□ 貴沙紀5 □


螺夜はその言葉に召喚の呪文を唱え始める。

「サモンエレメンタル 我は命ずる西方に住まいし眷属よ・・・」

螺夜の唱えたレジストの空気の断層が上から次第に溶け始める。
「伏見、レジストの効力が無くなったと同時に螺夜が精霊を召喚します。その精霊の力に巻き込まれないように十分注意して下さい」
綺羅はゆっくりと伏見に向かって詠唱を唱える。

「勇者に宿るはがねの者達よ、勇者の意思に従い本来の力を示せ エイチャンテッド・ウエポン」

螺夜の唱えた召喚の呪文に空気が震える。
そして、西の方角に巨大な白亜の空間が開く。
それと同時にレジストで出来た風の幕の流れがゆっくりと弱り消えていく。
魔性の女はレジストが消えたのを見て、再び大鎌を振るおうとするが伏見が吹雪で鎌を受け止めた。
冷気の漂う氷の剣「吹雪」は強い冷気のためか美しく透明な刃が青みがかって見える。
大鎌は吹雪が触れた所から少しずつ氷の膜が生まれる。
伏見は青い瞳で不敵に微笑むと魔性の女から飛び退いた。
白亜の門から現れた西方の精霊は門にその巨大な手をかける。

「西の門(ゲート)より出よ、アイス・ドラゴン!」

螺夜は氷の様な瞳をゆっくりと開くと不敵に微笑んだ。
「あの魔性に氷のブレスを見せてやれ」
白く半透明な龍は雄叫びをあげながら宙を舞う。
それを見つめていた伏見は驚いたように呟いた。
「・・・法の塔の・・・龍・・・」
伏見の見つめる前で龍は大きく息を吸い込むと長い胴をくねらせながら魔性に向かって強力なアイスブレスを吹き付けた。
魔性は一瞬にして氷に包まれる。
「きぃぃぃぃ」
魔性は伏見の攻撃を受けて氷に包まれている大鎌を手から離した。
大鎌は大地に触れた瞬間、硝子が割れるように粉々になって飛び散る。
そして、魔性も微かな音をたてながら崩れていった。

 

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