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北原こどもクリニック  



しろくま 不定期日記


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2004年:<1/2/3+4月>   


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●「不定期日記」●

 今日は当番医                           2004/04/18

●今日は当番医でした。インフルエンザ(B型)4人。まだまだ燻ってますねぇ。伊那東小学校、伊那小学校、それに 61歳女性(美篶在住)。午前中はそれほどでもないかと思われたのに、午後は夕方だらだらと患者ざんが続き、結局終了は6時過ぎ。普段の外来とほぼ同じでした。疲れました(^^;)

お昼はもちろん、ちむらの「ちらし寿司」。お腹いっぱいで満足デス(^^)

飯嶋和一『黄金旅風』(小学館)を読み終わりました。北上次郎氏の「これまでの最高傑作」には賛同できないけれど、こちらも大満足。ラストシーンを読み終えて、本をぱたんと閉じたあとひたひたと押し寄せる深い余韻がなんとも心地よい本です(^^) 感想は来週書きます(^^;;

●昨日の夜のこと、寝る前の一冊に7歳の長男が「ねぇ、おとうさん。今日はこれ読んで」と持ってきたのは、『よだかの星』宮沢賢治・作、玉井司・絵(リブロポート)。なんとなくやばい感じはしたのだけれど、息子が初めて「この本」を持ってきたのがうれしくて「そうかそうか、じゃ、読むぞ!」と本を手に取りました。

できるだけ淡々と読むように心がけて読み進んだのですが、よだかが弟のカワセミに会いに行くあたりから、怪しくなってきて、西・南・北・東の星を巡るあたりで喉の奥が「くーっ」と熱くなってき、つぎのセンテンスを読む時には、声が詰まって出なくなり、涙が止めどなく溢れてきてしまったのです。おとうさんとしてかっこわるいなぁそうは思うのだけれど、涙はどうにも止まらない。

 よだかは、どこまでも、どこまでも、まっすぐに空へのぼって行きました。もう山焼けの火はたばこの吸殻のくらいにしか見えません。よだかはのぼってのぼって行きました。
 寒さにいきはむねに白く凍りました。空気がうすくなった為に、はねをそれはそれはせわしくうごかさなければなりませんでした。
 それだのに、ほしの大きさは、さっきと少しも変わりません。つくいきはふいごのようです。寒さや霜がまるで剣のようによだかを刺しました。
息子たちは、おとうさんが「おいおい」と声を立てて泣いてしまったことに、どんなにかビックリしたことでしょう。「えっ! おとうさん泣いてるの?」横で話を聞いていなかった次男は、白けてそう言いました。声を詰まらせながらも、どうにかこうにか最後まで読み終えたとき、横で聴いていた長男は「よだかは星になれたんだね、おとうさん。よかったね!」そう言ってくれました。(おしまい)

 忙しいけれど、充実した日々                    2004/04/15

● 14日の水曜日の午後は、岡谷の瑞穂幼稚園で行われた諏訪・上伊那地区私立幼稚園協会の総会の場で、約50人の幼稚園の先生方を前に「子どもとメディアの問題」について話をさせてもらいました。先週末、岡山で開かれた日本小児科学会でのシンポジウム「マス・メディアに取り囲まれる子ども 〜テレビ・ビデオの子どもの発達への影響〜」の中で発表された「日本小児科学会こどもの生活環境改善委員会の調査報告」と提言「乳幼児のテレビ・ビデオ長時間視聴は危険です」も取り入れて、いま最も HOT な小児科の話題が提供できたのではないかと自負しております(^^;)

ただ、幼稚園の先生ってまだ若い独身の女性が多いから、切実な危機感はまだ感じていないのかもしれません。この話題はいまいち食いつきが悪い感じを受けました(ま、ぼくのプレゼンの仕方に問題があるのでしょうが(^^;)後半の30分では「絵本の絵を読む楽しみ」と題して、話題を変えて「林明子さんの絵本の隠し絵」を中心に「バムケロ」とか「てぶくろ」とか、絵本の文章には書かれていない「絵が語るもう一つ別の物語」についてお話ししました。

こっちは、すっごく受けた。よかったぁ(^^;)

●夕方、今回の講演会を企画して下さった倉科さんと、4月24日(土)に、当院待合室で行う予定の「伊那のパパたちによる絵本の読み聞かせ会」について、最初の打ち合わせをしました。準備時間がないので大変ですが、こうなったら勢いでガンバルぞ!(^^)

 さくらは満開、今夜は夜桜                     2004/04/13

高遠城址公園のコヒガンザクラは、昨日が満開だったようです。でも、今夜の夜桜も、それはそれは見事でした(^^)





●昨年の満開は、4月20日でした。「こちらの 2003/04/20 の日記」に、同スポットの写真があります。

 『七曲入』大西ユカリ と 新世界                2004/04/07

●本日発売の『七曲入』大西ユカリと新世界を TSUTAYA に行って買ってきました。前からずっと気になっていたんだ >大西ユカリと新世界。

初めて見たのは、12チャンネルの『誰でもピカソ』。そのチープでディープな天王寺界隈の「South オオサカ」な音作りに、ビックリ仰天しました。次にテレビで見たのは、なんと、NHK朝の連続テレビ小説『てるてる家族』。大西ユカリは、夏子の唄がスカウトマンに認められるきっかけとなった「うたごえ喫茶」のママさんの役で、なにげに登場していたのを見逃しませんでしたよ(^^;)

2月の末だったか、NHK教育テレビで放送されている『トップランナー』に、大西ユカリが出ているのを偶然見たんだ。この時のスタジオライヴで演奏されたのが、阿木耀子・作詞、宇崎竜童・作曲「真夜中に聴いた歌」。これがもう、めちゃくちゃカッコよかった。司会の武田真治のアルトサックス・ソロもぎんぎん乗り乗りでね(^^;) こりゃすげーな、と思ったんだ。何て言うかな、大阪の「浅川マキ」って感じなんだな。

ぼくはどうも、綾戸智絵とか浅川マキとか、ニーナ・シモンとか、めちゃ濃いぃシンガーが好きなんですねぇ(^^;)

ここしばらくは、大西ユカリにハマリそうだな、へへっ(^^)

 『花は志ん朝』大友浩                       2004/04/04

立川談志と古今亭志ん朝は、昔から好対照のライバルだった。特に、古今亭志ん生という父親を持って生まれた血統書付きのサラブレッドである志ん朝に対して、談志は敵愾心を抱いていたに違いない。しかも、人気も実力もあって入門も志ん朝より数年先輩であったのにも関わらず、すんなり志ん朝のほうが先に真打ちに昇進したことが、談志はよっぽど悔しかったんだろうなぁ、と思う。そのあたりの感じが、この本『花は志ん朝』大友浩(ぴあ)を読んで、よーく分かった。例えば、こんなことが書いてある。

 二人の芸を評することばとして最も多いのは、談志の「現代」に対して、志ん朝の「伝統」を対峙する形のものだ。談志は落語をもって現代社会に鋭く切り込む。あるいは、落語の中に現代の世相風俗や現代人の視点を採り入れている。これに対して志ん朝落語は、伝統的なものにより強いベクトルをもち、古典落語の世界……江戸から明治にかけての世界を忠実に生き生きと描写することにその眼目がある、という具合に。このことを山藤章二は、次のような短いことばで言い表した。

「現代(コッチ)から過去(アッチ)へ客を運ぶのが志ん朝で、過去をグイと現代の岸に引き寄せるのが談志である」(中略)

 曰く。誰かが両師に「落語の魅力は?」と尋ねた。談志は、「落語は人間の業を肯定しているところ」と答えたのに対して、志ん朝は何と答えたのか? なんと「狐や狸が出てくるから」と答えたというのだ。(中略)

 ところで、志ん朝も談志もジャズが好きである。
 落語とジャズとは深い関係にあると思われる。実際に落語とジャズとは共通点が多い。落語家や落語ファンでジャズが好きという人は多いし、ジャズマンで落語好きも多い。共有財産としてのスタンダード(=古典落語)を持っていること。プレイヤー(演者)の自由度が大きいこと。文楽型・志ん生型のプレイヤーがいること(そういえば、志ん朝がセロニアス・モンクを聞いて「あ、これは親父じゃないか」と言ったという、これまたまことしやかなエピソードを聞いたことがある。真偽のほどは未確認である)。ジャンルとしては、どちらも都市のノイズ(混乱・活気)から生まれてきていること。インテリ・中産層と庶民階層との交わりが成立に関わっていること。それに、奇人・変人が多いこと。

 しかし、二人の好みは微妙に違う。談志はジャズといっても、ディキシーランド・ジャズである。ディキシーランドは1910年代に流行したスタイルで、行進するようなリズムが特徴である。志ん朝は、どちらかというとモダンジャズで、スイングからビッグバンド、ビ・バップあたりを好んでいるようだ。(p107 〜 p111)
●この二人の確執は、1978年の落語協会分裂騒動で再燃することとなるのですが、そのあたりのことに興味がある方は、ぜひ「この本」をお読み下さい(^^;)

 8時だヨ! 全員集合                       2004/04/01

『てるてる家族』が終わってしまった。最終回のグランドフィナーレを見ていて、笑いながら泣いてしまいました(^^;) 夫婦して毎日欠かさず見てきましたが、やっぱり『てるてる家族』は最近のNHK朝の連続ドラマのなかでも、出色のデキのよさだったと思います。ただ残念なことに、ぼくの周りでそう言っているのは、ぼくの妻だけなのだ(^^;) あんなに面白かったのにね。

そしたら、時々巡回している『銀河通信』の3月31日の日記 に、こんなうれしいことが書いてありましたよ(^^)

●ついこの間「テレビ漬けはいけない!」と声高に言っておきながら、テレビ番組の話題ばかりで恐縮デス(^^;) 先日妻が、彼女の友人の宮脇さんから『8時だヨ! 全員集合:DVD-Box 3枚組』の1枚目を借りてきました。子どもたちといっしょに見たのですが、これが子どもに大受けなんです。もう、二人してゲラゲラ笑いっぱなし。

ぼくらの世代は、毎週土曜日の夜8時からの放送をリアルタイムで見てきました。荒井注がいたころ。それに、途中でドリフターズから何故か、全盛期をとうに過ぎ去ったハナ肇とクレイジーキャッツに交代になったころ。見てましたねぇ。ドリフターズはとにかく面白かったからねぇ(^^)

いま子どもたちに大人気の「かいけつゾロリ」『かいけつゾロリ・ぜったいぜつめい』原ゆたか作・絵に、トリュフならぬ毒ドリフという毒きのこが登場します。これを食べてしまうと8時間で全身に毒がまわって死んでしまいます。何とか生き残るためには、8時間以内に「アンダコリア」という毒消しの花を見つけて食べなければなりません。さぁ、ゾロリはどうする? 

