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「彼らは良き助けとなってくれるであろう」
女王はその深い緑の瞳を伏せた。
そして、三人を見つめ微笑む。
「・・・ラ・フールティアの王子・・綺羅、ディル・ウォーグ王子・・伏見、そして強力な魔術を自由に使いこなす螺夜」
女王は螺夜の姿を見つめ、一瞬驚きの表情を浮かべる。
「・・・そなた・・・は」
綺羅は不思議そうに女王を見つめた。
「・・・女王?」
女王は螺夜をじっと見つめていたが、暫くして何事もなかったように話を続けた。
「今、あの小さな海辺の村カラツは大変危険です。魔法国家メーロスの魔術に秀でた兵士達をカラツへ向かわせましたが、誰一人として戻ってくる者はいませんでした」
綺羅はうつむく女王にそっと尋ねた。
「・・・カラツは何らかに狙われているのですか?」
女王はゆっくりと首を横に振る。
「・・・分かりません。現在の状況すら把握出来ていないのです。・・・それに」
女王はふと言いかけた言葉を止めて、玉座へ腰を下ろした。
綺羅はすっと女王の前へ歩み片膝を床へ着いた。
伏見達も少し離れた所で片膝を着く。
「・・・それに?」
綺羅のゆっくりとした問いかけに女王は伏せていた緑の瞳を開く。
「・・・兵士達と共にカラツへ向かった娘からも連絡が途絶えています」
その言葉に伏見が声を上げる。
「王女、貴沙紀(キサキ)が・・・ですか?」
女王は伏見を見つめながら頷いた。
「幻都ディル・ウォーグの王子・・・伏見。あなたが生きていた事を貴沙紀が知ればどれほど喜んだ事でしょう」
「女王・・・」
綺羅はすっと立ち上がり、左手を胸に手を置き小さく頭を下げた。
「女王、我々は明日カラツへ向かいます。カラツへ向かい、王女貴沙紀の援助とカラツの状況を確認します」
女王は緑の瞳を閉じ少し考えていたが、再びゆっくりと立ち上がり綺羅達の前へ近づく。
「約束をして下さい。何事があってもあなた達の命を優先することを。カラツの状況が判断出来ない今、どの様な事態に巻き込まれるか分かりません。」
綺羅は紫の瞳を細め、にっこりと微笑んだ。
「はい、その様に努めます」
「無事に戻られる事を祈っております」
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