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「やっと貴方と言葉を交わす事が出来ます」
そうにっこりと微笑む伊里座を冷たい瞳で見つめる。
「精族の血が入った男が「遠くから見ただけで顔は分からない」などと、下らない言い訳を・・・遠くを見極める力「遠視」を持っていながら・・・」
「貴方のお父様は長い黒髪を持った男性でした。そして、そのお顔は貴方が良く知る方に似ていらっしゃる・・・とは言えませんからね」
伊里座はすっと視線を外す。
「綺羅とどの様な関係で、どの様な目的があるのか・・・あえてお伺いはしませんが・・・貴方の行動が綺羅を傷つけるとは思えません」
伊里座は髪を掻き上げる螺夜の姿を再び見つめ微笑んだ。
「彼の大気の一部になり、見つめ続ける貴方が・・・彼を傷つけるとは思えない」
伊里座の白金の髪と螺夜の銀の髪が風に揺れる。
螺夜はその氷のような青い瞳で伊里座を見つめる。
伊里座の周りには身長15cm〜20cm程の青味がかった半透明な精族、風の精族が伊里座を取り囲む様に飛び、白金色の髪を揺らしている。
「風に守られた精族・・・風の妖精族。精族の住人が何故、人に魔術を教える法の塔に住まうのか・・・」
伊里座は金と淡い青の瞳を細める。
「精族は純血種のみを受け入れ、混血種は世界へ入る事を許しません」
「・・・混血種(ハーフ)・・・か・・・」
私は人族の血よりも、精族の血が濃く・・・容貌も精族と変わりません。ですが、精霊から頂いた額の印も、硬く閉ざされた精族の門には意味も持ちません・・・。
しかし、噂が流れました・・・純血種ではないと越えられない門を開き、越えていった混血種がいると・・・」
螺夜は何も言わずに伊里座の前に椅子に腰を下ろした。
「その混血種は、高貴な血を合わせ持ったお方で・・・精族の門など、いとも容易く弾きとばされたと・・・」
その時、一瞬螺夜の目つきが変わった。
「話の途中だが、失礼」
螺夜はそう一言だけ呟くと、再び大気に紛れるように姿を消した。
座ったままの姿で伊里座は螺夜が今までいた場所を見つている」
「綺羅の呟く声が聞こえた様ですね」
伊里座の周りを舞う風の精霊の一人が、伊里座の肩に座り耳に向かって何かを呟いた。
それを聞き、伊里座はにっこりと微笑んだ。
「そうですね。彼の緑の印は四大精霊の一つ・・・緑の精族の印ですね。その一族最高位・・・精族を統べる偉大なる守りを受けています・・・」
伊里座の顔からふっと笑みが消える。
「彼の守りがある限り、綺羅の危険は少なくなる・・・しかし、彼が綺羅の近くに居る限り、危険が多くなる可能性もあります・・・良と出れば良いのですが・・・」
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