それにしても、今の子どもたちに「ドリフ」とか「ダメだこりゃ!」なんてギャグが通用するのか? と疑問に感じていたのですが、なるほど、このDVDを見れば、子どもたちも納得することでしょう。

ドリフのDVDを見た夜に、志村けんの「バカ殿」が放送されたのですが、ギャグのセンスがものすごく低俗化していて嫌になっちゃいました。「8時だヨ! 全員集合」では、しかも毎週毎週ライヴで、あのレベルの高いギャグを連発していたのですから、ほんと驚きです。エジプトのミイラ男が登場する回では、マルクス兄弟の映画で有名な「合わせ鏡のギャグ」が登場するのですが、生の一発撮りなのに、バッチリ決まっていて、ため息が出てしまいました。

ぜひ、Vol.2 Vol.3 も見てみたいな。
いっそのこと、うちでも買うか(^^;;)

 カーペンターズ・フォーエバー                   2004/03/28

●いま、BS2で『カーペンターズ・フォーエバー』の再放送を録画しながら書いています。カーペンターズが日本でブレイクしたのは、たしか 1972年 のことで、1958年生まれのぼくは、中学2年生でした。あの頃流行していたのは、井上陽水であり、ミッシェル・ポルナレフであり、中学の同級生だった、純一君から4チャンネル・ステレオのLPを有り難く聴かせてもらったことを覚えています。

あの頃、カーペンターズの熱烈なファンだったのが、同じく同級生の雅史君でした。『Now & Then』という、真っ赤なムスタング(?)のジャケットが印象的な、そう、あのLPを彼はすっごく大切にしていました。でもぼくは、当時からアマノジャクだったから「へっ、なんだい! あんなゴリラ兄妹の、いったい何処がいいってんだい」そう、悪口を言っていたものです(^^;) でも、本当は、ラジオからカレン・カーペンターのしっとりとしたアルトの歌声が流れると、鉛筆を動かすのを止めて、ラジオに聴き入ったものです。

ぼくらは、プレスリーの全盛期を知らないし、ビートルズが日本にやって来た時はまだ小学校低学年。そして気がついた時には、浅間山荘事件が終わっていたんだ。そんな世代がリアルタイムで追っかけることができたスーパースターが、カーペンターズだったのでした。

アマノジャクなぼくでも大好きな彼らの曲は「 Close to You」それから「Rainydays and Mondays always get me down」でしょうか。ほんと、しみじみ良い曲だなぁ(^^) あとは「Sing」ですかね。この曲を歌う時に、カレンが「私たちが歌を唄うことの一番の喜びは、みなさんと、歌を share できることです。」そう言っていたのが、すっごく印象的でした。share って、素敵な言葉だな(^^)

それから、もうひとつ。今回の特集を見ながら気が付いたことがあります。カーペンターズの魅力は、多重録音にあったのだ、ということです。そのあたりのことは、兄のリチャードが「パティ・ペイジの多重録音にひかれていた」という告白で、納得しましたよ。だから、カーペンターズの伝統を今に引き継いでいるのが、アイルランドの エンヤ になるワケですね(^^)

 わが家の「言いまつがい」                     2004/03/25

「ほぼ日刊イトイ新聞」の人気コーナー「言いまつがい」が本になりました。これは買いです(^^)

この間までたしかネット直販でしたが、今では TSUTAYA で買えます。『オトナ語の謎』も置いてありますよ(^^;)  『言いまつがい』で一番笑えるのは、何と言っても「食べもの」シリーズですね。これは笑えます。中でも最高だったのは、p203 の下段「好きなもの」です(^^) やっぱり、子どもは「言いまつがい」の宝庫ですね。


●さて、わが家の「言いまつがい」。あまり面白くはないですけど……


・先日、みんなでラーメンを食べに行って、5歳になる次男が、注文を取りに来たアルバイトの兄ちゃんに向かって一言。

「ぼく、味噌ラーメン! コーンはダブルで!」

ヲイヲイ、水割り作ってもらうんじゃないでしょ。それを言うなら「コーンをトッピングして!」だな(^^;)


・7歳の長男は、学校の国語の時間に、先生に指されて音読しました。「男の人の上着」というところを、彼は思わず

「男の人の浮気」と言ってしまって、先生に笑われたそうです。でも、なぜ笑われたのか、よく判らなかったみたい(^^;)


 「パパ's 絵本プロジェクト」が伊那市立図書館にやって来た!     2004/03/21

「パパ's 絵本プロジェクト」田中パパ・安藤パパ・金柿パパの3人が伊那にやって来ました。不思議だなぁと思ったことは、3人とも今回初めてお会いしたのに、初めての気がしなかったことです。ぼくは以前から 「絵本ナビ」のサイトで、「パパたちの日記」を読むことが楽しみで、彼らのファンだったし、信濃毎日新聞連載中の田中パパの、■パパと楽しむ絵本の時間 ■も、毎月愛読していたからです。

その田中パパが、内田麟太郎さんのサイトからリンクをたどって、たまたま偶然「ぼくのサイト」を発見し、「今度伊那に行くことになったから、ちょっと北原さんにも声をかけてみようか」というところから、今回の出会いが生まれました。だから、お互いにネットの「オフ会」みたいな感じだったんじゃないかなぁ(^^;) インターネットがなければ、絶対に不可能な出会いであったことは間違いありません。

それにしても、楽しいひとときでしたよ。ぼくにとって一番よかったことは、東京のパパたちが絵本を子どもたちに読んであげている姿を目の当たりにして「あぁ、こういう絵本の読み方もありなんだ!」ということを発見できたことです。なにせ、最初に登場した田中パパは、絵本に書いてない言葉をいっぱい喋って、なかなか次のページをめくらないし、安藤パパは登場するなり、やおらギターを取り出して、ビートルズの「Black Bird」を華麗に弾き始めたのです。 あれあれ? 絵本はどうしたんだ? ほんとビックリしましたよ(^^;)

極め付きは、彼ら3人によるバンドの生唄・生演奏でした。決して上手くはないのだけれど、妙に味わい深くて、すっごく良かった(しっかりハモっていたしね(^^;)。子どもたちもきっと、パパたちカッコイイ!そう思ったに違いありません。これは是非、ぼくら伊那のパパたちも真似させていただきたいぞ(^^)

今回、ご厚意に甘えて、地元「伊那のパパ」を代表して倉科パパと2人、飛び入りで絵本を読ませていただきました。ぼくは『へんしんトンネル』を、倉科さんは十八番の『じごくのそうべえ』を。京都出身の倉科さんが、ネイティブな関西弁で読む「そうべえ」は、とにかく絶品です。倉科さんがお話会の最後に登場したのですが、子どもたちもそろそろあきてきて嫌になってきたはずなのに、2〜3歳の小さな子どもまで、吸い寄せられるように倉科さんの語りに聴き入っていた姿が、ものすごく印象的でした。

それにしても、このような機会を与えて下さった伊那市立図書館のみなさま、それに「パパ's 絵本プロジェクト」の3人のパパたち、ほんとうにどうもありがとうございました。よし!ぼくらもがんばろう! そんな力を分けていただけて、ほんとうによかったでした(^^)

 「パパ's 絵本プロジェクト」が伊那市立図書館にやって来る!     2004/03/18

「パパ's 絵本プロジェクト」に関しては、その発足当時から彼らの動向を注目して見守ってきました。ただ、ぼくには絶対に「ここのパパたち」のような子育てはやってこれなかったし、これからもできる自信はない。だからいつも、彼らに圧倒されるばかりで、つねにジェラシーを感じてきた。でも、絵本の好みとか、聴いているCDとか 、微妙に違っていながら、妙に似通ったところがあることが、なんだかとってもうれしかった(^^;)

そしたら何と、「パパ's 絵本プロジェクト」のパパたち3人が、今度の日曜日(3月21日/午後2時〜4時)わが街の伊那市立図書館で絵本を読むためにやって来るというではありませんか!! もうビックリです。

