タロット占い講座


[ 第46回 ]

スピリチュアル・バランサー

タロットカードを用いたメソッドとして「スピリチュアル・バランサー」を紹介します。

目次

真のスピリチュアルとは

学びて思わざれば則ちくらく、
思いて学ばざれば則ちあやうし。

(中国の思想家、孔子の言葉)

それこそが、真のスピリチュアルなのではないかと思うのですが……。

占いなどの神秘主義思想は横に広がる大洋感情とでもいうべきものなのでしょうか。あるいは、大地のようなものと表現すべきか。母性的とも言えるでしょう。感覚や感情に左右されがちです。「思いて学ばざれば……」になりがちなのはこちらのタイプです。

それに対して上下に伸びる縦型の思想、あるいは精神と呼ぶべきものもありますね。天を示すもの、父なる神、父性として表現されるもの。占いなどの神秘主義と対になるものということであれば、それは現実主義ということになるのでしょうか? 理性や知性を重んじます。こちらに傾けば、「学びて思わざれば……」になるわけです。

仮に、横型を神秘主義、縦型を現実主義とすると、その両方を組み合わせたものが「スピリチュアル」なのだろうと、なんとなくそんな気がしました。

世間でブームになっている「スピリチュアル」はとかく神秘主義に傾きやすいと思うのですが、現実主義的な思想でしっかりと導かないと間違った方向に進んでしまいます。縦と横のバランスが大切なのです。

十字架

十字架

キリスト教の十字架はなぜ縦の棒が横の棒より長いのでしょう?

タロットカードの中にも十字架が描かれているカードはいくつかあります。

女司祭長

大アルカナの「Ⅱ 女司祭長」の胸に描かれているのは縦と横の長さが等しいギリシャ十字です。縦と横の長さが等しいということは、どちらにも偏りがなくバランスが取れているということになります。真のスピリチュアルとはこのような状態であるべきです。

ところが、キリスト教の十字架は縦が長い。ということは、縦型の思想に偏っているということなのでしょうか? キリスト教や、ユダヤ教などは男尊女卑の傾向が強く、父親の権力が強いものでした。そのような宗教の十字架ならば父性を示す縦の棒が長くなってしまうのは当然かもしれません。

皇帝

法王

ちなみに、「Ⅳ 皇帝」にはアンセイタ、あるいはアンクと呼ばれる十字架が描かれ、「Ⅴ 法王」にはパパル十字と呼ばれる十字架が描かれています。いずれも縦のほうが長い十字架です。どちらも男性を示すカードですから、カードの作者が意図的にこのような十字架を描きこんだのかもしれません。

女帝

アンク()の形は女性(金星=ビーナス)を示す記号「」と似ていますが、この記号は「Ⅲ 女帝」の中に描かれています。「♀」の場合は十字の部分だけを見れば縦横ほぼ同じで、ギリシャ十字に近いですね。「Ⅱ 女司祭長」「Ⅲ 女帝」共に女性を示すカードですから、これもカードの作者が意図したものなのかもしれません。

吊られた男

タロットにはイエス・キリストがはりつけにされた十字架が露骨に描かれたカードはありませんが、それと関連付けて解釈されるカードとして「ⅩⅡ 吊られた男」があります。このカードの起源は定かではありませんが、縦横に組み合わされた木に男性が逆さづりにされている姿は、確かに十字架上のイエス・キリストを連想させなくもありません。男性の頭の周りにはキリスト教関係の美術によく見られる光輪まではっきりと描かれています。このカードに描かれている棒も、やはり縦のほうが長いですね。このようなT字型はギリシャ文字の「Τ(タウ)」に似ていることからタウ十字と呼ばれることもあります。

キリスト教が父性に偏った宗教(思想)であるというのは間違いなさそうですが、もしそうだとすると、それは「バランスを失った思想」ということになるのでしょうか。このようなことを断言してしまうと信者の方には怒られてしまいそうですね。

私たち一般人はとかく横型の思想=神秘・物質主義思想に傾きやすいのかもしれません。それを引き止め、バランスをとるために、キリスト教などは縦型の思想=現実・精神主義思想に傾く必要があったのではないでしょうか。

占い師は感情に流されやすい

十字

十字架の縦の棒は父性、現実、精神、思考などに対応し、それに対して横の棒は母性、神秘、物質、感覚などに対応すると考えられます。

縦型 横型
父性
現実的
精神
思考
母性
神秘的
物質
感覚

この考え方をタロットに当てはめてみると、小アルカナの棒(ワンド)と剣(ソード)は縦型、カップ(聖杯)とペンタクルス(コイン・金貨)は横型ということになると思います。

縦型 横型
棒(ワンド)
剣(ソード)
カップ(聖杯)
ペンタクルス

キリスト教の場合は十字架の考察から、どちらかというと縦型に属していると思われます。占いなどの場合には神秘主義思想に含まれるため横型に分類されることになるわけですが、そう考えると、キリスト教などで占いなどが禁止されている理由も納得できるのではないでしょうか。

「占い」カテゴリーのブログを見て回ってみると、そういうブログの著者(多くは占い師)のタイプはやはり横型に偏っている人が多いように思えました。そういう人たちは、あまり理性的ではなく、感覚だけで物事を判断しがちです。

インターネット上でコミュニケーションをする場合、相手の顔が見えないだけに、感覚的に相手を見てしまうと誤解の元となり、思わぬトラブルを招くことになってしまいます。見えない部分を勝手な思い込みで判断してしまわず、理性的なお付き合いをするためにも、縦型の思考パターンを十分に養っておく必要があるでしょう。

そういう意味では、縦型の十字架に象徴されるキリスト教などの思想は、横型に偏りがちな占い好きな人たちにこそ必要なものなのだと思います。

あなたの縦と横のバランスは大丈夫ですか?

