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「伏見・・・様・・?。」
遊佐が珠砂の言葉を繰り返す。
「十数年ほど前に旅に出た際、伏見様と出逢い、短い間だったが彼と共に過ごし、薬学を教えた。
彼の住む都は、武力の都であり魔力、法力を教える必要はなかった」
伏見は遊佐と砂夜に澄んだ空の様な青い瞳を向ける。
「私は幻都ディルウォーグの生き残り。そして、その都の氷樹殿に住んでいた」
「・・・ディルウォーグの王家の血は途切れていなかったという事か」
遊佐は話を続ける。
「綺羅も王家出身と聞いた・・・王位継承者同士が旅を続けていたのか」
「その綺羅は家出中の身ですが・・・」
突如として現れた声に、全員が声のする方へ振り返った。
そして、綺羅が嬉しそうに微笑む。
「師 伊里座」
伊里座は左右異なる青と金の瞳で微笑む。
「部屋で綺羅達の帰りを待っていましたが、あちらから来てしまいました」
微笑み続ける伊里座に珠砂が近づく。
「ディルウォーグ王子とラ・フールティアの王子。それに・・・三人目の魔術師の男。伊里座、君は知っていたのだろう?彼らがここへ現れる事は」
「・・・・・・・偶然は必然です」
伊里座は部屋の奥に退屈そうに壁に寄り掛かり腕を組む螺夜を見つめた。
「・・・螺夜、法の塔ではあなた方を意味無く攻撃する者はいません。・・・皆に真実の姿を」
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