さらに驚くことに、「パパ's 絵本プロジェクト」の1人、田中尚人さんから「どうです、当日 ぼくらといっしょに絵本を読みませんか?」と、メールでオファーを頂いたのです。ほんとうにビックリでした(^^) ありがたいことです。田中氏の話によると、ぼくら伊那市在住のパパたちが、東京のパパたちとコラボレートすることを、伊那市立図書館の司書さんたちも、快く承諾してくださったとのことです。ほんと、うれしいなぁ(^^)

よーし! こうなったらマジで、ガチンコ勝負と行こうではありませんか。

何せ、地元でのネーム・バリューなら、ぼくは決して負けてはいないと思うぞ(^^;)

  メディアづけ育児の危険性(その3)               2004/03/16

●NHK教育テレビ『すくすく子育て』で、1月に「赤ちゃんとテレビ」という特集があって、その中で汐見稔幸先生がビックリするような話しをしていましたよ。

なんと、2歳児の「30%」がビデオの操作ができるんですって!
●ただ、2歳までは「絶対に」テレビやビデオを見せてはいけない! と言っている訳ではありません。朝8時台、夕方の4〜5時台は、おかあさんは家事に忙しい。ちょうどこの時間帯は、有り難いことにテレビを付ければ『おかあさんといっしょ』をやっています。また、部屋の中で1日じゅう赤ちゃんと2人きりでいれば、おかあさんの育児ストレスは相当なものです。そんなおかあさんの唯一の楽しみはテレビを見ることかもしれない。

そのテレビまで取り上げちゃったら、おかあさんはいったいどうなってしまうのでしょう?
大切なことは、無自覚にだらだらとテレビを見せているのではなくて、赤ちゃんにテレビを見せることは本当はあまりよくないのだけれどと、きちんと自覚した上で、子どもといっしょにテレビを見ることだと思います。
      ■<子どもにテレビを見せる時に注意すること>■

1)テレビは子ども1人では見せない。親子でいっしょに見て楽しむ。
2)1回に長時間(1〜2時間以上)は見せない。30分見たらテレビを消す。
3)ビデオは巻き戻さない(何回も繰り返し見せない)セルビデオは買わない。
4)テレビの視聴時間の2倍は外遊びをする。
5)お父さん・おかあさんの意識改革が必要
(★生まれたときからテレビが空気みたいな存在で、お父さんが家にいる時は、必ずテレビが付いているという家庭は多い)。

6)「ながら」視聴はやめる(食事の時間はテレビを切る)
7)子どもの夜更かしをやめる
8)月に1度「ノー・テレビ・デイ」を家族みんなでチャレンジする。
(もう少し続く)

  メディアづけ育児の危険性(その2)               2004/03/15

●日本小児科医会は「子どもとメディア」の問題に対する提言を、今年の2月、公にしました。その具体的な提言は

1)2歳までのテレビ・ビデオ視聴は控えましょう。
2)授乳中、食事中のテレビ・ビデオの視聴は止めましょう。
3)すべてのメディアへ接触する総時間を制限することが重要です。
   1日2時間までを目安と考えます。
   テレビゲームは1日30分までを目安と考えます。
4)子ども部屋にはテレビ、ビデオ、パーソナルコンピューターを
  置かないようにしましょう。
5)保護者と子どもでメディアを上手に利用するルールをつくりましょう。
●なぜ、2歳までテレビやビデオをあまり見せないほうがよいのでしょうか? 医学的にちゃんとした根拠があるのでしょうか? これがあるんです。

この4月に、岡山で開かれる日本小児科学会で、こどもの生活環境改善委員会の調査研究報告が行われることになっているのですが、それに先行して、3月10日付の毎日新聞紙上において、その要旨が発表になりました。
■テレビ視聴:長時間見る子ども 言葉の発達に遅れ■

小児科学会の「こどもの生活環境改善委員会」が、昨年、東京都や岡山県など3地域で、1歳半健診にきた子どもの親、1900人にアンケートを行いました。子どもが1日にテレビを見る時間を4時間より多いか少ないか、さらに子どもが直接見ていなくても家族がテレビをつけている時間が8時間より多いか少ないかで4つのグループに分け、健診時に子どもが2語文を話せたかどうかで比較検討しました。通常、1歳半になると、子どもは「主語」「述語」(例えば「パパきた」など)の2語文を話せるようになるからです。

この結果、最もテレビを見る時間が短いグループ(子どもが4時間未満・家族が8時間未満)では、言葉の遅れがあったのは15%だったのに対し、最も視聴時間が長かったグループ(子どもが4時間以上・家族が8時間以上)では約30%と、2倍の頻度で言葉の遅れが見られたのです。
●前述の「日本小児科医会」の提言・前文には、こんなことが書かれています。

乳幼児の子どもは、身近な人とのかかわりあい、そして遊びなどの実体験を重ねることによって、人間関係を築き、心と身体を成長させます。ところが乳児期からのメディア漬けの生活では、外遊びの機会を奪い、人とのかかわりあ体験の不足を招きます。実際、運動不足、睡眠不足そしてコミュニケーション能力の低下などを生じさせ、その結果、心身の発達の遅れや歪みが生じた事例が臨床の場から報告されています。
と。(さらに、明日もつづく)

  メディアづけ育児の危険性                    2004/03/14

●金曜日のお昼の「いなっせ7F・ちびっこ広場」での『メディアづけ育児の危険性』と題したぼくの「お話会」には、予想をはるかに上回る40人近くのおかあさんが、子どもたちも連れて聞きに来て下さいました。ほんとうにありがとうございました。

当日、参加したかったのに、子どものお昼寝タイムのため行けなかったというおかあさんが、昨日の外来に風邪ひきの子どもを連れてやってきました。「先生、メディアって、何なんですか?」「う〜む、難しいんだけどねぇ、テレビでしょ、それからビデオにDVD、プレステ・ゲームボーイなどのコンピュータ・ゲーム、インターネット、携帯のメールや iモード。みんなメディアなんです。」

●というワケで、当日ぼくの話を聞けなかった方のために、ぼくが皆さんに訴えたかったことを、用意したレジュメを参考に、この場で再録させていただきますね、すみません(^^;)

『月刊かみいな・3月号』の「健康カレンダー」をお読みになった方はいらっしゃいますか? あれはね、ぼくが書いたんです。ちょっとその冒頭部分を読みますね。「ピアノ売ってチョーダイ」と財津一郎が歌うタケモトピアノのCMをご存知でしょうか? と言いながら、パソコンにセットした「タケモトピアノのDVD」を流す段取りだったのですが、見事にそのもくろみは外れて画像が出ず、いきなしはずしてしまいました。これで、つかみはバッチリ!と、準備してきたのにねぇ。でも「タケモトピアノのDVD」は、辰野町の聖ヨゼフ幼稚園での講演の際にもはずしたネタなので、次回からは止めることにしましたよ(^^;;;

・次は自分の家の息子の話です。うちの長男は八ヶ岳の麓の富士見町で、1歳半まで育ちました。当時ぼくは厚生連富士見高原病院の小児科医長として勤めていたのですが、その頃はまだ、絵本のことはよく知らなくて、読み聞かせなんてしたことなく、富士見町図書館に行けば「絵本」 は借りずにビデオばかり借りてきました。きかんしゃトーマス・古今亭しん輔さんの・のりもの探検隊シリーズ、宮崎駿監督作品の「ハイジ」「未来少年コナン」などなど。

当時うちの息子はまだ1歳前でした。でも、ビデオを見せれば喜んで見ていましたよ、いつまでも。妻とぼくが、親として心配したことは、2つです。テレビの画面に近づきすぎて、視力低下と電磁波の影響が心配。それから、番組の内容。暴力シーンに性的描写、教育的に問題な粗悪なバライティーに、大食いバトル。

でも、教育的に良いと思われる内容のジブリの映画や、ディズニーの映画ならば、情操教育として良いに違いない! そう信じて、何度も息子に見せました。幼児向け英会話のビデオ(ウン10万円する高価なヤツではありませんよ、もっとずっと安いヤツ(^^;;)も買って、むしろ積極的にビデオを見せてきました。でも、それは本当に良かったのでしょうか?

