タロット占い講座


[ 第32回 ]

人類の歴史の謎と世界

タロットの絵柄のモチーフには、西洋社会の文化が色濃く反映されていますが、そもそもキリスト教などでは禁止されていたといわれるほどですから、おそらく特定の宗教には属さないものなのでしょう。何より注目すべき点は、歴史的にもずいぶんと長いあいだ男社会(父系社会)が続いてきた西洋においてでさえ、かつては母系社会であったことを物語る、あるヒントが、タロットの中に隠されているということです。

タロットカードの順番を、人類の歴史と照らし合わせてみるという試みも面白いと思います。愚者がカオスであるならば、魔術師は天地創造です。ウェイト版の魔術師などは、実際に天と地を指差しており、いかにもといった感じです。そして、最初に現れるのが、女司祭長女帝。つまり、この間はしばらく母系社会が続いていたことを表します。その母系社会を武力で支配したのが皇帝です。父系社会の始まりです。やがて宗教が権力を増して法王が生まれます。・・・以下略。

もっとも、タロットの順番は、もともとこのように固定されていたものかは不明です。最近になってから誰かが決めたものなのかもしれませんが、それが意識的か無意識的かはともかく、結果的にこのような解釈ができる順番になったのは興味深いところです。

日本の場合でも、女王卑弥呼が支配していた母系社会がかつてあり、その後、天皇の時代に入ります。卑弥呼は占いで政を行っていたというほどですから、母系社会においては占い師は重要な地位にあったと考えられます。

ギリシャ神話においても、かつてはガイアという母系社会を暗示するものが存在し、その後ウラヌスやクロノス、ゼウスといった父系社会の象徴的神が生まれることになります。父系社会の典型ともいえるゼウスの時代にあってさえ、ギリシャではアポロが占いをつかさどっていました。占いは公認されていたわけです。ちなみに、神託所であるデルフィーは、もともとガイアの物であったのをアポロが奪い取ったのだそうです。

私がアポロを名乗るのは単なる偶然で、ギリシャ神アポロが占いの神であることを知っていたわけではありません。ただ、アポロを名乗ることによって、占い師であることを宿命付けられたと考えることはできます。太陽神として知られるアポロですが、意外にも冥界の神であったりもします。謎の多い神ですね。

歴史というのは、地域や種族を越えて、同じような流れを何度も繰り返しています。たまたまタロットの中にはキリスト教的な文化がモチーフとして描かれていたとしても、それを他の地域の文化や、別の時代に当てはめて考えることもできるのは、やはり、タロットが人類の潜在意識に刻まれた何かを表現しているということになるのでしょう。今で言うなら、DNAの情報とでも言えばいいのでしょうか。

タロットカード: XXI 世界

その歴史が行き着く果て、私たちが最後にたどり着くのは、「XX 世界」のカードです。そこに、人類の歴史の謎を解く鍵があるのかもしれません。

ちなみに、「XX 世界」のカードに描かれているのは、一見女性ですが、両性具有だとも言われています。しかし、もともと男性が描かれていたという説もあります。もし、男性であるなら、イエス・キリストを描いた宗教画に似たようなモチーフを見出すことができるでしょう。「VIII 力」のカードもそうでしたが、時々、男女が入れ替わるカードがあるのは、何か意味ありげです。


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