□ 黒栖1 □


ある空間、人と魔と神が交差する亜空間に彼は漂っていた。

時間も物体も何もない空間に彼は目を瞑り耳元で短く紅い髪を揺らす。
美しい象牙色の肌、長く延びる紅い睫毛、人族より少し延びた耳、そして、頬に延びる紅の魔族の紋章。
彼は何かを感じたように瞳を開く。
その瞳は魔族の証、紅の瞳。
妖眼とも言われる瞳で猫の瞳の様に瞳孔の形を変える。
「・・・門の妖女を倒したのか・・・」
彼は嬉しそうに瞳を細めたが、再び何かを感じ宙に寄り掛かっていた体を起こした。

「・・・この術の気配は・・・」

そう言いながら、彼はパチンと指を鳴らた。
何もないはずの空間がテレビのチャンネルを変えるようにクルクルと映像が写し出される。
その変わる映像にある一つの動画が写し出された。
彼は嬉しそうに瞳を細める。
「・・・・・・・やっと逢えたよ」
写し出された映像はカラツ村の門に住まう女と闘う綺羅達の姿であった。
彼はその姿を嬉しそうに見つめていたが、急に眉をひそめる。
「・・・・こいつは?」
叫ぶかのような彼の声に映像がジリジリと乱れる。
その映像には螺夜と共に写し出された綺羅の姿があった。
「・・・こいつが、螺夜を魔界から連れ出したのか」

その瞬間ガラスが割れるかの音と共に映像が崩れ落ちていった。

 

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