(つづく)

  小学生からの禁煙教育                      2004/03/12

●今週の水曜日に、ぼくが校医をしている伊那東小学校へ行って、もうすぐ卒業を迎える6年生に「薬物乱用の怖ろしさ」 に関して、タバコの害を中心に話をさせてもらいました。じつは先週、別の用件で東小学校の養護の先生を訪ねた際、学校の校医として「禁煙教育」をさせてもらえないかとお願いしてみたのです。そしたら何と、ちょうど講師を探していたところだったとのことで、急きょぼくが講師として抜擢されたのでした(^^;)

●午後2時から50分間、畳を敷いた大きな部屋(会議室?)に、6年生の3クラス全員(120人くらい)を集めて、話をしてきました。いつもは母親学級でおかあさんに話をしたり、保育園の健診のあとの絵本読み聞かせを園児にしたりしているのですが、小学生を相手に話をしたのは今回が初めてで、ずいぶんと緊張しましたよ。でも、私語もなくみな集中して聴いてくれたし「タバコ1本吸うと、ドラム缶何本分の空気が汚染されると思う?」って質問すれば「ハイ、ハイ!」と手を挙げていろいろ答えてくれて、反応もよかったでした。(★ちなみに正解は、ドラム缶500本分です。)

前半では、シンナーとか他の薬物乱用の話もしました。有機溶剤とか、薬物依存・ハイになる・薬剤耐性・禁断症状・幻覚・妄想・痴呆・フラッシュバック・受動喫煙・主流煙・副流煙・発ガン物質・ダイオキシン・タバコの奴隷、などなど、小学6年生にはちょっと難しすぎる言葉を、ホワイトボードにいっぱい書いたので、子どもたちが付いてきてくれるかどうか、すごく心配だったのですが杞憂に終わりました(^^)

後半は『子供たちにタバコの真実を 37万人の禁煙教育から』 平間敬文・著(かもがわ出版) のCD−ROMをプロジェクターで映しながら話しました。けっこう強烈なスライドが多いので、インパクトが強かったのではないかと思います。

ただ、小学生に「肺ガンは怖いよ!」と話してもあまりピンとこないみたいなので、「お父さんが吸ってるタバコの煙を君らが毎日吸わされていると、背が伸びないよ! 知能が下がって勉強もできなくなるよ!」そう強調してみましたが、この一言はけっこう効いたみたいです(^^;)

それから、女の子には「タバコを1本吸うと、レモン半分のビタミンCが使われちゃうから、シワが増えて早く年寄りになっちゃうよ 。妊娠中にタバコを吸うと、おなかの中の赤ちゃんは窒息しちゃうんだよ。女の子で、中学生からタバコを吸い始めちゃうと、妊娠してもタバコが止められない体になっちゃうんだよ」そう、話しました。

本当は、木○拓○や、工○静○が、まさに「そうなんだ!」と話たかったのだけれど、そのあたりは止めておきましたが(^^;)

とにかく、中学生からタバコを吸い始めると、ニコチン依存度が高くなってしまって、まずそうそう簡単には「禁煙」できません。一度吸って、タバコの味を覚えてしまったら、もうおしまいなのです。だからこそ、中学校で「禁煙教育」をしても、もう遅いのです。子どもが小学生のうちに、タバコの怖さを是非、知っておいて欲しいのです。

●ひとつ後悔していることは、「タバコを止めて、毎日500円づつ貯金していれば、5年で100万円貯まって家族全員でハワイ旅行ができるよ。30年貯めれば、自家用車が2台も買えるんだよ」と、言うのを忘れてしまったことです(^^;) これはシマッタな。

小学校・中学校など公立学校も全面禁煙にしちゃえばいいのにねぇ。まずは、生徒を指導する教師たちが禁煙しなきゃ。

そういう僕も、20年前は1日にセブンスターを40本吸うヘビースモーカーでしたが(^^;;;

  『黄金旅風』飯嶋和一(小学館)                 2004/03/08

●インフルエンザが終息して、外来の患者さんは少ないんだけれど、でも今週は忙しいんです。

火曜日の夜は、伊那市医師会幹事会で、水曜日の午後には、校医をしている伊那東小学校へ出向いて、6年生を対象に「タバコとドラッグの害について」健康講話をすることになっています。木曜日の昼休みは、高遠町の乳児健診で、金曜日の昼休みは「いなっせ」で、「子どもネットいな」子育て支援セミナー(第一弾)「メディアづけ育児の危険性」と題して、30分ほど話をさせていただくことになっています。いずれも準備はまだできていません(^^;;)

●そんなかんなの中、注目の1冊が出版されました。『黄金旅風』飯嶋和一(小学館)です。昨日の朝日新聞(日曜版)読書欄の筆頭で、北上次郎氏が「この本」を絶賛していましたよ。吉野仁さんも『小説すばる』で絶賛していました。となれば、これは買うしかありますまい!

飯嶋和一氏は、「超寡作作家」として以前から有名です。デビューから既に20年近く経っているはずなのに、発表された長編小説は、今回の新作を入れても「たったの5作品」

遅読のぼくでも『雷電本紀』(河出文庫)『神無き月十番目の夜』(河出文庫)と、『始祖鳥記』(小学館)の3冊を読んでいて、日本の作家の中で、もしかすると「いしいしんじ」氏以上に、いま一番好きなのかもしれない、この人。

2人はぜんぜん違うタイプの小説家なんだけど、たぶん方向性は、きっと似てるんだな。ベースに「深い哀しみ」があって、でも暗闇の遙か向こうに微かな希望の光が見える。そんな小説。脇役でちょっとしか登場しないような人たちまで、キャラが立って いて、じつに魅力的に描かれる、そんな小説。

現代社会をいろいろと批判することはかんたんだ。でも、じゃぁ、そんなどうしようもない(例えば、理不尽にネズミの雨が降ってくるような)今の日本で、ぼくらはこれからどうやって生きていけばいいんだろう? という問いにちゃんと答えを出せる人は少ない。それに真摯に答えようとしている作家が、いしいしんじ氏であり、飯嶋和一氏じゃないかと思うんだ。

まだ、読んでもいないのに、こんなにもほめてしまって、はたしていいんだろうか?(^^;;)

  IT革命と心のゆがみ                       2004/03/06

●2月29日(日)の信濃毎日新聞朝刊に、柳田邦男氏は「IT革命と心のゆがみ」と題して論考を載せています。

(前略)
人の一日の持ち時間は24時間しかない。その24時間の使い方を最初に大きく変えたのは、半世紀前のテレビの登場だった。そして今、さらに持ち時間の使い方を劇的に変えたのが、ケータイ・ネット時代の到来だ。ケータイ・ネットに費やす時間が24時間の中で大きなシェアを占めるようになったということは、その分だけ他の何かをしなくなったということだ。何をしなくなり、何を失ったのか。(中略)

子どもの発達心理や精神医学者などの見解を総合すれば、ケータイ・ネット依存症とも言うべき日常生活につかっていると、次のような、意識と心のゆがみが生じる傾向がある。

(1)世界中からたやすく情報を集めることができるので、何でも知っているという錯覚に陥る。
(2)自分でじっくり考えるという、「心の習慣」が形成されない。
(3)自分が世界の中心にいるという錯覚にとらわれ、周囲を自分の思うように動かそうとする傾向が強くなる。
(4)電子機器による仮想現実(バーチャル)の世界にひたっているため、他者の命や痛みについて思いやる感情が育たない。(後略)
一読、なるほど確かに「そのとおり」なんだけれど、実際には、ネットもケータイも使えない・使ったことない人が、ネットを批判する時の典型的な論考に陥っているように思えてならない。ニフティサーブの頃から10年近くもネットをそれなりに経験してきたぼくは、ちょっと待ってよ! って言いたいんだな(^^;) つづく……

 謎の「マレー風チャーハン」                    2004/03/03

●このあいだの日曜日の夜、久々に「美華」へ行きました。「いなっせ」の立体駐車場ができてから、「美華」に行き易くなってホントありがたいです(^^)

ところで先日、高遠町の乳児健診に行った際、町の保健師さんから「北原先生はグルメ だって評判ですよ。あちこちいろいろ食べ歩いていて」と言われてしまいました。スミマセンがそれは誤解です。キッパリ! だって、外食するそのほとんどは「ラーメン屋さん」ですよ。大好きな「お鮨」だって、食べに行くのは3カ月に1度きりです。

ただ、うちのサイトの評判を、外来でおかあさん方にいろいろ訊いてみて感じることは、地元の美味しい食べ物屋さんに関する記事が、どうも一番みなさん興味深く読んでくださるみたいなんです。受けるためならというワケで、ちょっと無理して一生懸命「食べ物ネタ」を取り上げているのですよ。そのへんをどうかご理解くださいませね(^^;)

「美華」で注文するのは決まって、おこげか、揚げ焼きそば か、ラーメンなのですが、今回は「メニュー」を見ながら以前からずっと気になっていた「マレー風チャーハン」¥750というのを、おこげの代わりに注文してみました。奥さんは「辛いデスヨ! ダイジョウブ デスカ?」と訊いてきましたが、何せ我が家はみな「辛いもの好き」(^^;) 「大丈夫です。うちの子どもなら食べられます」と、胸を張って注文いたしました。

しばし待つこと30分。やってきましたよ(^^) 
見た目は、ちょっと黒っぽい卵チャーハン。ひとくち口に入れてみると、甘いんだけれども妙に辛い。ベースはウスターソースの味で、隠し味にカレー粉と鷹の爪、それに塩コショー。はふはふと3口、4口とスプーンを口に運ぶと、次第に頭髪から汗が噴き出してくるのが分かります。これは何だか癖になりそうな味だぞ!

同じに食べているのに、妻も息子も涼しい顔です。何故だかおとうさんだけが、額に汗を浮かべて、ハ〜ヒ〜言っているんですね。不思議だぞ?

