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北原こどもクリニック  



  おとうさんが読む「絵本」


  ●おとうさん「が」読む絵本(その3) 平成15年5月〜8月に取り上げた絵本 


(その1)の「おすすめ」絵本 は?●  

(その2)の「おすすめ」絵本 は?●  

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『はくちょう』 内田麟太郎/文  ・ いせひでこ/絵             

(講談社)¥1600 (税別)    2003年07月25日 第1刷発行


内田麟太郎さんの日記で話題になっていて、しかも、どうも今までの内田麟太郎さんの絵本とはぜんぜん違う雰囲気らしいという情報だけが先行したこの絵本『はくちょう』。ずっと気になっていて、先日、講談社・絵本通信を見たら、今月の新刊紹介で、なんと絵本の中味も見ることができました。

一目見て、なんだか「とてつもない傑作」の予感がして、居ても立ってもいられなくなり、この間の日曜日に、女房・子どもを説得して『はくちょう』原画展が開かれている穂高町「森のおうち」 に行ってまいりました(^^;)

絵本美術館では、どうしても「絵が主」で「テキストが従」になってしまうのですが、このテキストの主張は何故か強い。ある種、作者の確信犯的な企み、もしくは、そうゆうのを一切ぬきにしても、純粋な「ことば」の強さ、とでも申しましょうか、詩人の言葉が確かにそこで存在を主張している。それに対して、画家は真正面から真面目に受けて立っているのです。

この絵本では「絵本作家と絵本画家とのコラボレーション」という言葉は似合いません。むしろ、武蔵・小次郎の巌流島の決闘を思わせる、殺気に満ちた真剣勝負の緊張感と気迫が漂っていて、読者はただただ圧倒されるのでした。

少なくとも、絵本画家にはその覚悟があったように思われます。それほど原画が放つ迫力はすさまじい。取り残された白鳥の孤独と、ただ見守るしかない「池」の孤独。そして、"I can't give you anything but love" としか言えない「池」が流す涙。それを如何に画像化できるかが絵本画家に問われた訳ですが、いせひでこさんは、見事にその期待に応えてくれたと思います。すばらしい絵本が出来上がりました(^^)

われわれ読者は、この絵本に登場する「キツネ」と同様、2人の関係にジェラシーを感じながら、こういう恋愛が確かに存在したという「生き証人」として、ただ「そこにいて」傍観するしかないのでした。この絵本を読み終わって感じる、何とも言えない寂寥感は、どうもそのあたりに起因するのかもしれない。

ところで、本の表紙〜裏表紙に描かれた「Cygne chanteur」の文字の意味が分からなかったのですが、「白鳥」の学術名のフランス語読みなのでしょうか?

「森のおうち」の2階に上がると、『1000の風1000のチェロ』の原画が展示されています。階段を上ってすぐ右手の部屋の壁一面が、1000人のチェロ奏者の「巨大なコラージュ」になっていて、とにかくこれが素晴らしい。よーく見ると、左側では「ゴーシュ」のようにチェロを弾く宮澤賢治がいて、画面右側では、きびしい表情をした ゴッホがチェロを弾いているんですよ。

賢治とゴッホ 。それがいせひでこさんの、永遠のテーマだったんですね。南仏の「枯れたひまわり」の写生画が、とても印象に残りました。それから、エッセイストとしての評判を確立した、『グレイがまってるから』 も、じつは未読だったりするので、こんどちゃんと読んでみよう(^^;)

「森のおうち」いせひでこ絵本原画展は、9月30日までです。

(2003年 8月12日 記)

  
『はくちょう』
 内田麟太郎/文
 いせひでこ/絵
 (講談社)


  
『雲のてんらん会』
 いせひでこ/作・絵
 (講談社)








  
『1000の風1000のチェロ』
 いせひでこ/作・絵
 (偕成社)










『視覚ミステリーえほん』 ウォルター・ウィック/作・写真             

(あすなろ書房)¥1800 (税別) 1999年05月25日 初版発行 2002年11月10日 9刷発行


●子どもたちに大人気の写真絵本に『ミッケ!・シリーズ』(小学館)があるのですが、その作者にして写真家であるウォルター・ウィック氏が精魂込めて製作した「もうひとつ別の絵本」が、この 『視覚ミステリーえほん』です。でも、こちらは案外知られていないみたい。

オランダの不思議な画家、M.C.ESCHER「この絵」 は、誰もが一度は見たことのある、現実にはありえない摩訶不思議な建物の絵ですが、ウォルター・ウィックは、この『視覚ミステリーえほん』の15ページで、あの建物を(CGや合成写真ではなく)なんと実写で、再現してみせたのでした。

実写といっても、もちろんそれは、この作者が綿密に計算したカメラアングルと照明の角度によって、見る者に「そういうふうに見える」よう錯覚を起こさせているだけなんだけど、出来上がった写真があまりに完璧で、いつまでもずっとながめていたくなる不思議な写真です。

