□ 黒栖4 □


螺夜の静かな言葉に「黒栖」と呼ばれた魔族は満足に笑みを浮かべる。
そして、綺羅の方へ振り向いた。
「あれはお気に召していただけたか?」
「お前が仕組んだ事なのか?」
伏見は剣の柄に手を伸ばしながら黒栖を睨み付ける。
その視線に黒栖は楽しそうに紅の瞳を細めた。
「お前達の為に私が用意したものだ。あの呪文は解除する事が出来たのか?」
綺羅は黒栖をじっと見つめる。
「いいえ、出来ません。あなたの暗号(パスワード)無しでは解除できません」
綺羅の言葉に黒栖は紅い瞳を向ける。
「賢者の印を持つ王子様でも解除出来ないのか?暗号など無視して無理矢理に解除すればいい。お前なら出来るだろう?」
「出来ません・・・。私にはそんな力はありません。あったとしても村人達を危険にさらすような事は出来ません・・・。解くにはあなたの暗号が必要なのです」
黒栖は綺羅の必死な訴えを楽しそうに見つめていたが、ふと、綺羅の額にある赤い三角形の印を見つめた。
その印からは微かに知っている誰かの気配が残り香の様に漂っている。
黒栖はその印を何気なく触れようとした。

「触るなっ!!」

突如現れた螺夜に黒栖は手を捕まれている。
「・・・・・その印に触れるな」
螺夜と黒栖の瞳が交差する。
螺夜から手を振り払い、捕まれた手首を触りながら螺夜に呟く。
「・・・印・・・ね・・・・。何を封印してある?」
黒栖はその燃える様な紅い髪を掻き上げる。
「誰との契約だ。螺夜」
螺夜は何も言わず黒栖を見つめる。
その螺夜の表情に黒栖は微かに笑みを浮かべる。
そして、黒栖は指をパチンと鳴らす。
その瞬間、螺夜と綺羅の間に、二人を分かつ様に透明な板が現れ、綺羅と伏見だけを透明内四角い箱の中に閉じこめた。
伏見は必死に板を叩くが、壊れる事も、そして音すら通すことが出来なかった。

 

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