●とにもかくにも、我が家の「辛いもの図鑑」に、新たな一品が登録されたことは、何よりも喜ばしいことです(^^) 辛いモノ好きなら、一度は挑戦する価値ありですぞ! これはオススメ(^^)

 NHKスペシャル「よみがえる教室」〜命の授業:大瀬敏昭先生    2004/02/29

●昨日の土曜日夜9時からの、NHKスペシャル「よみがえる教室」は、たいへん見応えがありました。末期胃ガンで、余命幾ばくかの中、最後の力をふりしぼって、子どもたちに「命の授業」を行ってきた、神奈川県茅ヶ崎市浜之郷小学校の校長、大瀬敏昭先生のことは、たしか昨年の秋、NHK教育テレビで同じく土曜日の夜「ETVスペシャル・第1部」・『命の授業』として紹介されているのを見て知っていました。

その大瀬校長が、今年の1月3日、無念のうちに命尽き亡くなられた、という記事を新聞で読んでいたので、今回の総合テレビでの放送は、ETVの再放送かと思ったのですが、秋から2学期末の終業式までを新たにカメラに収めて再構成され、よりインパクト強く出来上がっていましたよ。もう、画面を見ながら涙・涙・涙でした。ETVの放送の時には、公開授業で思うようにできなかった若い男の先生が、放課後ひとり教室に残って涙を流すシーンが、なんだか唐突に挿入されていて、何だ? この泣き虫先生は? ふがいないねぇ、ぐらいにしか思えなかったのですが、その時はカットされたシーンが、今回の放送では追加されていました。そうか、そうだったんだね。ウルウル。

●この若い男の先生がね、番組の終わり近くで、じつにいいことを言っているんだ。それを聞いてまた泣けちゃった(^^;;

たぶん近々、NHK総合テレビで深夜帯に再放送があると思われます。ビデオをセットして、ぜひご覧下さい。
3月1日(月)深夜0:15〜(2日午前)「よみがえる教室〜ある校長と教師たちの挑戦」

だそうです。明日の深夜ですね。どうぞお見のがしなく。

 おとうさんはどうして絵本に興味がないのか?(その3)       2004/02/26

●2月21日の追補です。最後に、奥さんの本田すみ江さんからこんなお話がありました。

私は教師をしておりましたので、いつも帰りが遅く、たいていは先に帰った主人が子どもたちに絵本を読んでやっていました。ですから、我が家では絵本を読むのは専ら父親の役目だったのです。夫は自分の稼いだボーナスのうち、10%を絵本代に当てるように決めていて、東京に出張があると、必ず子どもたちのお土産に「絵本」を買って帰りました。

ただ、出張の度に本屋さんに寄る時間は取れないので、これは!と思う絵本を前もってチェックしておいて、1年分まとめて本屋さんから一度に買って、ダンボールにストックしておき、出張に行く前にそのダンボール箱から「今回はこれとこれ」と抜き出して持って行き、どこか途中で読んでくるのでしょうねぇ、帰ってきたときに「はい、お土産」と子どもたちにその絵本を渡して、さっそく上手に読んであげていましたよ。どうでしょう、参考になりましたでしょうか?
いや、じつにいいお話ですねぇ。でも、子どもに絵本を読んであげるのは専ら父親の役目という家庭は、世の中にはあまりないのでしょうか?  少なくとも、我が家ではそうです。松居直さんも、椎名誠さんもそうでした。

       http://www.ehonnavi.net/ehon03_papa00.asp

こことか読むとやっぱり、子どもたちに絵本を読んであげているのは、もっぱらパパたちみたいなんですね。そうだよな、おとうさんが絵本を読んだって、いいじゃん。ねぇ(^^)

●で、今週、すごい「ブログ」を見つけたんです!

       歯みがき前の絵本と、それから……

ここのおとうさん、ホントがんばってますよ。文章のセンスがいいしね。絵本の好みもいい、じつに。それに、まめに更新している。『ライオンのよいいちにち』は、ここのブログの<12月11日>に、すでに取り上げられていて(悔しいが、先を越されてしまったぞ!)読んでみると、うんうん、そうなんだよねぇと、ただただ感心するばかり。 ここは要注目ですぜ(^^;)

●さあ! 全国の「絵本を読むおとうさんたち」よ、夜明けは近いぞ! 共に立ち上がる時は来た。なんてね(^^;)

 

 最近買ったCD、最近読んだ本                   2004/02/24

●先週の土曜日は、この2月から新しく信州大学医学部小児科学教室教授に就任された、小池健一先生の小児科教授就任祝賀会が松本のホテル・ヴエナビスタで開かれたので、泊まりで松本に行って来ました。女房・子どもぬきで、松本に来られる機会なんて滅多にないんで、翌朝はすぐに帰らずに、松本パルコの開店を待って、5F「WAVE」で新譜CDを物色してきました(^^;)

見つけたCDは、この2月21日に発売になったばかりの『ジョアン・ジルベルト・イン・トーキョー』。それから、波多野睦美『美しい日本の歌』

今回の初来日では、数々の伝説を残していったジョアン・ジルベルトですが、このCDが発売になって、本当によかった。これは傑作です。来月の「今月のこの一曲」で取り上げる予定なので詳細は省きますが、それにしても、この日、会場の東京国際フォーラムで生で直に彼を体験できた人々が、じつに羨ましい。ほんといいなぁ(^^;) 当日の録音が不完全であったため、記録のない幻の伝説になってしまったのだから。

●最近は、なかなか本が読めない気分なんですが、読了したのは以下の2冊。

『食の精神病理』大平健(光文社新書)
『花は志ん朝』 大友浩(ぴあ)

読みかけは、『禅的生活』玄侑宗久(ちくま新書)『雑読系』坪内祐三(晶文社)

読了した本は、どっちも示唆に富んだ、とても面白い本だったので、次回こちらでご紹介いたしますね。

 おとうさんはどうして絵本に興味がないのか?(その2)       2004/02/21

●本田好先生の講演が終わって、本田すみ江さんの『いちご』新宮晋・作絵と、エリック・カールの『ゆっくりがいっぱい!』の読み語りが「おまけ」でついて、最後に質問コーナーとなりました。

何人か質問が出たあと、そのまま終わっちゃいそうだったので、ぼくは勇気をだして手を挙げました。めったに質問はしないんですけどね。でも、今日は頑張ってみましたよ(^^;)

「スミマセン、今日はすばらしいお話をどうもありがとうございました。ぼくは自分の子どもが生まれるまでは、絵本にはまったく興味がなかったんです。で、このところず〜っと考えていることがあって、でも、未だに判らない。どうしてお父さんは絵本に興味を示さないのでしょうか? 教えてください 」と。

●本田先生は、ちょっと困った顔をして、いくつか「ヒント」を下さいました。フロアのおかあさん方からも、とても参考になる意見が出ましたよ。それらをまとめると以下のようになります。

(1) おとうさんは絵本を知らない。絵本というものに「慣れて」いない。 絵本がわかるようになるには、最低30冊の絵本を読み込む必要がある。おかあさんは、日ごろから絵本に接して「絵本に慣れて」いるけれども、おとうさんにはなかなかその機会がない。

(2) お父さんは、会社で仕事に向かう、日常での「リアル・ワールド」と、家に帰ってから、子どもと「絵本」を読んで過ごす「ファンタジー・ワールド」とのスイッチの切り替えが、思うように上手くできない。

(3) おとうさんは、とても「照れ屋」。子どもへの読み聞かせなんて、ちょっと気恥ずかしくって素面ではできないみたい。

(4 )おとうさんは、自分が子どもの頃、両親に絵本を読んでもらった体験がないので、自分の子どもにどうやって絵本をよんでやったらいいのか判らない

(5 )おとうさんが仕事を終えて、自宅に戻れる時間帯には、すでに子どもたちは夢の中。子どもと接する時間が、母親とくらべて圧倒的に少ない。
●でもね、おとうさんはいろいろ言い訳して逃げてばかりじゃいけない、そう思うんだな。そうでしょ(^^) 今晩ちょっとだけ反省したなら、本棚から絵本を3冊掴んで、とにかく子どもに読んでみてあげて下さいね。

 おとうさんはどうして絵本に興味がないのか?            2004/02/20

●このあいだの日曜日に、伊那市図書館で講演会があって聴いてきました。「子どもたちの現状と絵本や物語の力 --読みがたりの実演をとおして--」本田好・本田すみ江

講師の本田好先生は児童文学作家で、学校の先生だった奥さんとともに地元の長野市を中心に「絵本の読みがたり」に関する講演活動を精力的に続けていらっしゃいます。紳士的で静かな語り口、聴衆の心にじんわり沁み入るような感じで、本田先生はいろいろと分かりやすく話してくれました。先生は、講演の中でこんなことをおっしゃいましたよ。

「いつも私の講演会には、女性しか聴きにきません。男の人がいても、PTA会長さん一人だけなんてことが多い。でも今日は驚いてしまいましたよ、男性が5人もいる。こんなことは初めてです」
この日の聴衆は案外多くて、地元の読み聞かせボランティア・グループの方々を中心に、50人近くも来ていましたでしょうか? 「男性5人」てったって、そのうち2人は伊那市図書館の司書さんでしたから、結局はぼくを入れて3人ですね、男性の参加者は。

(つづく)

 古今亭志ん朝 そして、桂枝雀「地獄八景亡者戯」          2004/02/16

●今日も落語の話でお付き合いのほどを。

なぜ、今年は落語を勉強しようかと思ったかと申しますと、このところ「絵本の読み聞かせ」を何遍か続けてきて、なんかこう物足りないな? そう思うようになったんです。ぼくも「おはなしのろうそく」のようなストーリーテリングに一度挑戦してみたいぞ、と。でも、伊那市図書館主宰の「大人のためのおはなし会」に2度ほど出席させていただいてしみじみ感じたのですが、その場で演じられた各地図書館司書さんたちによる本格的な語りの凄味というものは、素人のぼくには到底真似できません。

ちょいと毛色の変わった「男の語り」で、素人が演じてもそこそこ聴けるネタというとで、考えついたんです、落語がいいんじゃないかなと。もちろん、古典芸能の落語をシロウトがちょっと練習したって物になるわきゃありません。だから、「落語風の語り」を子どもたちに演じてみたらどうだろか? そう思いついたんですね。で、取りあえずは落語というものを勉強しようということになった訳で(^^;)