この本の中には、そんな不思議な写真がほかにもいっぱい載っています。エッシャーの世界を「絵本」で紹介している安野光雅氏の『ふしぎなえ』(福音館)や、『ABCの本・へそまがりのアルファベット』(福音館)なども、じつに楽しい絵本ですが、この『視覚ミステリーえほん』の凄いところは「絵」でなくて全て「写真」なので、見る者は妙にリアルに感じられてその不思議さが倍増することです。

同じ出版社から『ひとしずくの水』という、これまたセンス・オブ・ワンダーにあふれた写真が満載の、素敵な写真絵本が出ています。

(2003年 7月31日 記)

  
『視覚ミステリーえほん』
 ウォルター・ウィック/作・写真
 (あすなろ書房)


  
『ひとしずくの水』
 ウォルター・ウィック/作・写真
 (あすなろ書房)




『ダーナ』  たむらしげる/作・絵            

(ほるぷ出版)¥1300 (税別) 1993年09月30日 第1刷発行 


●日本の小児科医の中で、最も「絵本」に造詣の深い先生は誰か? といいますと、文京区・大塚にある吉村小児科の院長、内海裕美先生であることは、おおかたの認めるところだと思います。雑誌『チャイルドヘルス』(診断と治療社)での連載「絵本の世界から」は、ぼくも毎月愛読させていただいてます(^^)

では、2番目に詳しい小児科医は誰か?  それは新潟県柏崎市のおぎた小児科医院の、荻田安時先生です。その荻田先生は、大の林明子ファンでもあるのですが、先生が最も好きな絵本作家は、じつはたむらしげるさん、なんですね。

内海先生には、何回かお目にかかったことがありますが、新潟の荻田先生には一度もお会いしたことはありません。ただメールでのやり取りはありました。外来小児科メーリングリストの中で、荻田先生はこう仰いました。
たむらしげるの絵本の中で一番好きなのは『ダーナ』なんです
と。(2003年 7月06日 記 まだまだ続く)

●ぼくはまだ『ダーナ』を目にしたことがありませんでした。そしたら『絵本たんけん隊』の中で椎名誠さんがこんなことを言っていたんですね。
情報量が多すぎるということは、同時にどんどん消していってしまうということなんです。けれど情報が少ないということは、自分がそれを補っていかなければならないから、ひじょうにアクティブに、話のなかに入り込まなければならない。

 ぼくは、絵本というのは、情報量のひじょうに少ない、優れた、伝搬物だと思います。だから絵本って素晴らしいなと、思うのです。絵本によっては、なにも字が書いてないものもあるんですよね。子どもたちはそれを見て、たくさんのことを考えなければならないわけです。いったいこれは、なにを自分に伝えようとしているのか。そこのところが、やっぱりいいですね。その観点から、ぼくは絵本を、いまだに大人になってもよく見るんです。

 このあいだ、たむらしげるさんの『ダーナ』という絵本を見ました。ぼくはこの絵本がひじょうに好きなんだ。たむらしげるさん特有の、ひげの生えたおじいさんが登場します。背中に大きなゼンマイのある、コックのクマも出てきます。

               (中 略)

ぼくは何度も、しみじみとこの絵本を見ました。大人が時間をかけてちゃんと見ていける世界をもっている本です。音がなくて静かな話です。でもぼくはそこから、やっぱり音を聞こうとしているんですよ。ここにいたならば、どんな音が聞こえるのか。電車が走る音は、どんな音なんだろうとか。やっぱりそこで二、三分考え込んでしまいます。ぼくの何百倍もイマジネーションのある子どもたちは、もっとたくさんのことを、そこから考えることができると思うんです。(p33〜35)『絵本たんけん隊』椎名誠・著(クレヨンハウス)
●荻田先生も椎名さんも絶賛なら、これは読まないわけにはいくまい。ということで、最近になってようやく手に入れたのです、『ダーナ』

 これ、いい。しみじみイイ。めちゃくちゃイイ。ラストで「じーん」ときてしまいました(^^;)

表紙の「ひげのおじさん」の透き通ったかなしい目が、たいへん印象的です。ぼくはこの絵本を読んで、イギリスのSF作家クリストファー・プリーストが書いたハードSF『逆転世界』 (創元推理文庫)のことを思い出していました。あの小説の主人公も、たしか「かなしい目」をしてた。

たむらしげる さんのHPに行くと、Dahna Booksの中に「ダーナ/創作ノート」というPDFファイルがあります。これ、ぜひ読んでみてください。絵本『ダーナ』誕生の秘密が詳しく書かれています。じつはこれを読んですごく驚いたんです。この静かな絵本の向こうに、ヌスラット・ファテ・アリ・ハーンのあの熱狂的な「音」が響いていたとは、思いもよらなかったからです。

パキスタンの「カッワリー」と呼ばれるイスラムの宗教音楽の最高の歌い手であるヌスラットは、ぼくも大好きなのですが、彼の音楽をぼく自身の言葉で表現することが未だにできないでいたのでした。たむらさんが言う「ほふられた羊たち……」という歌詞が入った彼のCDを、たしか持っていたはずだと思って、ずっと探していたのですが見つかりません。『法悦のカッワーリー(I)』 (VICG-60315)に収録された1曲目「ナミー・ダーナム」の歌詞を見ると、屠られた動物が身悶えていたという部分があるのだけれど、このことなのだろうか?

