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「師 伊里座(イリザ)に逢いに来たのですが」
「法の塔へは許可無く通す事は出来ません。お引き取りをお願いします」
綺羅達は法の塔の高い塀に囲まれた門で足止めをされ、入ることすら出来ない。
「折角、ここまで来たのに塀の中にも入れてくれないのか?」
「許可無く立ち入る事は何人たりと出来ません」
門番は冷たく伏見に言い放つ。
「とにかく、お通し出来ません。伊里座様にお逢いする場合は、
伊里座様の許可か塔の法で学んだ印。つまり、段階(ランク)の印を持つ者ではないと・・・」
綺羅はその言葉にはっとし聞き返す。
「・・・段階の印・・・ですか?」
「えぇ、首飾りです。この塔で法学を学べば、必ず印は受けられます。その印があれば、通すことが出来ます」
綺羅は、急に服の中から何かを取り出すと、首からそっと外した。
六芒星の形が彫られている黄金の首飾りである。
その飾りの中には赤い宝石が埋め込まれていた。
綺羅はにっこりと笑みを浮かべながら、門番に見せる。
「これで・・・よろしいですか?」
門番はその首飾りを見て、目を丸くした。
「・・・これは・・・賢者・・様」
その門番の言葉に伏見は驚いたように綺羅を見つめた。
「・・・賢者様・・・だって?賢者様といえばこの法の塔の段階の最高位じゃないか!」
螺夜は綺羅達のやり取りを退屈そうに門に寄り掛かり見つめていたが、ふと門の中をその氷のような瞳で見つめる。
「門前でなにやら騒がしいと思えば、久方ぶりの可愛い教え子がいる」
門の中から白金色の髪を持つ男が姿を現す。
その声を聞き、綺羅は嬉しそうに紫の瞳を細める。
「師 伊里座」
伊里座と呼ばれたその男は優しく微笑む。
その瞳は、金と淡い青の左右が異なった色を持っていた。
そして、額にある青い宝石が優しく光に反射する。
伊里座は微笑みを浮かべたまま、伏見、そして螺夜を見つめる。
「剣士に高位の魔術師。綺羅に負けぬほどの力の持つ方々の様だ。どうぞ、お入り下さい。私の部屋へご案内しましょう」
そう言いながら歩き出す伊里座の横顔に、すっと優しい風が凪がれ伊里座の淡い白金の髪から長く延びる耳が見えた。
「・・・あの伊里座って人は精族なのか?」
伏見は小声で螺夜に呟く。
「さあな」
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