう。
しかし、私の知る冒険者達の中で、依頼できる人々は限られます。ハイクラスの冒険者ではないと依頼できない」
綺羅は葉柴の言葉を聞きながら、にっこりと笑みを浮かべた。
「お約束だったはずの剣の代金もお支払いしていない事ですし、葉柴にはこれからもお世話になるかもしれませんね」
「綺羅っっ、いいのか?」
止めようとする伏見を横目に綺羅は笑みを浮かべながら頷き返す。
「お約束しましょう」
「ありがとうございます。綺羅王子」
「螺夜がため息混じりに呟く。
「お優しい王子様だ」
伏見が螺夜の言葉ににっこりと微笑んだ。
「私達、共に旅をする相手を間違えたな」
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