久しぶりに取り出したこのCDを聞きながら、『ダーナ』を広げて見たら、なんだかとっても不思議な感じがしました(^^;)

(追記)ヌスラット『法悦のカッワーリー(II)』 (VICG-60316)の方が聞きやすい曲がそろっていてオススメではあります。
(2003年 7月09日 記)

  
『ダーナ』
 たむらしげる/作・絵
 (ほるぷ出版)


  
『逆転世界』
 クリストファー・プリースト/作
 安田均/訳
 (創元SF文庫)



































































『どうぶつえん』  アンソニー・ブラウン/作・絵 藤本朝巳/訳            

(平凡社)¥1500 (税別) 2003年05月20日 初版第1刷


「児童文学書評」5月号に、この絵本に関する細江幸世さんのすぐれた評論が、すでに載っているのですが、ぼくも『子どもはどのように絵本を読むのか』ヴィクター・ワトソン&モラグ・スタイルズ/編・谷本誠剛/監訳(柏書房)を読んで、この本の中に何度も登場するイギリスの絵本作家アンソニー・ブラウンが、イギリスの子どもたちにすごく受けているという事実を知って驚きました。で、あわてて『こしぬけウイリー』ほか、アンソニー・ブラウンの絵本を 何冊か図書館から借りてきて読んでみましたが、うーむよくわからない(^^;;

『子どもはどのように絵本を読むのか』の中では、『どうぶつえん』『トンネル』の2冊が大きく取り上げられていたのですが、この2冊はまだ翻訳本が日本では出ていませんでした。それが、この5月に平凡社から『どうぶつえん』が出版されたのです。さっそく注文して読んでみると、これが面白い。(でも、うちの子どもたちには、あまり受けませんでしたが(^^;;)

動物園といえば、『新明解国語辞典』(三省堂)に載っている「動物園」の項目が以前から有名ですが、この絵本は、あの記載「生態を公衆に見せ、かたわら保護を加えるためと称し、捕らえて来た多くの鳥獣・魚虫などに対し、狭い空間での生活を余儀無くし、飼い殺しにする、人間中心の施設」そのものを主題とした絵本でした。

(2003年 6月28日 記 まだまだ続く)

●『どうぶつえん』の奇妙な絵、普通じゃないところに、子どもたちはすぐに気がつきます。カタツムリが唐突に空を飛んでいたり、ピンクの車に「しっぽ」があったり。チケット売場に並ぶ人たちに角があり、嘴があり、女の人の足がカエルだったり、売場の人はビーバーみたいだとか。それにしても、このイギリスの父さんのセコさは笑えませんよ。ぼくもよく小1の長男を幼稚園児と偽ることがあるからです(^^;;

動物園に家族が入場すると、左側のページに「この家族の振るまい」が描かれ、右側のページには、リアルで細密なタッチで描かれた動物たちが次々と登場します。でも、ゾウはうんこしか見えないし、キリンは後ろのレンガの色が保護色になってるし、トラの檻に生えている草は、反対向きのトラの形で生えてるし、檻の外には同じような紋様の蛾がいるし。

サイの檻は、バックの建物自体がまるでサイみたいで、ペンギンのプールの奥には、幽霊みたいな子どもが写っていて、マントヒヒの檻の前では、人間の方が檻に入っているようにう見えて。そうして、日ごろの仕事の憂さ晴らし のために動物園にやってきた、ノー天気なおとうさんと違って、おかあさんの表情はどんどん暗くなってゆきます。

で最後に、ゴリラの登場です。このゴリラがじつにいい顔をしている。遠くをじっと見つめるその目は、まるで東大寺・戒壇院の「広目天」みたいに、アホらしい人間どもの世界を悲哀をこめて見つめているみたいだ。この絵本の中で、どの人間よりも最も理知的に描かれている「ゴリラ」が、何故かパズルのように4分割されている。

これは、このゴリラが檻の中に閉じこめられていることを、作者が表しているのだ、と、ぼくは思いました。

●アンソニー・ブラウンの初期の絵本に『すきですゴリラ』(あかね書房)という絵本があります。この本は、アンソニー・ブラウンの絵の特徴が、最も判りやすく描かれていると思います。実際、うちの子どもたちには『どうぶつえん』よりも、こっちの絵本のほうが凄く受けた(^^;) アンソニー・ブラウンて、本当にゴリラが好きなんだね(^^;;

表紙のバックに描かれた「影絵」の中に、キングコングがいて、足がぶら下がっている窓があって。朝食の場面、赤いセーターを着た主人公の少女の向こうには、青で統一された「冷たい」おとうさんがいます。それから、2階の彼女の部屋へ上がる階段の途中の「モナリザの絵」がゴリラだし、玄関の左側に掲げられたタイトルは忘れたけど、イギリスでは有名な絵もゴリラ。

