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「・・・・・・・・父上・・・・・」
綺羅は剣を握ったまま、砂に埋もれたディル・ウォーグの瓦礫を青い瞳で見つめる伏見を見つめていたが、辛そうに紫の瞳を伏せた。
「・・・・あれは・・・?」
綺羅はすぐ近くの砂に埋もれた何かを指差した。
砂に埋もれ、その殆どが隠されていたが、砂の間から見える物には微かに光が宿って見えた。
綺羅は惹かれるように、砂を払い取り上げた。
「・・・・ここ耳飾りは・・・・」
耳の部分には青い宝石が埋め込まれている。
「これが、三種最期の一種、耳飾りですね」
綺羅は砂を払いながら、それを伏見へ手渡した。
伏見は、受け取りジッと見つめていたが、何も言わずそのまま飾りを耳へ付けた。
そして、周りを見渡す。伏見の手に握られている剣を鞘へ収める。
「綺羅・・・礼を言うよ。これで父上やディル・ウォーグの都人たちは旅立つこと事が出来たと思う。
そう、思いたい。こんな滅びた都にとどまり、旅立つことすら出来ない・・・そんなことは哀しい事だからね」
そういいながら伏見は螺夜の方へ振り向く。
螺夜の氷のような冷たい瞳と魔物の紅の瞳を見つめた。
「あなたも・・・礼を言います。あなたがいなければ私は倒すことが出来なかった。
幻の中の父上を助けようと何度も同じ事を繰り返すだけだった。
・・・都を滅ぼされた憎しみで何かが抜けていた・・・何も見えていなかった」
伏見は哀しそうにうつむく。
それを見ていた綺羅は、優しく伏見に微笑んだ。
「伏見、これから私達は西方サエル湖の近くにある術師の塔「法の塔」へ向かいますが・・・」
伏見は綺羅の問いに、吹っ切るような笑みを返した。
「途中、聖国「キャラル・スルー」へ寄ってくれないか?」
そう言いながら伏見は魔剣「吹雪」をそっと触り話を続けた。
「吹雪は火系の魔物には強いが、水系の魔物には力を十分に発揮出来ない。
だから、剣をもう一本購入して置いた方が良いと思う。綺羅達と行くにはね。
魔術師が二人だけの旅は魔術が使えない魔物と会ったとき綺羅の剣だけで応戦するしかない。きっと私も役に立つと思うよ」
綺羅がその言葉に嬉しそうに紫の瞳を細める。
「では、キャラル・スルーへ行きましょう」
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