横書きの文章ばかり読んでいると思考パターンが偏ってきます。縦書きの文章も適度に読んでバランスをとることは大切なことですよ。というわけで、私のブログは縦書きで読めるようになってます。

4区分

前項では小アルカナの四つのスート(組)を縦型と横型に分類してみましたが、これをそのまま四つのタイプとして分類し、それぞれのバランスを考えてみるのも良いと思います。

4スート

十字の周りには四つの空間ができるので、なんとなく図のようなイメージを描いてみました。この構図は四角に智天使(ケルビム)を配した大アルカナの「Ⅹ 運命の輪」や「ⅩⅩⅠ 世界」にも似ていますね。

運命の輪世界

「Ⅹ 運命の輪」が縦と横の長さが等しい正円なのに対し、「ⅩⅩⅠ 世界」が縦長の楕円になっているのは興味深いところですね。

実は、この考え方はユングの心理学とよく似ています。ユングはまず、性格を外向性と内向性の二つのタイプに分け、さらに、直観、感情、思考、感覚の四つのタイプに分けました。

外向性は縦型、内向性は横型ということになるでしょうか。小アルカナの棒(ワンド)は直観、カップ(聖杯)は感情、剣(ソード)は思考、ペンタクルス(金貨)は感覚という対応になります。

4タイプ

また、西洋占星学などで扱う四元素(火・地・風・水)に対応させて解釈することもできます。

四元素

このような考え方をタロット占いに応用したのがスピリチュアル・バランサーです。

スピリチュアル・バランサー

縦型と横型のバランス、4区分の属性(性格)のバランスについてお話してきましたが、これらを占いに応用することで、スピリチュアルなバランスを整える手助けとなります。このようなメソッドを「スピリチュアル・バランサー(spiritual balancer)」と呼ぶことにしましょう。(私が独自に命名しました。

方法は簡単です。まず、78枚のフルセットのタロットカードをよくシャッフルし、適当な展開法(スプレッド)でカードをめくります。めくられたカードのうち、大アルカナは何枚含まれているか、小アルカナの各スートは何枚ずつ含まれているか数えます。それらの数の大小によって、占いの対象となる事柄のスピリチュアル・バランスを量ることができます。

例えば、ヘキサグラム・スプレッドで7枚のカードをめくったとしましょう。結果は次のようになったとします。

ヘキサグラム・スプレッドの例

まず大アルカナですが、これは占いの対象となる事柄がどれだけ重要かを量る目安となります。大アルカナは78枚の中に22枚含まれ、約3分の1の割合となるので、7枚中1枚という数は平均的な数値より少ないといえます。つまり、この事柄はそれほど重要ではないという結果になります。

次に小アルカナの数を見ます。小アルカナはそれぞれ14枚ずつなので、大アルカナを除いた残りのカードの中では、確率的には等しい割合でめくられることになります。今回の例では棒が0枚なのでこの属性が弱くなっており、ペンタクルスが3枚なのでこの属性が強くなっていると判断することができます。イメージとしては、活発に動くエネルギーに欠けていて、だらだらと飲み食いしながら贅沢に消費する生活をしているような感じでしょうか。大アルカナとして出たカードが「皇帝」であることから、平和ボケしたメタボな王様を連想してしまいます。

また、縦型・横型という見方をするならば、縦型(棒・剣)に一枚、横型(カップ・ペンタクルス)に五枚で、大きく横型に偏っています。

グラフに表すとこんな感じになります。

グラフ

このように横方向に平たくつぶれたグラフを見ると、一目で横型に偏っていることがわかりますね。

これではバランスが悪いので、バランスを整えるためには棒の属性を増やして、ペンタクルスの属性を抑えると良いということがわかります。例えば、肉食を控えて菜食にしなさいとか、お金をかけずに楽しめる遊びや仕事などを探してみると良いというようなアドバイスになるかもしれません。

また、縦型を強化するために、勉学に励んだり、縦型の象徴図形(キリスト教の十字架など)を使って瞑想してみたり、教会に足を運んでみたりといったことも良いアドバイスとなります。

重要なことは、カードだけで判断しないということです。現実に起きている状況を良く思い出し、何が棒の属性に当てはまる事柄なのか、何がペンタクルスの属性に当てはまる事柄なのかということをよく確認してください。その上で、それらの事柄が弱っていたり強すぎていたりすることを認め、よく反省してみてください。対処法を考えるのはその後です。

このように、占いで四つの属性の偏りをおおざっぱに判断し、それらを調整するように行動することで、スピリチュアル的にもバランスを取り戻し、充実した生活を送れるようになるでしょう。

占う対象となるような事柄が特にない場合でも、現在の自分のスピリチュアル・バランスを量る目安として、朝起きたときとか、何か行動を起こす前など、日常的にカードをめくってみると良いと思います。

なお、使用するタロットの展開法は何でも良いのですが、一枚だけしか使わないワンオラクルのような展開法よりは、複数のカードを使うものの方がこのスピリチュアル・バランサーには適しています。そのときの気分で自由に展開法を選んでみてください。今回使用したヘキサグラム・スプレッドならば以下のページでいつでも占うことができます。

あるいは、展開法は使用せず、十枚前後のカードをめくって大アルカナや小アルカナの数を数えるだけでもかまわないでしょう。この方法なら、テーブルなどの広いスペースがない場所でも簡単に占うことができます。

スピリチュアル・バランサーはタロットカードを用いたすべての占いで応用することができますが、文字通りスピリチュアルなバランスを量る診断ツールとして、様々な場面で積極的に活用していただければと思います。


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