ぼくの長男は、この絵を目ざとく見つけて、「あっ! Mr.ビーンだ!」そう言いました。アメリカ映画『ビーン』に、この絵が登場するのだそうです(ぼくは観てないので知らない(^^;;) でも、その一言を聞いて、解ったんです。アンソニー・ブラウンは、じつはMr.ビーンだということに。アメリカ人には「変なおじさん」にしか見えないMr.ビーンは、イギリス人や日本人には、大人も子どもにも、すごく愛着があります(もちろん、映画版ではなくて、テレビシリーズのほう)それは、アメリカ人には決して理解できない「アイロニー」を、イギリス人も日本人も(子どもたちもみな)日々感じながら生きているからだと思います。

でも、ホント、イギリス人って、屈折しているね(^^;;  ところで、『すきですゴリラ』のラストでは、おとうさんが赤いセーターを着て、ジーパンのポケットにバナナを忍ばせています。よかったよかった(^^)

●ひとつだけ、どうしても分からないことがあります。ウィリーはチンパンジーですよね、ゴリラじゃなくて。彼の周りはみな、ゴリラなんだけれども……
(2003年 6月30日 記)

  
『どうぶつえん』
 アンソニー・ブラウン/作・絵
 藤本朝巳/訳
 (平凡社)


   
『子どもはどのように絵本を読むのか』
 ヴィクター・ワトソン&
モラグ・スタイルズ/編
 谷本誠剛/監訳
 (柏書房)



  
『みんなで話そう、本のこと
子どもの読書を変える新しい試み』
エイダン・チェインバーズ/著
こだまともこ/訳
 (柏書房)
































『コッコさんとあめふり』  片山 健/作・絵            

(福音館書店)¥743 (税別) 1991年09月01日 年少版・こどものとも発行 
2003/05/15(ハードカバー)初版発行


梅雨の季節の「絵本」は案外多いので、選択にそれほど困りません。例えば『かさ さしてあげるね』 『ちいさなきいろいかさ』 『はっぱのおうち』 『おじさんのかさ』など、つぎつぎと頭に浮かんできます。

でも本命は、先日ようやくハードカバーで発売された『コッコさんとあめふり』でしょう。ぼくは、この絵本の原画を「小さな絵本美術館」 で見ました。たしか『コッコさんのおみせ』 といっしょの展示だったのですが、とにかく、その繊細で微妙な筆はこびと色使いに、ものすごくビックリいたしました。『タンゲくん』の原画も、たしか以前「伊那市図書館」で見ているはずなのに、絵本作家片山健の凄さを、ぼくが再認識したのが『コッコさんとあめふり』なんですよ。この絵はスゴいなって。

『コッコさんのおみせ』は、すでにハードカバーで出版されていたのに、『コッコさんとあめふり』は、こどものとも年少版のソフト・カバーで発売されただけで、そのままになっていました。それが、つい先日、10年以上経って発売になったのです(^^)

でも、この作品はやっぱり傑作ですねぇ。本の扉を開くと、『おやすみなさいコッコさん』の見開きページと、まったく同じ構図で、コッコさんのおうちからの眺望できる風景が、そこにあるんです。淡い水彩絵具が水に滲んで遠くの建物は雨に霞んでいます。しとしと降り続く雨に街は暗く沈み、まるで『ミラノ、霧の風景』を書いた須賀敦子さんが見ていた霧にけむる冬の北イタリアの景色が、この東京で、この絵本で再現されているのではないかと、ぼくは錯覚してしまいました。

そこに「まいにち まいにち あめふりです」の文字。この文字の印字が、他の「コッコさんシリーズ」の文字よりも、グレイが少し淡い色で印刷されています。

先日、ずっと探していた『絵本を楽しく読見ましょう』川端誠(リブロポート)を、南箕輪村図書館で偶然見つけました。これは凄い本です。どうして絶版のままなんでしょう。この本の、p91〜p113 で「コッコさんシリーズ」が取り上げられています。
 魅力はまず絵ですね。さらさらと描いたような絵でありながら、実に細かいところまで観察されて描かれていて、でもなんか雑なようで、しかしおそろしく存在感があって、迫力があるのにほのぼのとしていて、気軽で適当な絵のように見えて実はとほうもない緊張感があって、なのに見るほうはすこしも緊張しない----。

絵の中に光があって、風があって、空気があって、温度があって……などという抽象的な言い方は好きではないのですが、でも、それらはちゃんと、ある!

