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城門を潜り湖樹殿の入口までの間には、城を取り囲む様にどこまでも澄んだ湖が沢山の光を反射させている。
そして、湖樹殿に続く道は花園が広がり様々な色の花が大輪を咲かせていた。
「幻都ディル・ウォーグは、砂漠の中のオアシスから栄えた都だから水は豊富だと思っていた。でも・・・」
伏見は嬉しそうに青い瞳を細め話を続けた。
「いつ来ても驚くよ。街にも城にも溢れるほどの水を湛えたメーロスは」
綺羅はその言葉を聞きながら道の先に見える湖樹殿を眩しそうに見つめた。
湖の反射した光を受けて美しく輝いて見える湖樹殿は、まるで湖の中に浮かぶ神殿の様にも見えた。
宮殿の入口には白い服を着た女性達が城門の門守達の連絡を受けて綺羅達の到着を待っていた。
「ようこそ参られました。旅の方々。こちらで女王がお待ちです」
白い服の女性が優しく微笑む。
綺羅は女性の笑みに答える様に紫の瞳を細めた。
女性に案内をされ白い大きな扉の前に三人は佇んでいた。
女性がその白く伸びるしなやかな腕を扉の大きな取っ手にかざす。
すると扉を音もなくゆっくりと開いていく。
その光景を見ながら伏見は綺羅に呟いた。
「これも綺羅達が言っていた開門魔法なのか?」
綺羅は開いていく扉を感心したように見つめている。
「そうですね」
開く扉の中からは太陽の光が優しく照らし、白に統一された部屋を一層鮮やかに反射させている。
「ようこそ参られました」
扉の奥から落ち着いた女性の声が響く。
奥には黒髪の女性が立派に飾り立てられた椅子に座り微笑んでいた。
「私がこの都の王です」
女王は椅子からすっと立ち上がり、綺羅達へ近づいた。
「キャラル・スルーの王から話を聞いて、ここへ参られたのですね」
綺羅はその言葉に頷き、キャラル・スルーの葉柴から渡された紹介状を女王へ渡す。
女王はゆっくりとそれに眼を通した。
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