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太陽がゆっくりと海へ姿を隠す。
その瞬間、圭とライオンから巻き上がる様な風が起き、圭とライオンは不可解な姿へ変わって行く。
ライオンは四本の足から立ち上がり人間の姿へ、そして、圭は腕が次第に白く大きな翼へ変わり、白い美しい鳥へ変化して行く。
二人の姿が変化する途中、二人はじっとお互いを見つめている。
その姿を見ながら、螺夜は呟いた。
「・・・ポリモルフ・アザー・・・か」
「ポリモルフ・アザー?」
伏見が呟く様に螺夜に問いかける。
「他者変身。呪いの魔術だ。ポリモルフ・アザーは魔術師の力量で一度にかけられる人数が決まる」
ライオンから人へと姿を変えた海斗(カイト)は圭がかけた白い布を服の代わりに体に巻いた。
その海斗の肩には圭が変身した白い大鷲が乗っている。
海斗は圭と同じ青い瞳を曇らせ、寂しそうに圭が脱いだ白い服を拾い上げた。
「・・・これが、私達カラツの村人にかけられた魔術です。男は昼間に獣。女は夜に鳥へ姿が変わります」
海斗は白い大鷲に頬をすり寄せる。
「・・・私達は村から出ることも出来ず、家の中で変身を繰り返している」
「・・・ですが、ポリモルフ・アザーならば、魔術を無効に出来るかも知れません」
海斗は驚いた様に声を上げる。
「本当ですか?!」
「ポリモルフ・アザーは魔術師と法術師が中級レベルで唱えることが出来る魔術です。この魔術の解除呪文は「ディスペル・マジック」です」
綺羅は螺夜を見つめる。
「・・・螺夜、手を貸して下さい。ディスペル・マジックを唱えてみます」
綺羅は海斗と圭の近くまで進み、優しく紫の瞳を細めた。
そして、瞳を閉じる。
「空中に舞う偉大なる魔詩よ。無に帰せよ、幻の詩よ真実の風となれ・・・」
綺羅の言葉に小さな風が生まれる。
しかし、それと同時に海斗達の周りに白い光の帯が生まれ始めた。
それを見た螺夜は舌打ちをしながら叫んだ。
「綺羅!暗号(パスワード)が魔術に組み込まれている!反撃を受けるぞっ!」
綺羅は螺夜の言葉が届かぬ間に詠唱の最後の言葉を叫んだ。
「ディスペル・マジック!」
その言葉に海斗達の周りが一段と白く輝く。
そして、その輝きの中から美しい女性の顔が浮かび上がる。
綺羅の発した魔術は浮かび上がった白い顔の美しい女性の口に吸い込まれ、そのまま強い光となって綺羅を襲った。
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