 お話があまりにも身近な生活の一コマというのもびっくりさせられます。それでいてドラマがある。
(p91〜p92)
(2003年 6月23日 記 もう少し続く)

片山健さんの絵本というと『どんどんどんどん』 『おなかのすくさんぽ』 の「男の子」を主人公にした、勢いと迫力に満ちた絵本のイメージが強かったのですが、この「コッコさんシリーズ」や、ビリケン出版から刊行が始まった「のうさぎのおはなしえほんシリーズ」のような「女の子」を主人公にした絵本の、静かで落ち着いたたたずまいが、読んでいて何とも心地よいことに最近気がつきました。

『いえ』は、ピンクのくつと黒白の縞模様の靴下がおしゃれな「のうさぎ」がじつにチャーミングでありまして、彼女が「ほーらね。いえが目をあけたよ!」と言う場面と、ラストの雨が降り出した静かな夜のシーンが、しみじみとよいのです。

『ともだち』では、みんなの嫌われ者であるふくろう「やっぱり ぼくのこときらいなんだね」と言うシーンのリアルさと、23ページの、ふくろうが泣きながら飛び立つ場面をさかいにして、いぢわるで猜疑心の強い「目つき」から、素直で優しい「目つき」に変わっている(微妙な変化ではありますが、たしかに違う)ところが素晴らしい。

続刊の『あな』『みずうみ』『ひとり』『おひさま』の刊行が待ち遠しい、今日このごろであります。
(2003年 6月28日 記)








  
『コッコさんとあめふり』
 片山健/作・絵
 (福音館書店)


  
『絵本を楽しく読見ましょう』
 川端誠/著
 (リブロポート)絶版



  
『いえ』
 片山令子/作
 片山 健/絵
 (ビリケン出版)


  
『ともだち』
 片山令子/作
 片山 健/絵
 (ビリケン出版)




















『中川ひろたか グラフィティ 歌・子ども・絵本の25年』  中川ひろたか/作 ささめやゆき/絵            

(旬報社)¥1600(税別) 2003/04/25 初版第1刷発行


新沢としひこ & ケロポンズ ・コンサートの会場で購入したCD『世界中のこどもたちが』 を、このところ毎日聴いているのです。収録された12曲すべてが作詞・新沢としひこ、作曲・中川ひろたか。クレヨンハウスの月刊誌『クーヨン』の前身『音楽広場』に毎月「今月の歌」として連載された歌を、八ヶ岳山麓の小淵沢町在住の歯医者さん藤森先生が個人で所有している「八ヶ岳星と虹歯科診療所・併設レコーディング・スタジオ」で、1988年の5月と6月に録音されたものです。

その傑作「世界中のこどもたちが」誕生秘話が、この本(いわば中川ひろたか氏の回顧録でもある)『中川ひろたかグラフィティ』に詳しく載っています。
 ぼくたちは、子どもの頃に聴いていたNHK「みんなのうた」を目指していた。あの頃の「みんなのうた」、あんなのをつくろう。みんなが歌えて、明るくて、楽しくて、いつまでも歌い継がれるような、そういう歌。『メリーポピンズ』のシャーマン兄弟。『サウンドウブミュージック』のロジャーズ&ハマースタイン。『上を向いて歩こう』の永六輔・中村八大。そんな人たちみたいになろうとよく話していた。(p159〜160)
何とも、ほほえましい記述ですが、まんざら夢物語でもない。「トラや帽子店」の通算1059回、11年間にわたって全国津々浦々で行われたコンサートのラストの曲は決まって『世界中のこどもたちが』だったし、大人は知らなくても、保育園や幼稚園の先生を通じて子どもたちにどんどん知れ渡って行き、とうとう小学校の全ての音楽の教科書に載るまでになったのですから。  (もう少し続く 2003年 6月18日 記)

●この本は、ほんとクイクイ読めます。読みながらいろんなことに合点がいく から、なるほどそういうワケだったんだね、と目ウロコの記載満載です。それから、子どもと関係するいろんな人々(ぼくが以前から関心を持っていた、クレヨンハウスの岩間建亜さんや、絵本作家のあべ弘士さん、飯野和好さん、それから、メリーゴーランドの増田喜昭さん、ほか)が、中川ひろたか氏と必ずどっかで接点があって、子ども業界の人物相関図がよーくわかって、ほんと面白かった。

例えば、『けんかのきもち』 の柴田愛子先生がやってる「りんごの木」に、新沢としひこさんも、ポンちゃん(平田明子さん)も勤めていたとか、童心社の「ピーマン村」絵本シリーズって、中川ひろたかさんの「あだ名」のピーマンと、絵を描いている村上康成さんの「村」を合体させたものだとか。新沢さんとの初対面のシーンなんて、目に浮かんでくるようで、笑っちゃいますよ(^^;)

あの「ピーマン村」絵本シリーズに登場する園長先生が、中川ひろたか氏そっくり、ということは以前から有名でしたが、それにしても『えんそくバス』のエピソードが実話だったとは知りませんでした(^^;) 傑作『さつまのおいも』も、ほとんど勢いだけで生まれた絵本だったのですね。

この本の魅力は、中川さんのさりげない文章力によるところが大きいのですが、ささめやゆきさんの「フレンチ・ポップス」みたいな、どことなくアンニュイでいてお洒落なイラストが、これまた素晴らしい。似顔絵もけっこう似ているし。特に、谷川俊太郎さんは雰囲気でてる。中川ひろたかさんが、奥さまと出会ったころの話なんですが、この「谷川さん」の項は、しみじみとイイなぁ。1970年代前半の『神田川』の世界(三畳一間の小さな下宿〜♪)で(^^;)

