□ 貴沙紀4 □


「天空に舞う結晶達よ。大地に踊る風達よ。我のみに纏て氷の刃となれ!!」

伏見は螺夜のその詠唱を聴き、魔性から飛び退ける。
そして、螺夜は瞳を力強く開いた。

「アイス・ストーム!!」

螺夜が指差した場所に巨大な竜巻の様な風が現れ、氷柱の様な氷を伴いながら魔性の元へと飛んだ。
再び魔性は顔を歪ませながら、超音波の様な声で悲鳴を上げる。
しかし、次の瞬間、螺夜は溜息混じりに呟いた。
「アイス・ストームが殆ど効いていないっ、大鎌を振るって真空を作るぞっ」
その言葉通り魔性は体制を立て直し、大鎌を振るった。
魔性の女の力で出来た巨大な真空の刃は三日月の形をしたまま伏見の方向へ飛んでいく。

「聖なる魔詩よ。力に耐えうる大気の幕になれ!」

螺夜はそう言い放つと、すっと姿を消した。
そして、次の瞬間には伏見の前に立ち、最後のスペルを叫んだ。

「レジスト!!」

螺夜と伏見の周りを包む込む様に空気の断層が突如出現した。
その直後魔性の女が放った真空の力が伏見達を襲いかかる。
しかし、魔性の真空の力は伏見へと届かず、その空気の壁で阻まれていた。
「伏見、レジストは直ぐに効果が切れる。切れたと同時に魔性に向かって走れ。私は吹雪に武器強化の呪文を唱える」

「いえ、螺夜は精霊を召喚して直接攻撃を行って下さい。補助魔法は私が唱えます」

その言葉に伏見と螺夜が振り向く。そこには紫の瞳で優しく微笑む綺羅がいた。
「綺羅、貴沙紀は?」
伏見が黄金の髪を掻き上げながら呟く。
「王女は一人でも大丈夫です。王女の持つ法力で多くの兵士達を救えます」
綺羅は伏見に優しく微笑んでいたが、すっと睨むように魔性を見つめた。
「レジストの効力が無くなります」

 

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