タロット占い講座


[ 第43回 ]

バランス - XI 正義

インターネット上のホームページはHTMLという形式で書かれていますが、このHTMLは、文章の構造を記述するための基本的な <タグ> と、見た目をデザインするための <スタイルシート> の2つのパートに完全に分離していて、哲学的な表現をすると、「二元論」的な思想によって構成されていると言えるかもしれません。

二元論というのは、2つの対照的な物事によって構成される世界観のことです。わかりやすい例で言えば、「善と悪」、「光と闇」、「天と地」、「精神と物質」、「男と女」といったような2つの物事に分ける考え方です。

私たちは、時として、このどちらか一方に偏った考え方をします。「男と女」であれば、現代では割と平等に扱われていますが、かつては長い間「男尊女卑」的な考え方が世界的に優位にあった時期もありました。そうなる以前は逆に、女性のほうが優位な時代もありました。今でも、男性は女性を軽蔑し、女性は男性を軽蔑するような態度はよく見られるわけで、完全に中立の立場で考えることができる人は、まだまだ少ないような気もします。(しかし、最近では精神的にも肉体的にも中性的な性質を持った人が増えてきていますね。これは、新しい時代の兆候かもしれません。)

「善と悪」という話になると、圧倒的に「」の方が優位に立っているかにも見えますが、人のこころの中には同じくらいの「」が潜んでいるものです。しかし、人は「善人でありたい」という欲望から、自分の中にある「悪」を他人に気づかれないように隠してしまいます。実は、その欲望こそが「悪」なのですが……。かつて「魔女」と呼ばれた人たちは、自らこころの奥に押し込めた「悪」を抑えきれなくなって暴走してしまった人たちなのです。そのために、表向きは「善」を装っている世間の人たちからは白い目で見られ、やがては虐殺されるはめになってしまいました。

キリスト教などの宗教関係者が書いているブログなどを見ると、とても良いことが書いてあってこころが洗われるような気持ちにもなりますが、しばらくすると飽きてしまいます。これは、私が飽きっぽい性格だというのもあるかもしれませんが、もしかしたら、あまりにも「善」に偏った内容ばかりなので、バランスを失っているせいなのではないでしょうか。

やはり、人が生きていくうえでは、「善」だけではなく、「悪」も必要なのではないかと、そんな気がしてきました。

もっとも、世の中には「悪」があふれすぎているのだから、「善」に偏った思想で少しは対抗しないと、バランスが取れないというのが現実なのかもしれませんけどね。

いずれは、この「善と悪」に象徴されるような二元論的な世界観を統合し、完全にバランスの取れた状態にするのが理想だと思います。

XI 正義

タロットでは、大アルカナの11番目のカード、「XI 正義」の中で、女神が左手に天秤を持ち、二元論的な物事のバランスを取ろうとしています。0番の「0 愚者」を除いた21枚の大アルカナは、この「XI 正義」を中心にして、前半の10枚と、後半の10枚の2組のカードに分けられ、完全にバランスを保っています。しかし、「XI 正義」のバランスは、女神の右手にある剣に象徴されるように、あくまで物事を2つに切り分ける二元論的なバランスでしかありません。

「0 愚者」を除いた21枚の大アルカナを1番から順番に1列に7枚ずつ以下の図のように並べ、中央の「XI 正義」を中心にした対角線上の2枚のカードの数字を足すと、すべて「22」になります。「XI 正義」だけは、それ自身の数字「11」を2倍にすることで「22」となります。これは、「XI 正義」が大アルカナのかなめとなるカードであることを証明しています。

図

XXI 世界

やがて、この2つの世界観が統合され、進化した完全な世界となるのが21番目の「XXI 世界」です。実は、0番の「0 愚者」はこの21番目のカードと同じレベルの世界を表しており、この2枚は同一のものとして扱うこともできます。その証拠に、「XXI 世界」のカードを見ると、中央の女性の周りに緑色の木の枝で作られた「」という数字が描かれているのが見えるでしょう。「」は、その形と同じ卵や植物の種のように、その中にひとつの完全な世界を包み込んでいるのです。「0 愚者」はどこにも存在しなかったわけではなく、この世界そのものだったのです。それは世界というよりも、「宇宙universe)」という言葉で表現すべきでしょうか。

0 愚者

タロットというのは、この「0」と「21」がループしながら進化してゆく、らせん階段のような宇宙の神秘を表したカードだったんですね。(らせん階段といえば、生物の遺伝子情報を示すDNAもまた、らせん階段のような構造でしたね。)

さて、話を戻すと、HTML文書を構成する <タグ>(中身)と <スタイルシート>(見た目)のどちらも大切だという理由も何となくわかっていただけたかと思います。ホームページの作り方などを解説したサイトを検索してみると、たいてはどちらか一方に偏った内容になっています。文章の構造を重視するあまり、デザイン的にはあまりにもシンプルすぎて、かえって読む気になれないサイトもよく見かけます。逆に、デザイン重視で見た目はすばらしいのですが、文章の構造はめちゃくちゃというサイトもあります。あるいは、見た目にこだわるあまりに、他人に読んでもらうということを考えていないのではないかと思うような独特のデザインで満足している人もいます。何も考えずに適当に書かれているサイトというのももちろんあるわけですが……。本当に美しいWebサイトというのは、文章の構造もデザインも十分に作りこまれているものです。

バランスを保つということは、なかなかむずかしいことですが、できる限り、どちらかに偏るようなことがないよう努力する姿勢が大切なのではないでしょうか。

文章の構造やデザインばかりでなく、もちろん文章の話題もバランスよく。「善」や「悪」のどちらか一方に偏るのではなく、どちらも対等に扱うことができたらすばらしいと、そんな気がします。

(関連)

X 運命の輪

XXI 世界

XI 正義」が分ける前後10枚ずつの大アルカナは、前半は「X 運命の輪」で象徴され、後半は「XXI 世界」に象徴されます。「X 運命の輪」と「XXI 世界」を見比べると、「X 運命の輪」には中心からの距離が等しい正円「」が描かれていますが、「XXI 世界」の円は縦長につぶされた楕円「0」になっています。この楕円は1つの世界が上下の2つの世界に分離されようとしている兆候なのかもしれません。

まるで、1つの細胞が分裂して2つになるように、新しい世界の誕生を暗示しているかのようにも見えます。


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