あと、ぼくが気に入ったフレーズを少し引用させてくださいね(^^)

 子どもってなんだろうと思った。へんなことを言う。なんで? ってことをする。いつも笑っている。すぐに泣くことができる。いつも歌をうたい、気がつくと走ってる。どうして子どもってこうなんだろうと思った。のと同時に、どうしてぼくたち大人は、こうじゃないんだろうと考えてしまったのね。大人になるということはそういった部分を消すことなのかってね。あんなにすばらしいところを失くしていくことが大人になるっていうことだとしたら、そんなん、つまらないことじゃないかって思っちゃった。



 歌というのは、うたわれるものであるから、やっぱりうたいながらつくるのがいい。楽器を使わない。どうしても手くせ指くせが出てしまうから。そうでなく、一度お腹の中を通すことが大事。詞を身体の中にくぐらせる。さらにいえば、歩きながらとか自転車乗りながら、つまり身体を動かしながらつくると、いいメロディが出てくる感じ、しますね。
(2003年 6月19日 追記)
  
『中川ひろたかグラフィティ
歌・子ども・絵本の25年』
中川ひろたか/作
ささめやゆき/絵
 (旬報社)




















































『こどもザイレン・ひみつのなつまつり』  伊藤秀男/作・絵            

(ポプラ社)¥1300(税別) 2002/02/01 初版発行


●よく、musician's musician とか、writer's writer といって、プロの同業者からは羨望と尊敬の眼差しでつねに注目されているのに、一般の人たちには何故か受けなくて、あまり知られていない芸術家という人たちがいます。例えば、キューバ音楽界でいうと、ブエナビスタ・ソシアル・クラブで売れる前のコンパイ・セグンドがそうでした。

伊藤秀男さんは、大道あやさんとならんで、まさにそういうかんじの絵本作家なのではないか? と思います。実際、少し前の中日新聞に掲載された「長新太さんが選ぶ3冊の絵本」 の最初の1冊に、『海の夏』 伊藤秀男作絵、が選ばれていて、あの長新太さんが、もう絶賛しちゃっているんです。これって、凄いことですよね。

ぼく自身はまだまだ修行が足りなくて、長新太さんほどには『海の夏』を楽しめる境地には達していないのですが、この『こどもザイレン』という不思議なタイトルの絵本と、『たべもの』中江俊夫・文、伊藤秀男・絵(福音館)、それから『さかなつり』 「こどものとも」(2001/7月号)の3冊が、伊藤秀男さんの絵本の中では特に好きです。(もう少しつづく)
(2003年 6月12日 記)

●京都には、夏休みの終わりに「地蔵盆」という子どものお祭りがありますが、伊藤秀男さんの故郷、愛知県は尾張の水郷地帯では「こども祭礼(ザイレン)」という、子どもだけで取り仕切る夏祭りがあるのです。こうした「子どものお祭り」は、全国各地に今も残っていて、毎年、一番年長の子どもから、その一つ年下の学年へと「祭りのしきたり」が伝授されてゆきます。これには、大人は一切関与しません。あくまでも「子どもから子どもへと」引き継がれていくことに意味があるからです。

そのあたりの感じが「この絵本」 では、じつによく出ていて、世のお父さんがたはみな、すっごく懐かしいんじゃないかな(^^;) ぼくは、年上の子どもたちだけが名古屋駅前のデパート屋上でソフトクリームを食べるシーンが、特に好きです。

『さかなつり』は、小さな主人公が思いがけず大鯉を釣り上げるおはなしですが、ぼくにも似たような体験があります。ぼくの場合は、大鯉ではなくて 25cm大のヤマメでしたが(^^;; 絵本を読みながら、あの時の釣り竿の手応えを昨日のことのように思い出しましたよ。

『たべもの』は現在「品切れ」だそうですが、これは本当に「おいしい絵本」です(^^) まずは、表紙のちゃぶ台の佇まいがいいじゃぁありませんか。ページをめくると「もこもこ さといも  ほこほこ さつまいも」「はりはり だいこん  ぱりぱり たくあん」「ぽりぽり きゅうり」「かりかり らっきょう」といったリズミカルな文字に、伊藤秀男さんの水彩画が載っているのですが、この絵がじつにイイんだ(^^) 3歳の幼児には、ちょいと渋すぎますが、和食党のおとうさんには、生唾ゴックンものですぜ。

『けんかのきもち』 や、『ひたひたどんどん』 『やまのむにゃむにゃ』 には触れるスペースがなくなってしまいましたが、志村けん のような「濃い顔」ばかり登場する伊藤秀男さんの絵本は、おかあさんがたは、たぶん手にとって見ようとはしないんじゃないかなぁ。

だからこそ、是非ともおとうさんが子どもたちに読んであげて欲しいのです。

(2003年 6月13日 記)
  
『こどもザイレン』
 伊藤秀男/作・絵
 (ポプラ社)


