タロット占い講座


[ 第41回 ]

良いの?悪いの?

占いの質問の中には単純に結果の良し悪しだけを求めるものもあります。

たとえば、タロットカードで今日の運勢を占うためにワンオラクル1枚めくったとします。「XV 悪魔」などが出たりすると、その解釈を十分に考えるまでもなく「今日は悪い日」と決め付けてしまうことがあります。逆に、「VI 恋人」が出たときなどには、その名前のイメージだけで「恋愛運がうまくいきそう」なんて思ってしまったりします。

同じ「VI 恋人」のカードでも、正位置で出れば「うまくいきそうだ」と思うのに、逆位置に出ただけで「今日の恋愛運最悪」などと思い込んでしまいます。

もちろん、吉凶を占うのは、昔から占いの最も重要な目的ではあったと思います。それがわからなくては占う意味もないと言っていいほどなのかもしれません。いつの時代でも、占いで「良いの?悪いの?」ということだけを知りたがる人が多いのは当然のことなのでしょう。占い師が「ズバリ」吉凶のみを伝える事も、時には重要になってくるでしょう。

しかし、この世の物事というのは、そう簡単に良いとか悪いとか割り切れない事が多いものです。そもそも、良いとか悪いとかいう判断は人間の主観的なものに過ぎず、人によっては全く逆の判断をすることもあるだろうし、神様の客観的な視点から見れば全ての物事がそのどちらでもなく、曖昧な価値観で存在しているものだと思います。

タロットカード1枚にしても、正位置なら「良い」で、逆位置なら「悪い」と単純に決め付けられるものではないのです。それでは、せっかく78枚のカードを使っていても、裏と表しかない100円玉1枚で占っているのとなんら変わりがありません。

VI 恋人」が正位置で出ていても時には悪い解釈もあるだろうし、「XV 悪魔」が出ても良い解釈をするときはあります。カードの意味を覚えるときに、これは良いカードで、あれは悪いカードと分類してみても全く無意味です。

では、占い師が相談者に吉凶を伝えることも無意味なことなのでしょうか?「良いの?悪いの?」という質問に、占い師は答えることができないのでしょうか?

その通り。私は、答えるべきではないと思います。占い師に許されているのは、カードによって示された事実を伝えることのみで、その良し悪しの判断は相談者自身にしかできないのです。

もしそこで、占い師が答えてしまったら、占い師は自分の主観的な価値観を押し付けることになり、相談者の人生に必要以上に踏み込むことになりかねません。そういったことは、実際にマインドコントロールなどに悪用され、多くの人の人生を狂わせています。悪質な新興宗教の勧誘や、印鑑や壺の押し売り的な行為に占いが利用されているということも現実にある話です。

ただ、答えるべきではないとは思うのですが、答えることもできるとも思っています。少し矛盾した言い方で混乱するかもしれませんが、「良いの?悪いの?」という質問に対し、占い師は自分の価値観を押し付けることはすべきではないが、相談者の立場を理解した上で、相談者の立場で考えて答えることならできるという意味です。

結局、そこが一番大切なところなのです。

78枚のタロットカードの中から1枚のカードがめくられたという不変の事実に対し、占い師は相談者の立場で考えてカードの解釈をします。相談者はそれを受け止めて、今度は自分なりの考え方で答えを出してみる。そのとき出てきた最終的な答えが、本当の占い結果なのです。

多くの占い師は占い結果から得られる教科書的な解釈に基づいて、より正確な運命を鑑定しようと努力しています。吉凶の判断もその時点で出されることになり、相談者の立場や気持ちなどは占い結果の判断を狂わす悪因として無視される傾向すらあります。それもひとつの占いの在り方だとは思いますが……私は、そのようなものを「占い」とは呼ばずに、「鑑定」と呼びたいと思います。

占い」は、占い師と相談者の関わり合いの中で生まれるものです。私はそれを、「人と関われば」の中で、「」と呼んでいます。

鑑定」は、厳密に運命を判断しようとする高尚な行為とも言えますが、人との関わり合いを閉ざしたもの。私はそれを「」と呼んでいます。

人が幸せに生きるために必要なものは、「」なのか、「」なのか、それは私が答えるまでもなく、あなた方のこころの中に、はっきりとした答えがあるのではないでしょうか。

私のサイト「アポロのタロット占い」では、占いの依頼に関して「鑑定」という言葉は一切使っておりません。それでも、「鑑定依頼」のメールは頻繁に来るのですが……。


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