□ 貴沙紀8 □


綺羅は歩き出した螺夜を横目で見つめ、言いにくそうに貴沙紀に呟いた。
「・・・王女。この先は我々の仕事です。王女はこのまま都へお戻り下さい」
「そんな、綺羅!貴沙紀を一人で帰すなんて危険すぎる。このカラツの村の外にも魔族達が歩き回っているのに」
伏見が貴沙紀の前へ守るように手を伸ばす。
「ですが、伏見。どんな危険がこの先待ちかまえているのか分からないのです。それに、王女はメーロスへ帰り女王へご報告を行わなければなりません」
伏見は綺羅をじっと見つめる。

「私、メーロスへ戻ります」

その言葉に伏見は振り向いた。
「戻り、母・・・いえ、女王へ事態の深刻さを申し上げます。それが今私の出来ることですから」
「・・・貴沙紀・・・」
貴沙紀は宝石の様な緑の瞳で伏見を見つめた。
「伏見・・・様。メーロスから無事をお祈り致しております」
そして、貴沙紀はにっこりと微笑む。
「・・・王女、これを」
綺羅は小さな革袋から小さく輝く物を取り出し貴沙紀へ手渡す。
「・・・これは・・・フェアリーリング?」
貴沙紀はその銀で出来た指輪をじっと見つめる。
淡く白い大きめな宝石や細かな細工はキラキラと光を反射している。
「王女が法術を唱えたとき、王女の持つ法力(チカラ)は指輪に住まう精霊の助力を受け事が出来ます。きっと、王女の力になるでしょう」
貴沙紀はゆっくりとその指輪を左の中指にはめた。
「ありがとう。使わせて頂きます」
貴沙紀の緑の瞳に綺羅達、3人の姿が映る。

「勇み行く冒険者達に祝福を。未知へと挑み行く彼らに限りない守護と溢れる勇気を・・・湖の都メーロスより、心からお祈り申し上げます」

貴沙紀はゆっくりと頭を下げた。

 

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