●寄席に一度も行ったことないような田舎者が、落語だ、古今亭だなんて知ったかぶりすると、それこそ「酢豆腐」みたいで馬鹿にされるだけですが、まぁ大目にみてくださいまし(^^;;

今夜は息子に頼まれて、コロコロコミック3月号を買いに、いなっせ西澤書店に行って来たんです。文庫の棚をふと見上げると、ちくま文庫の棚に『志ん朝の落語』があった。思わず手に取って買ってきましたよ、「5:浮きつ沈みつ」「6:騒動勃発」の2冊。この本を編集したのが、もとソニーレコードのプロデューサー京須偕充氏。

月刊『東京人』2003年12月号は、志ん生・馬生・志ん朝の特集号で、p68 に京須偕充氏のインタビュー記事が載っています。 志ん朝さんは落語を録音されるのをすごく嫌ったんだそうで、京須さんがCDで発売したいから録音させてくれと、足繁く何度も通っても、そのたんび門前払いだったそうです。古今亭志ん生のCDは現在、ニッポン放送でラジオで放送された音源だけでも50枚以上が販売されているのですが、古今亭志ん朝のCDは、京須氏が録音した33枚・59席 しか現存しません。ビデオの類はまったくなし。もったいないこってすねぇ、ほんと。

●で、いま、西箕輪診療所の小堀先生からお借りした桂枝雀「地獄八景亡者戯」のDVDを見ながら書いているんですが、桂枝雀も鬼籍に入ってしまいましたが、この人こそ天才ですねぇ。惜しい人を亡くしましたよ。「地獄八景亡者戯」(じごくばっけいもうじゃのたわむれ)は、絵本『じごくのそうべえ』の原作で、人間国宝桂米朝の十八番として、つとに有名な演目なんですが、このDVDを見るってぇと、桂枝雀は完全に自分のものにしてますね。

まるでマシンガンみたく早口でまくし立てるので、集中して聴いていないとわかんなくなっちゃう。でもDVDには字幕付きバージョンもあって、とても重宝します(^^;) 志ん朝と違って、映像が残っていて本当によかった。

桂米朝版だと、三途の川の渡し船の件が、いまいち面白くないんだけれども、枝雀はそこを工夫して、なんとケニアのゴリラ使いを登場させるんですね。これには笑いましたよ(^^) それから、米朝版では閻魔大王登場の場面が見せ場なのですが、枝雀版にはあっ!と驚いた。

人呑鬼の場面はさすがですね。でも、軽業師が針の山を登る場面は、桂米朝よりも軽くていいように思いました。下げも米朝版とは変えてましたね。下剤の大黄(だいおう)と閻魔大王をかけるのは今の人には分かりませんからねぇ(^^)

 古今亭志ん朝                           2004/02/15

●以前にも書きましたが、今年はちょいと落語を勉強してみようかと決めているんです。と言いましても、落語界の名人・天才のたぐいは、桂米朝をのぞけば、みな鬼籍に入っちまったんで、CDやビデオで往事を忍ぶよりほかありません。古今亭志ん生、桂文楽、三代目・桂三木助、三遊亭圓生、それから金原亭馬生。古今亭今輔に、柳亭痴楽の「痴楽つづり方狂室」なんてぇのもありましたよ。

ここいらへんは伊那市図書館に行けば、図書館「CDらいぶらりぃ」にはちゃぁんとあるんでありまして、先だっても、コロンビア・レコードから出ている「ききたい落語家シリーズ」を図書館から借りてきまして、この PowerBook G4 "iTunes"にすべてコピーさせていただきました(^^;)

桂文楽の十八番「船徳」や、桂三木助の「芝浜」、三遊亭圓生の「夏の医者」なんてぇのが、このパソコンから何時でも何処でも聴けるというのは、何とも不思議な感じがしますね。でも、何故か古今亭志ん生だけはないんだ、図書館に。えぇっ、どうしてぇ? てな訳で、ディスカウント・ショップや新古書店(「ブックオフ」のことですね)を廻っては、古今亭志ん生を探している毎日。で、最近になってそこそこ集まってきました。

ところがですよ、古今亭志ん朝のCDは、図書館にも、ブックオフにも、カインズホームにも、ぜんぜんないんだ。しかたないんで、先日の水曜日に、飯田の「平安堂・座光寺店」まで行って、『志ん朝復活』のシリーズから、3枚選んで買ってきました。まぁ、ネットのアマゾンで注文してもよかったんですけどね(^^;;

志ん朝さんの落語は、小林信彦さんじゃないけれど、もったいないんでそうそう聴けないから、買って帰ってちゃぁんと聴いたのは「酢豆腐」「鰻の幇間」だけ。

古今亭志ん朝は、こういった、ちょいとアスペルガー的な若旦那や、落ちぶれても気概のある幇間(たいこ)持ちを演じさてたら、絶品ですね。
名人たるゆえんです。すごよ、これは!!

 高遠だるま市で、蕎麦を食った、うまかった             2004/02/12

蕎麦「兜庵(かぶとあん)」

 ここのお蕎麦は、ぼくの好みの蕎麦です。喉ごしがよくって、香りがあって旨い!

 露都「モスコー」の夜はふけて(その2)              2004/02/11

●さて店内に入ると、ボックス席ひとつとカウンターのみの、占めて「6畳」ぐらいの狭い空間に、すでにけっこうなお客さん。若いカップルもいる。ぼくらはカウンター右端に空席を見つけて、なんとか落ち着きました。お酒の棚に横置きされたフルレンジ・スピーカーからは、ジム・ホール『アランフェス協奏曲』A面3曲目が流れています。CDかと思ったら、ふと見ると、カウンター内にベルトドライブの小さなプレーヤーが回っていて、レコードが乗っかっていましたよ。いや、びっくり(^^;;

カウンターの中には、老夫婦。マスターは白い顎髭をたたえた、そう、映画監督で言えば、岡田茉莉子の旦那さんの吉田喜重監督の雰囲気か。どう見ても、とうに70歳を超えていると思える風貌なのに、妙に動作が素早いのです。なんかこう、てきぱき、てきぱき、きびきび、きびきびしてるんですね。カクテルやお酒を作る彼の動きのひとつひとつに、まったく無駄がない。まるで甲野善紀さんを見ているみたい(^^;;)

              すげーぞ! このじいちゃん!!

白衣を着ているのです、このマスター。でも、一言もしゃべりません。無口なんです。そんな彼の横で、せっせと「おつまみ」を皿に盛るのが、ママさん。決して出しゃばらない。でも、ちゃんと客の相手はしてくれる。確かに昔は美人でならしたのだろうな、着物の着こなしが何とも上品だ。彼女の自慢の娘さんは、女優になって劇団「円」に所属しているとのこと。でも、ちょいと考えると、娘だから、いま50代ぐらいでしょ。いつまでも美人の娘さんのままじゃマズイんじゃないかなぁ?


 露都「モスコー」の夜はふけて(その1)              2004/02/09

●先週の金曜日は、伊那市医師会の幹事会でした。いつもは車を運転して会場の越後屋に向かうのですが、この日は妻が送ってくれたので、会合の後の食事の席で久々にビールを飲んでしまいました。次年度からの幹事に就任する高橋先生も同席で、入舟からタクシーで帰るとのことで、途中までいっしょに帰ることになりました。

越後屋から南へ狭い裏道を下ってしばらく行くと、用水路の左手に「露都モスコー」 があります。ぼくが高校生だったころから、すでに「伊那市では老舗のバー」としての風格の佇まいを見せていましたから、いったい開業何年になるのでしょうか? この路地裏を通り抜けるたびに「いつかは、モスコー」 そう思いながら30年が過ぎ去りました(^^;) でも、何となく敷居が高くて、未だに店に入ったことがなかったのです。

コートのえりを立てながら、冷え込む夜道を急ぐその前に、ふと見上げると「モスコー」の看板。「あっ! 高橋先生、ちょいと1軒、寄ってきませんか?」「えぇ、いいですよ。あ、ここね、うちの親父の馴染みの店だったんです」

という訳で、高橋先生に先導されて、憧れの「モスコー」のドアを生まれて初めてくぐったのでした。(つづく)



●ところで、「伊那 モスコー」で検索したら、こんなサイトが引っかかってきましたよ(^^;)

       http://www.valley.ne.jp/~t-pon/unda-gura.htm


これを書いた人のセンス、すっごく好きだなぁ(^^)


 日本小児科医会が、「子どもとメディア」に対する提言を出した    2004/02/07

●日本小児科医会の「子どもとメディア」対策委員会から、以下のような提言がなされました。

               http://jpa.umin.jp/info.htm


ちょうどよいタイミングなので、2月9日締め切りの「月刊かみいな」誌上で上伊那医師会が担当する「健康カレンダー」の原稿に、以下のような文章を書いてみました。まだ下書きですが(^^;)

             ●テレビ漬け育児に要注意!