  
『たべもの』
 中江俊夫/文
 伊藤秀男/絵
 (福音館書店)

  
『さかなつり』
 伊藤秀男/作・絵
 こどものとも/2001/7月号
 (福音館書店)




















『もりのへなそうる』  渡辺茂男/作・山脇百合子/絵            

(福音館書店)¥1300(税別) 1971/12/01 初版発行 2002/06/10 第60刷


『絵本たんけん隊』 椎名誠(クレヨンハウス)は、とても刺激的で読みながらワクワクしてくる、近頃にないおもしろ本でした。本の腰巻きには「椎名誠文学の秘密は、絵本にあった!」と書いてありますが、ホント、椎名誠さんがこれほどまで絵本に関して造詣が深いとは思いもよりませんでしたよ。

でも考えてみたら、奥さんの渡辺一枝さんは保母さんだったし、中学時代からの友人沢野ひとし氏は、絵本好きが高じて「こぐま社」の営業部長にまでなった人なので、周囲の影響が大きかったのでしょうが、

 ぼくはむかし、子どもたちに本を読んでやるのが好きで、よく聞かせていたんです。(p40)

とおっしゃる椎名さんは、絵本を読む父親の先駆者であったのでした(^^)
だからこの本も、父親としての絵本に対する独自なアプローチが随所で見られ、それがとても新鮮で、しかも同じ父親として共感する点も多く、何だかうれしくなってしまうのでした(^^;)

初回でいきなり「怖い話」が登場して、次の次が「うんこの話」。この展開はまったくもって正しい。今までの「絵本ガイドブック」では無視されてきて、でも子どもたちにとっては切実な話題。それをキチンと正面から取り組んでいるところがまずもって凄い!
 きょうの話に関連する絵本を探すために、息子の岳の部屋に久しぶりに入りました。彼の本棚をずっと見ていたら、『もりのへなそうる』という本があったんです。これはずいぶんぼくも読んであげた、思い出のある本です。まさかいまだにもっていたとは思わなかったな。実にこの本は、ほのぼのとあたたかい、笑える本で、ゲラゲラ笑いながら読んであげた記憶があります。

やっぱり絵本というのは、かなりいろんなところに影響し、人生に関係していくんだなと思いました。もしかするとすごくだいじな世界かもしれない。だいじなことはよくわかっていたけれど、もっともっととってもだいじかもしれないと思ってきました。(p82〜83)
ここの文章を読んで、『もりのへなそうる』という「へんてこりん」なタイトルの童話の存在を、ぼくは初めて知ったのです。で、先だって上京した際、銀座教文館 で、息子たちのおみやげに、この本と、『あおい目のこねこ』 を買って帰ったのでした。

四六判の本というのは、最も普及している単行本のサイズなのですが、絵本の世界では案外見過ごされやすいサイズの本です。というのも、四六判の本は図書館の「絵本の棚」には置かれずに、児童書を収める一般書架に置かれるので、小学生以上にならないとチェックしない本棚に入っているからです。

同じサイズの本で要注目の絵本(童話)には、例えばこんな本があります。いとうひろし作・絵『おさる・シリーズ』 および『ごきげんなすてご・シリーズ』『マンホールからこんにちは』 などがあります。

『おおきなおおきなおいも』 それから、『はじめてのキャンプ』 も、このサイズの本です。

『もりのへなそうる』を買って帰って、さっそく読み聞かせしてみたら、なんと息子たちに大受けでした。この本の主人公、てつた君(5歳)と、みつや君(3歳)は、わが家の息子たち(6歳、4歳)と同じ年の差の兄弟だったので、それだけでも親近感がわいたみたいですが、幼いみつや君の「言いそこ間違い」が可笑しくて、親子で大笑いなのです。

それから、へなそうる。へんな名前。たぶんダイナソーからきているのでしょうが、作者会心のネーミングでしたね。

「ぼか、おにぎり、すきなんだナ!」っていうセリフを、芦屋雁ノ助が演じるところの山下清になりきって読むと、特に子どもたちには受けます(^^)

作者の渡辺茂男さんは、先頃亡くなられた山本忠敬氏と共に作った『しょうぼうじどうしゃ・じぷた』や『ダンプのがらっぱち』、それから、クマ君の『どうすればいいのかな』シリーズで有名ですが、彼の代表的な翻訳書には『エルマーとりゅう』のシリーズがあって、へなそうるは、この『エルマーとりゅう』に登場する「竜」の日本版になるワケですね。

『ぐりとぐら』の山脇百合子さんが挿画をカラーで書いていて、このイラストが、これまたベスト・マッチなんですよ!  未読の方は、是非読んでみてください。

(2003年 5月11日 記)

  
『もりのへなそうる』
 渡辺茂男/作
 山脇百合子/絵
 (福音館書店)

  
『絵本たんけん隊』
 椎名誠/作
 (クレヨンハウス)































































『さるのせんせいとへびのかんごふさん』穂高順也/文・荒井良二/絵 

(ビリケン出版)¥1600(税別) 1999/11月 初版第1刷発行 2002/04月 第7刷発行


●イギリスでは、1980年代に登場した絵本作家、ジョン・バーニンガムアンソニー・ブラウンの絵本のことを「絵本のポストモダン」と呼ぶのだそうです。なるほど。ただ、1960年代からアヴァンギャルドな長新太がすでに認められている日本ではどうなんでしょうか?

