□ 遊佐1 □


綺羅と伊里座が魔術師の塔へ上がり、魔法剣士達の練習は再開された。
魔法剣士達は何組かに別れ剣を合わせている。
その中で伏見と遊佐は剣士達の練習を見つめていた。
「・・・伏見、私と手合わせを行う前に、まず他の剣士と手合わせを行って欲しい。 君の剣技を見せて欲しいからな。相手はこの中の者、伏見の方で選んでくれ」
伏見は遊佐の言われるがままに剣士の瞳で相手を捜す。
そして、ふと伏見の目に一人の若者が映った。
「・・・遊佐・・・彼を・・・あの黒髪の若者を・・・」
伏見の目指す方向には長い黒髪の若者が一人誰とも手合わせをせず佇んでいた。
遊佐はその黒髪の若者を見つめ、その赤い瞳で嬉しそうに微笑む。
「・・・彼は師範の地位にある男だ。この魔法剣士の塔の中では三本の指に入る程の実力者。剣術も魔術も一流だ」
黒髪の男は遊佐の視線に気付き、こちらへ颯爽と歩きだす。
「魔術を使わぬよう、彼に伝えよう」
「いいえ、それでは魔法剣士と手合わせする意味がない」
伏見はにっこり微笑み、話を続けた。
「私は魔術と剣術を使いこなせる相手と手合わせ願いたいのだから・・・それに彼を倒さないとあなたと手合わせできない」

「遊佐・・・何か?」
伏見はその落ち着いた男の声に振り向く。黒髪のその男は、遊佐と少しの間話をしていたが、ゆっくりと伏見を見つめた。
流れる様な腰近くもある長い黒髪、見た目21.2歳の若者は遊佐と同じく細身の躰に丈の長い黒いロングソードを身につけている。
黒を身につけた若者の唯一色の付いた瞳は、塔の中の優しい光の中で黄金に光り輝いていた。
「・・・両腰に付けた剣の一つは魔剣「吹雪」、その四振りの一つと言われる名剣を手にしている者であれば、かなりの使い手と見える」
若者はそっと微笑み、話を続けた。
「しかし・・・遊佐の手を煩わせる理由にはいかぬからな・・・」
若者はゆっくりとその1.5m程もある黒いロングソードを引き抜いた。
「手合わせ願おうか」
伏見も嬉しそうに挑戦的な青い瞳で微笑んだ。

 

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