□ カラツ1 □


海に面した小さな村は異様な程に静まり返っていた。

沈みかけの太陽が形あるもの全てに長い影を作り、長い影と静けさだけが広がる村には人の気配すら感じる事が出来ない。
門の外から見つめている綺羅達の中にも小さな絶望感が漂う。
「門には気圧の違いで作られた大気の結界があると王女が言われていました。魔法解除か開門(ノック)の呪文で開門ができるはずです」
綺羅が詠唱へ入ろうとしたとき、ふと伏見が呟く。
「・・・魔法解除が有効なら、魔封じの剣でも有効なはず。伏見が呪文を唱えるまでもない」
そう言うと、伏見はさっそうと左腰に付けた魔封じの剣「冴威」を抜く。
そして、何もない様に見える大気の鋭い結界をさっそうと斬りつけた。
空間と銀色に輝く剣はぶつかり合い、金属音が辺りに響く。
そして、空間は薄いガラスが割れたような微かな音を出しながら崩れていった。
伏見はにっこりと微笑んだ。

「さぁ、カラツへ行こう」

 

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