となると、1990年代になって登場した荒井良二こそ「日本絵本界のポストモダン」に違いありません。じつは、つい最近まで、ぼくは荒井良二の絵本の面白さが、わからなかったんです(^^;) なんかこう、反りがあわないとでも申しましょうか……

でも、同じような悩みをかかえた人って 案外多いみたいで、絵本学会の学会誌『BOOK END』 を読むと、26ページにこんなことが書いてあるんですね。
1999年の伊万里で開かれた第3回絵本学会総会で、北海道の会員の方から90年代の絵本、例えば荒井良二さんの作品などが、よくわからない という質問がありました。そのとき壇上にいらした方々からは、はかばかしい答えがなくて、荒井良二さんからもそれは棲み分けでいいんじゃないかという答えだったんです。
この話は、たぶん「<ここ>」 の後半「質問コーナー」に載っている、3番目の質問のことを指しての話なのでしょうが、質問された人の不安が、ぼくにも痛いほどよく分かりました(^^;; 荒井良二がわからないと公言することは、絵本業界においては「踏み絵」をして隠れキリシタンであることがバレてしまったことと同義であるからです。すなわち、この業界では明日からは生きてゆけない。ほんとか(^^;;;

「わからない」ということは、ものすごく不安なことです。趣味が合わないでは済まされない。ところが、そんなぼくにも『さるのせんせいとへびのかんごふさん』は、ものすごく面白かった。で、すっごく安心したんです。ぼくにも荒井良二がわかった!って(^^;;)

この絵本の魅力の7割は、穂高順也のテキスト によっています。じつによく出来ている。でも、このストーリーを具体的にイメージ化できる人は、荒井良二さんしかいないんですね。

    (この話はもう少し続く。2003年 5月23日 記)

<bk1>のサイトに載っている「この本の感想」 を読んで、ぼくは笑っちゃいました(^^;) まったく同じことを思ったからです。実際、昨年秋の上伊那医師会付属准看護学院では、ぼくが担当している小児科学の最初の講義の始まりに、学生さんたちを前にして『さるのせんせいとへびのかんごふさん』を大胆にも読み聞かせしました。今年の秋も、読むつもりです。そして読み終わった絵本をパタンと閉じて、こう言うのです。「みなさんも、ぜひ、へびのかんごふさんを目指して下さい!」と。(^^)

●医者が登場する絵本はみな、なかなかの傑作ぞろいです。『ねずみのおいしゃさま』 『ぼく、びょうきじゃないよ』 。それから「おもちゃのお医者さん」が出てくる『ドアがあいて』 などなど。

でも、何と言っても「医者もの」の最高傑作『さるのせんせいとへびのかんごふさん』 ですね。いや、ついこのあいだまでは、確かにそうでした。ところが、それにまさる傑作絵本が出版されてしまったのです!

それが、この『へびのせんせいとさるのかんごふさん』(^^)

途中までは、ぼくにも話が読めたんです(^^;) ところが後半、あれよあれよと思いもよらない展開になって、「あっ!」と驚くラストを迎えるのでした。この絵本はホント、ぶっ飛んでます(^^;) 先だって、NHK教育テレビで、朝7時半少し前に平日毎朝放送している「てれび絵本」という番組の中で、小堺一機がナレーターで『へびのせんせいとさるのかんごふさん』が放映されたのを見ましたが、思いのほかいい仕上がりでしたね。面白かった(^^)

●ところで、荒井良二さんの他の絵本、例えば『うそつきのつき』『バスにのって』『ユックリとジョジョニ』『モンテロッソのピンクの壁』『すっぽんぽんのすけ』などに関しましては、かつては苦手だったぼくも、好意的に親近感をもって何度も読むうちに、不思議と何時しか慣れてしまって、ぼくが大好きな絵本のコーナーに、今はみな収まっているのでした。そのことに関するお話は、またいつか(^^)

(2003年 5月24日 追記)

    
『さるのせんせいとへびのかんごふさん』
穂高順也/文
荒井良二/絵
(ビリケン出版)


    
『へびのせんせいとさるのかんごふさん』
穂高順也/文
荒井良二/絵
(ビリケン出版)































●前回の「おすすめ」絵本 は……

『狂人の太鼓』『ウエスト・ウイング』『スモウマン』『かようびのよる』『アフリカの森の日々』『はつてんじん』『世界昆虫記』『やまあらしぼうやのクリスマス』『絵本の作家たち(1)』『絵本を読んでみる』ほか

●前々回の「おすすめ」絵本 は……

『冥途』『クレーン男』『とうだいのひまわり』『ナヌークの贈り物』『ねぎぼうずのあさたろう』『かちかちやま』ほか



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