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「ミカエル、何故あの名を使った?」
ミカエルは窓際に立ち、激しく降り続く雨を見つめている。
窓硝子には反射したサタンの姿が映る。
「あの名前はけして口にしてはならない名だ。お前が一番知っているはずだろう」
「・・・知っています・・・痛いほどに」
窓硝子に反射しているミカエルの蒼い瞳が少しだけ曇る。
「ですが、ここは天界ではありません」
ミカエルはサタンの方へ振り向き、優しく微笑んだ。
「・・・彼らに連絡をしないといけませんね。きっと心配していますよ」
サタンはミカエルの微笑みに漆黒の瞳を伏せる。
「・・・そうだな」
ミカエルとサタンは自分の翼の羽根を手に取り、小さく何かを呟いた。
すると、黒と白の羽根は尾の長い美しい二羽の鳥に姿を変えた。
ミカエルは窓を開く。
そして、二羽の鳥にそっと呟いた。
「大変でしょうがお願いしますね」
すると、二羽の鳥は連れ添う様に雨の中を空高く飛んでいった。
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