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「今日は良い天気になりましたね」
太陽を眩しそうに見上げながら、ミカエルは嬉しそうに呟いた。
ミカエルの波打つ金色の髪がキラキラと光を反射している。
激しい雨は太陽が昇り始めるのと同時に止み、昨晩の大雨が嘘の様に雲一つない青空が広がっている。
二人はグラハムに薦められソフィアの案内で屋敷の周りを歩いていた。
屋敷は森に囲まれ、小鳥たちの囀りが聞こえる緑豊かな場所に建てられていた。
森の中には小川も流れており、流れる水は太陽の光に照らされてキラキラと輝いている。
「・・・ここは・・・?」
ミカエルが見上げた先には、木々に囲まれて建つ小さな建物の姿があった。
白亜の建物は邪悪なるものを寄せ付けることが出来ない聖なる雰囲気が漂っている。
ソフィアは扉を開き、二人を促す。
「・・・ミカエル」
サタンの微かに呟くような言葉にミカエルはゆっくりと頷く。
ミカエルは少し離れた場所に佇むサタンを置いて、建物の中へ入っていった。
「・・・ノワールさんは来ないんだな」
「えぇ、彼は自然の中にいた方が心が落ち着くようです」
ミカエルはソフィアに向かいにっこりと微笑む。
そして、建物の中を見渡した。
小さな建物の中は外壁と同じ白い空間が広がっていた。
部屋の中には白い大理石で出来た棺が二つ横たわっていた。
棺は何も飾り立てられておらず、部屋の中にも何も置かれていなかった。
唯一置かれていたのは、二つの棺の前の白い花束。
何も無い場所だが、不思議と聖なる雰囲気が充満している。
ソフィアは棺の前でそっと片膝をついて祈りを捧げた。
そして、ゆっくりと呟いた。
「棺・・・ですね」
ミカエルは十字架や像が一切置かれていない白い建物の中をゆっくりと見渡す。
「母上と兄上。せめて二人が安心して眠れるように」
ソフィアは途切れそうな微かな声で言葉を続ける。
「・・・誰にも侵されることはない、私の大切な場所だ」
その言葉にミカエルは蒼い瞳を細め、優しく呟いた。
「・・・私もお二人のために祈りを捧げてもいいですか?」
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