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次の日の朝、ディル砂漠の中心へ向かう西門に、綺羅と城実がいた。
砂の上には5.6人用の大きな砂船があり、旅人達の視線を奪っている。
「砂船の乗り方は、さっき教えたとおりだ。あんただったら、すぐに乗りこなせるだろうな」
「・・・大変お世話になりました。いつかメル・ブライクへ来たら、必ず立ち寄らせて頂きます。旅先で出逢った仲間と共に」
城実はにっこりと微笑む。
「土産は旅の話をよろしくな。綺羅はきっと面白い話を持ってくるだろうからな」
城実は急に思い出したように手を叩いた。
「ディル・ウォーグの情報が一つある。ディル・ウォーグの幻影の中に、人影を見たって言う話がある。
確かではないが商人の話だ。そいつが言うには、その人影は黄金の髪に白いマントを付け、
ディル・ウォーグの都を一人彷徨っている様だったそうだ。人か魔者かも分からない。気を付けてくれよ」
綺羅はにっこりと笑みを浮かべた。
「その影は生身だと良いのですが・・・」
その言葉を紛らせるように、革袋の中の小さな袋を取り出し、城実へ手渡した。
「宿代と砂船のお礼です」
そうして綺羅はメル・ブライクを旅立った。
砂船が見えなくなるまで見送った城実は、綺羅から手渡された小袋のずっしりとした重さが気になり、そっと取り出してみた。
「こ・・これは・・・」
転がるように出てきた物は、直径5cmほどもある青色をした宝石だった。
城実は手の中にある輝く宝石を見つめながら頭を掻いた。
「これじゃ、砂船2隻買ってもつりが来るぜ」
一方、綺羅は砂漠の中、目の前に突如として現れた男を見つめ、嬉しそうに紫の瞳を細めた。
「来て頂けると思っていました」
その男は銀の髪をゆくりと掻き上げる。
「私と共に歩んだら、後には引けない」
紅の瞳が妖しく輝く。
「もう、後に引けません」
照りつける太陽の中、銀糸の髪と妖眼を持つ美貌の男は微かに微笑んだように見えた。
その後、男は螺夜-ラヤ-と名乗る。
それが綺羅と螺夜の出逢いであった。
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