「ピアノ売ってチョーダイ」と財津一郎が歌うタケモトピアノのCMをご存知でしょうか?県内では放映されていませんが、関西ではたいへん有名なCMで、朝日放送の人気番組『探偵!ナイトスクープ』でも取り上げられました。

ぎゃーぎゃー泣いてむずがる乳児が、テレビでこのCMが流れるとピタリと泣き止み、じっとテレビを見入るということで、数年前から大阪のおかあさん方には評判なのです。その噂は東京へも拡がり、昨年の9月にはDVD付きCDも発売になりました。DVDには15秒のスポットCMが2種類、繰り返し繰り返し、延々30分間収録されています。

でも、ちょっと冷静になって考えてみて下さい。乳児が泣くのを忘れてしまうくらいの強烈な刺激がこのCMにはあって、強制的にテレビの画面から目が離せなくなってしまうのです。これって、じつは恐ろしいことですよね。まるで、ハンメルの笛吹みたいで……

最近の調査によると、赤ちゃんに1日2〜3時間テレビを見せている家庭が35%もありました。確かに、子どもがテレビに集中して静かでいてくれれば、その間に母親はたまった家事を片づけることができて助かります。クレヨンしんちゃんではなく、スタジオ・ジブリやディズニーの名作映画、それから「とらじろう」の知育ビデオを見せておけば教育上まったく問題はない、親はみなそう信じています。でも、本当にそうでしょうか?

どんなに優れたビデオでも、ただ一方的に繰り返し繰り返し刺激の強い情報を浴びるだけでは、子どもに「言葉」は生まれません。「言葉」というものは、おかあさんが赤ちゃんに優しく語りかけ、それに対して赤ちゃんが母親の目を見つめて笑って答える、その親子のコミュニケーションがあって初めて生まれるものだからです。

テレビやビデオに赤ちゃんの子守をさせてはいけません。少なくとも、夕食の時間にはテレビを切りましょう。月に一度は「ノー・テレビ・デイ」を設けて、おとうさんもおかあさんもいっしょに我慢してみましょう。どうです、できますか?


 高遠さくらホテル の日帰り温泉                  2004/02/01

●1月31日(土)午後3時から、伊那市図書館視聴覚室で「軽度発達障害の子どもたちの理解と支援」について話してきました。「子どもの病気と事故の予防」といった、ぼくの得意分野での話と違って、自分でもいまだによく分からない「自閉症」に関して、こうした子どもたちと毎日接している養護学校の先生や親御さん方に対して話をしなければならないということは、正直たいへんな苦痛でした。実践を伴わない、書物だけから得られた知識の羅列にすぎないことが、話していてバレバレだったからです。

そうは言いつつ、話ながら次第に開き直ってきて、結局は自分の考えを調子にのって好き勝手にしゃっべってきましたが、はたして受けたんだろうか? すっごく心配です。でも、これは自己満足にすぎませんが、「ひきこもり」を理解するために大切だと思う絵本『フレデリック』レオ・レオニ(好学社)と、アスペルガー症候群の子どもたちが「9歳の壁」を超えた時点で体験する孤独と苦悩と再生に関して、絵本『島ひきおに』山下明生・文、梶山俊夫・絵(偕成社)と『やっぱりおおかみ』佐々木マキ・作絵(福音館書店)を紹介できたことは、よかったんじゃないかなぁ、と思っています。

「子どもサポートチーム上伊那」代表の戸枝さん、ほか関係者のみなさま、ほんとうにありがとうございました。これからも何らかのかたちで、ぼくも活動に参加させていただければありがたいなぁ、そう思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

●昨年の秋からずっと準備してきた仕事を、とにもかくにも終えることができて、ほんとうによかった(^^;) というわけで、今日はスキーに行ってきました。目指すは白樺高原国際スキー場。インターネットで検索して、10%割引券も手に入れました(^^)。伊那からだと、1時間半弱ですかね、案外近かったな。スキー場の駐車場に着くまで道路に雪がないのは、ほんと楽です。次男の幼稚園友だちの「宮脇ファミリー」とも、まったく偶然にもスキー場で合流することができました。

スノボ禁止のファミリー・スキーヤー専用ってぇのが、やっぱりいいんだよな。案外すいていて、クワッドリフトもゴンドラも、まったく待ち時間なし! ただ、直滑降しかできない長男は、ゴンドラ終点から颯爽と先頭をきって滑りだしたのはよかったのだけれど、次第にスピードがつき自分でもコントロールができなくなって「わぁ〜〜!」叫びながら前のめりに転倒、スキー板は両方外れ、大きく雪煙が上がりました。長男はよっぽど怖かったらしく、その後すっかりいじけてしまって、決してゴンドラには乗ろうとしませんでした。トラウマになっちゃったかな? ちょっと心配(^^;;

●帰りは杖突峠を越えて高遠に出て、高遠さくらホテルで温泉に入ってきました。ここのお風呂は「穴場」で以前から好きなんです。人気の桜の湯と違って、案外知られていないので、いつ行っても空いていて顔見知りの人と会うことはまずないので、すっごくリラックスできるのです。しかもアルカリ温泉でお肌はすべすべ、身体の芯から温まるのです。入浴料が大人700円と、ちょいと高めなのが唯一の難点。

でも、今日はなんだか混んでいましたよ、お風呂。さて、すっかり体も温まって夕飯をどうしようか? という話になったのですが、お父さんはラーメンかな、と思ったのだけれど、長男と妻の連合軍は「お寿司」を強く主張。で結局、いつもの「ちむら寿司」へ向かったのでした。うん、お寿司で正解でしたよ(^^)

いつ行っても、やっぱり旨いよな、ちむら寿司。ごちそうさまでした(^^)

 『めざせご長寿 健康かるた』(グランまま社)刊          2004/01/28

●辰野町「聖ヨゼフ幼稚園」での講演会が、何とか終わりました。聖ヨゼフ幼稚園の倉科先生、園長先生、それから保護者会会長さん、今日はほんとうにありがとうございました。

テレビゲームよりも、子どもといっしょに(おじいちゃん、おばあちゃんも呼んで来て)みんなで「かるた」をしましょう! と言って、『めざせご長寿 健康かるた』(グランまま社)2003年12月刊 を紹介したら、何故か不思議と一番の注目を集めました(^^;;

この「かるた」ほんとうに楽しいです。老健施設やデイケア・センターで使えば、きっと大受け間違いなしですよ(^^) かるたの箱が、まるで温泉まんじゅうの菓子折みたいで笑えるし、高嶋和男さんの「健康標語」がウイットに富んでいて、じつによくできている。それから、絵を描いた石井聖岳さんの、おじいちゃんのとぼけた表情が抜群にいいんだ。まだ20代なのにね、この人、年寄りを描かせたら日本一!と最近評判の新進気鋭の絵本作家です。

『つれたつれた』内田麟太郎・文、石井聖岳(いしいきよたか)絵(解放出版社)が代表作です。

 映画『こどもの時間』                      2004/01/25 (1/26 一部改稿)

●今日、日曜日の午前10時から、新しく駅前にできた「いなっせ」6Fホールにて、映画の上映会がありました。伊那おやこ劇場20周年記念イベントとして上映された、その映画とは、16ミリ・カラー・80分、ドキュメンタリー・フイルム、『こどもの時間』野中真理子監督作品(2001年) です。

これは驚きの映画です。詳細は『こどもの時間』のサイトを見ていただければ分かるのですが、それにしても、この埼玉県桶川市の辺境に位置する、無認可「いなほ保育園」の日常は凄まじすぎる! すごいぞこれは!! 不衛生と危険のオンパレード。小児科医として、こんなん許したら常識を疑われるに違いないアバウトな保育が、当たり前に展開されていることに何よりもショックを受けました。まるで、昭和20年代にタイムスリップしたんじゃないかと錯覚してしまうような、汚い顔の鼻たれ小僧たちが、泥まみれになって、でも、何ともたくましく、みな生き生きと登場するのです。

映画の冒頭から、畳みかけるように「子どもたちが食べるシーン」だけが連続します。これを見せつけられた観客は、一気にこの映画の魅力に引き込まれるようにできているみたいです。特に、昼飯前の空腹時に、この映画を見ると効きます、ものすごく。最初は2歳児が園庭で、肉ジャガとサンマの開きを食べるシーンなのですが、これが本当に、みな美味しそうに食べているんだ。しかも、お皿も、お箸も使わずに手づかみで、むしゃむしゃと。

おいおい、サンマは骨が多いぞ、大丈夫かぁ(^^;)

次のシーンはおでんです。コンニャクにダイコン。味噌をたっぷり付けて、みな旨そうに食べるんだ、これが。年長さんが「おこげ」を屋外の焚き火で作るシーンもよかったな。まるで、毎日が飯ごう炊さん。

映画の後半、1〜2歳児が歩いて畑に行って、もぎたてのトマトとスイカを食べるシーンもよかった。みんな本当においしそうに食べているんだもの、見た目には決して美味しそうにないスイカなのにね(^^;)。この映画を見ながら、これほどまでに子どもたちの日常において「食べること」が重要であったとは、今までまったく気がつきませんでした。これは大きな発見です。

ちょうどいま『食の精神病理』大平健(光文社新書)を読んでいたこともあって、食べることが、子どもの毎日の中で最もプリミティブに大切な時間であったことが、何よりもたいへん興味深かったです。 実際、子どもたちが食べるシーンが、この映画の中で最もインパクトがある。他のどのシーンよりも。間違いなく!!

