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ミカエルは静かに呟く。
「ソフィアさん。私達は別れを告げに来ました。・・・私達は今夜、満月の夜に私達の世界へ戻ります。
貴女達の中にある私達に対する記憶も同時に消える事になります。・・・本来であれば正体を明かさず
何も告げずに戻らなければならないのですが・・・貴女の事が心配でした。貴女は強い心を持っています。
ここを聖なる力で満たす事が出来るほど。・・・ですが、貴女の魂は今にも壊れてしまいそうです」
「私の事など・・・二人の魂に少しでも安らぎを与える事が出来れば・・・」
ソフィアに映る死の影がサタンの漆黒の瞳に深く映る。
サタンは瞳を伏せる。
「・・・ソフィア。ソフィアの魂も休息を求める時が来る。解き放たれた魂は二人を求める事になるだろう。
その時には立ち止まらず光の下へ進みなさい。二人の魂は光の下にある」
「・・・・?」
「今はまだ意味を知らないままでいい。肉体から魂が解き放たれた時に記憶を辿ればいい・・・
・・・魂の導かれるままに」
その優しい囁く様な声にソフィアは次第に意識が薄れていく。
そして、ソフィアはサタンに倒れかかる様に眠りについた。
サタンはソフィアを抱き起こす。
ミカエルはソフィアの額にそっと口づけをした。
「良い夢を。魂が少しでも安らげるように」
そして、サタンに蒼い瞳を向ける。
「私は彼女の気持ちが少しだけ理解出来ます。残された者達は・・・グラハムさんの様に先に進もうとするか、
彼女の様に・・・。・・・私は、今でも後悔しています。あの時、貴方を止められていたなら・・・
・・・あの時私が堕ちればこれほど後悔する事はなかった・・・貴方が」
サタンはミカエルにそっと優しく微笑んだ。
「私はミカエルが光の中にいてくれればそれでいい」
「・・・ですが」
「地の底に住まう私に今でもミカエルの光は届いている。瞳を閉じれば今でもあの頃を想う事が出来る。
・・・あの時の選択は正しかった」
その言葉にミカエルは寂しそうに微笑んだ。
「・・・ルシフェルは狡い。貴方ばかり荷を背負って。私も貴方の荷を背負いたいのに。
・・・背負う事も許してはくれないのですね」
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