タロット占い講座


[ 第36回 ]

占星学とタロット(1) - 大アルカナ

タロット占いは他の神秘主義思想などと関連付けて解釈されることもありますが、私としては、カバラの生命の樹や数秘術、ヘブライ文字などとの関連は、いまいちピンとこないので、あまり重視していません。ただ、西洋占星学との関連については、割となじみやすいので、覚えておいても損はないと思います。

星座とタロットカード(大アルカナ)の関係については、タロット占い講座[第8回]に一通り書いてありますが、残りのカードにも7つの天体(惑星)が当てはまります。解説書によっては新しく発見された天体も含めて当てはめているものもありますが、そこまでやると、また混乱してくるので、私は7つで十分だと思っています。なぜなら、1 週間は今でも 7 日だからです。

それぞれのカードについて、一通り見てゆきましょう。

I 魔術師

天体の「水星」に対応します。この天体に対応するギリシャの神はヘルメスですが、ヘルメスは魔術師の祖とも言われる人物です。

II 女司祭長

天体の「」に対応します。ウェイト版では月のイメージはカードの中にはっきりと描かれているのでわかりやすいと思います。18番目のカードに「月」があるので混乱しやすいですね。

III 女帝

天体の「金星」に対応します。美の女神ヴィーナスのイメージと女帝が重なって見えます。また、ウェイト版ではカードの中にも金星のマーク「♀」が描かれています。

IV 皇帝

星座宮の「白羊宮」に対応します。ウェイト版では玉座に羊の頭の装飾が見えます。

V 法王

星座宮の「金牛宮」に対応します。牛が描かれているのはトートのタロットでしたか?(実は実物が手元にないので・・・)

VI 恋人

星座宮の「双子宮」に対応します。描かれた男女が、双子に見えなくもないですね。

VII 戦車

星座宮の「巨蟹(きよかい)宮」に対応します。トートのタロットには描かれていましたね。

XIII 力

星座宮の「獅子宮」に対応します。獅子(ライオン)がはっきりと描かれているので、獅子宮に対応すると考えるのは自然です。伝統的なデッキ(マルセイユ版とか)では「力」のカードは11番目で、8番目には「正義」が来ているのですが、占星学と関連付けて考えたい場合には、順番的には8番目に「力」が来た方がしっくりします。

IX 隠者

星座宮の「処女宮」に対応します。いわゆる「乙女座」なので、乙女と老人ではイメージがかけ離れていると思うかもしれません。しかし、処女宮の基本的意味は、分析や批判なので、そういう意味では、暗闇でランプをともす老人のイメージがうまくあてはまっていると思います。

X 運命の輪

天体の「木星」に対応します。

XI 正義

星座宮の「天秤宮」に対応します。正義の女神が片手に天秤を持っているので、明らかに天秤宮です。

XII 吊られた男

エレメントの「」に対応します。

XIII 死神

星座宮の「天蝎(てんかつ)宮」に対応します。毒をもつさそりのイメージは、鎌を持った死神のイメージと重ねて見ることもできます。蠍座の赤い星(アンタレス)にも死のイメージがあります。

XIV 節制

星座宮の「人馬宮」に対応します。狙った的に向かって一直線に飛んでゆく矢のような緊張感と、手にしたカップの中の液体を一適もこぼさず空中で移し替えている節制のイメージは重なります。

XV 悪魔

星座宮の「磨羯(まかつ)宮」に対応します。カードに描かれている悪魔のモチーフは山羊です。山羊は悪者ではないのですが、単に性欲の強い生き物だというだけで、禁欲的な宗教においては悪魔とみなされたのかもしれませんね。実はピーターパンなのですが・・・

XVI 塔

天体の「火星」に対応します。いわゆる「凶星」ですから、「塔」のカードの不吉なイメージと重ねてみることもできるでしょう。

XVII 星

星座宮の「宝瓶(ほうへい)宮」に対応します。描かれた女性が水瓶を持っているので、イメージしやすいでしょう。この星座宮の基本的意味は「変化」です が、「星」に描かれた女性が衣服を脱ぎ捨てているように、それまでの固定観念を捨てて新しい価値観を求めるといったような意味と一致します。

XVIII 月

星座宮の「双魚(そうぎよ)宮」に対応します。天体の「月」そのものに対応しないのは疑問に思うかもしれませんが、「月」は「女司祭長」に取られてしまったので仕方ないですね。カードのイメージ的には双魚宮のようなウェットなイメージがちょうどいいのかもしれません。

XIX 太陽

天体の「太陽」に対応します。これは、そのままなのでわかりやすいですね。

XX 最後の審判

エレメントの「」に対応します。

XXI 世界

天体の「土星」に対応します。「運命の輪」の「木星」と対になるものとして考えてみましょう。一見、「世界」のカードは良いカードとして解釈されがちなので、凶星の「土星」はふさわしくないように思えるかもしれません。しかし、かつての占星学においては、土星は最も遠くにある天体で、この世の果てを意味していました。そういう意味で、大アルカナ最後のカードである「世界」に当てはめるのは自然な考え方です。また、それ以上先がないもの、進展がないものという意味では、「世界」も「土星」同様マイナスのイメージを持っています。それに対して、「運命の輪」は大アルカナの中央にあり、良い方向にも、悪い方向にも、常に変化し続けるイメージがあるので、「世界」とは全く逆の性質もあります。そういう意味で、「土星」と対になる「木星」があてはまっても不思議ではありません。

0 愚者

エレメントの「」に対応します。エレメントとの対応については、私もよくわかっていないのですが、エレメントというのは、通常は、火・土・風・水の4つがあるはずです。ところが、大アルカナに対応するエレメントは火・風・水の3つだけで、土がありません。その意味は、他の天体や星座宮全体が「土」を表しているというような解釈だとどこかで読んだような気もしますが、いまいち説得力に欠けます。あるいは、「土」はカードに示されず、そのカードを扱っている人物「占者」自身を示すとか?

いずれにしても、あまり深く考える必要はないでしょう。他の、カバラやなんかと同様、意味はわからなくても、何となくそういうものだと思って、利用させてもらえばいいのです。タロット占いで大切なのは、カードその物の意味ではなく、それを見て何を感じるかという、インスピレーションですからね。

占星学そのものを学ぶ必要はありません。占星学と関連付けることで、12星座の物語や、7つの天体とそれにまつわるギリシャの神々の物語などをもとに、カードのイメージに深みを与えることができ、より豊かなインスピレーションを得られるようになるでしょう。


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