この映画は、たぶんビデオテープを16ミリフイルムに起こしたものなのでしょうが、それでも、決定的瞬間をフレームに収めるのは至難のワザだったに違いない。それは、わが子のビデオを「さんまの・からくりTV」に投稿したいと、いつも狙っているお父さんなら、判ってくれることでしょう。映画では4シーズン、1年間の記録みたいに見えますが、実際の映像は、5年間にわたって記録され続けたものだそうです。

映画のはじまりは、ユニークな卒園式の場面なのですが、次のシーンで「肉ジャガ」の肉を取り合いして、喧嘩していた2歳児が、5年経って卒園を迎えたのです。あの、自信に満ちあふれた子どもたちの表情がどこから来ているのか、80分間この映画を見続けたぼくらは、十分に納得できるのでした(^^)

これはオススメの映画です。

 インフルエンザが小学校で流行の兆し               2004/01/22

●今まで平穏だった、当院近くの伊那東小学校ですが、今日になって3年生と6年生の1クラスづつで、昼過ぎから急に高熱を出し早退して来た子どもが、午後何人も診察に訪れました。インフルエンザの迅速診断キットは、発熱して2〜3時間のうちに検査しても、綿棒で擦過する「上咽頭」ではウイルスの増殖がまだ盛んでないため、たとえインフルエンザでも、検査は「陰性」に出ることが多いので、要注意です。

発熱後12時間くらい経過していれば、インフルエンザであれば、だいたい「陽性」に出ます。この迅速検査の威力は絶大ですが、われわれ小児科医には、患児の通う学校、保育園での流行状況、家族内の感染者の有無、2日前(インフルエンザの潜伏期間)に人混みや病院へ行っていないかどうか? そういった聞き込み調査が、一番の情報源であることは今でも変わりません。

●来週2つある講演の準備が進まず、四苦八苦しています。1つは「テレビ・ビデオ・ゲームが、子どもの脳におよぼす影響について」もう1つは「アスペルガー症候群、ADHDなどの軽度発達障害と不登校の関連について」。一部関連した話題もあるのですが、ぜんぜん別のテーマなので苦しい。今週末はスキーも行かないで頑張らないと。それでも、はたして間に合うかどうか……

 永谷園「煮込みラーメン・みそ味」                2004/01/18

●永谷園の「煮込みラーメン」が好きなんです。できれば夏でも食べていたい。でも、永谷園のHPを見ると、秋冬限定商品なんですね。道理で、春夏はどこの食料品売場に行っても置いてない訳だ。土鍋でラーメンを煮込むのですが、欠かせない食材がキャベツなんです。それから、豚バラ肉と、ナルト。もやしや人参にシイタケ、竹の子とか入れても美味しい。でも、キャベツは欠かせない、絶対に。

この「煮込みラーメン」 付属の麺が、独特の食感をしているのです。鍋で煮込んでも型くずれしない。一昨日は、夕食のおかずに悩む妻に、ぼくがリクエストして久々の「煮込みラーメン」でした。で、煮込まれて濃厚な「天一のスープ」みたいになった味噌スープをすすりながら、麺を「はふはふ」ほおばると、ふと、昔懐かしい「なにか」を思い出したのです。

5分間考えて、その「なにか」が判明しました。それは、高校生の頃食べに行った、伊那市入舟の萬里のローメンなのでした。豚バラ肉をマトンに変えれば、茹でキャベツに蒸し麺、なんだ、永谷園の「煮込みラーメン」は、萬里食堂のローメンと同じだったんだ! これは僕にとっては大発見でしたよ。潜在的に意識の底に刷り込まれていたものがあったのですね(^^;)

「萬里」と言えば、国道・伊那高遠線の大宮口の側に「萬里・彩園」という、入舟「萬里」本店の姉妹店があるのですが、ここのラーメンキムチ・チャーハンが美味しいという情報を、妻が美容院・BOOM から仕入れて来まして、先だって初めて行ってきました。確かにラーメンが美味しかった。煮干し系スープのあっさり味で、ぼく好みのシンプルな味わい。キムチチャーハンもなかなかいける!

ぼくは久しぶりでローメンを注文したのですが、期待したほど美味しくはなかった。ローメンには「スープ系(萬里派)」「焼きそば系(シャトレ派)」があるのですが、高校生のころの僕は、決して萬里の常連さんではなかったことを思い出しました。あの当時よく通って食べていたのは「潮・うしお」 の焼きそば系ローメン超々大盛り390円(くらい??)と、高遠の森田食堂のチャーローメンだったことを。

 8分間の永遠。『岸辺のふたり』                 2004/01/15

●たった8分間のアニメを収録しただけのDVD(おまけ映像はまったくなし)¥1800(税別)を、買おうかどうしようか半年間ずっと悩んできたのですが、TSUTAYA のレンタルにも置いてないし、でも、どうしても見たいし、ということで結局購入しました。

『岸辺のふたり』マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット監督作品(2000年・英国 オランダ合作・カラー・8分)

これは泣けます。何度見ても泣けます。たぶんまだ見たことがないであろう糸井重里さんが見たら、涙がちょちょぎれることでしょう、きっと。何故って、糸井さんには娘さんが一人いるからです。『岸辺のふたり』の原題は、" Father and Daughter " 。この『父と娘』というタイトルのほうが、ぼくは好きだな。ぼくには息子は二人いるけれど、娘はいない。悔しいけれど……

同名タイトルの絵本も、くもん出版から発売されていて、こちらは既に手にとっていたんだけれど、絵本よりもオリジナル・アニメーションのほうが数十倍すばらしいと思う。

ぜひ、娘をもつ「おとうさん」に、そして、かつて父親のことが大好きだった「おかあさん」に見てもらいたい短編映画です。これは、オススメ(^^)

 スキー場の存亡                         2004/01/12

●今日は、八ヶ岳南麓のサンメドウズ 大泉・清里スキー場に行ってきました。ここの一番の長所はスノボ禁止(ただし、2月末日まで)であることと、人工雪ゲレンデの割には広くて長く、高低差もあって、初級者から中級者まで十分に楽しめること。それから高速クワッド・リフトが2基あるので、富士見高原スキー場と較べると搬送力が格段に違うことです。欠点は、リフトの1日券料金が異様に高いこと。「ゴンドラ」があるわけでもないのにねぇ。

たしか、1年前の 2003/01/07 の日記にも書きましたが、映画『私をスキーに連れてって』のころ、スキーに熱中した世代が、いま30〜40代となって、子育て途上の「子どもたち」を引き連れてスキー場に戻ってきているのです。スキー場経営者は、スノーボー ダーよりも僕らファミリー・スキーヤーを一番大切にすべきなのではないでしょうか(^^;)

だって絶対に、ボーダーよりもファミリーのほうがスキー場にお金を落とすからです。しかも(ここが大切なのですが)子どもを対象にしたスキースクールを充実させれば、子どもを預けてフリーになったお父さんおかあさんは、2時間自由にスキーを満喫できます。4〜5歳の子ども対象のスキースクールと言ったって、ようするに時間2,000円の託児なワケですよ。

最近のスキー場では、実際に「託児所」を備えた所も増えてきていますが、親の心理としては、子どもを預けておいて自分だけスキーを楽しむというのには、やっぱり後ろめたいものがある。でも、スキースクールという名目ならば、子どもを預ける自分を許せるのです。しかも、小学生以上にもなれば、親が教えるよりも数倍上手にスキーの手ほどきをスキースクールで受けて、見違えるほど上達した子どもに、親たちはビックリすることでしょう。

だから、子どもの「スキースクール」に金をかけることに、親たちはまったく躊躇しないはずです。そうですよね(^^;)

さらには、スキー好きの「次なる世代」を育てることにもなる訳だから、長い目で見てスキー場の存続のためにファミリー・スキーヤーを、もっと大切にしてくださいね(^^;)

 『レインマン』 と トム・クルーズ               2004/01/08

●今月末に、軽度発達障害と不登校の関連について話をしなければならないので、このところずっと自閉症の勉強をしているのです。自閉症児の行動や言動については、言葉や文章だけで説明しても、なかなか分かってもらえません。でも、百聞は一見に如かず、映画『レインマン』でダスティン・ホフマンが演じた、トム・クルーズの「お兄さん」と言えば、多くの人が「あぁ、あの人ね」と思うことでしょう。

ところが、ぼくは見てなかったんだ、『レインマン』。で、あわてて借りてきて今回初めて見てみました。いや、面白かった。135分もある地味で長い映画なのだけど、途中ダレることもなく一気に見せる力量がある。トム・クルーズが思いのほかいいのね。いくつも印象的なシーンがあるのだけれど、その中のひとつ。

彼が兄を連れて、父親の遺産としてもらったクラシック・カー「49年型ビュイック”ファイヤー・ボール8”」に乗って一般道路を延々とロスへ帰る途中、我慢できなくなって、兄を医者に診せるシーン。診察前の予診票に、トム・クルーズが何か書き込んでいて、それを読んだ看護婦さんが「Is he artistic ? 」(芸術的?)と訊いたのに対して、トム・クルーズが「No, he is autistic .」(自閉的)と答える場面です。

トム・クルーズ自身が「難読症(ディスレキシア)」という学習障害を持つ軽度発達障害児であったことは有名な話です。実際、彼は映画の台本を「読んで憶える」ことができません。マネージャーに台本を読んでもらいながら、耳で憶えてセリフを暗記したんだそうです。難読症の人は、b と dの区別とかがつきにくいので、書きとりでスペルの間違いが多いんですね。だから、autistic と artistic を間違えちゃったんじゃないかな。それから、父親の顧問弁護士に、父の遺言状を(自分で読まずに)読んでもらっているシーンがあったことも象徴的ですね。

それにしても、「自閉的」「芸術的」という言葉が、スペル1文字しか違わないという事実には、驚いてしまいますね。


▼自閉症児をあつかった映画で、もうひとつ忘れてならないものがあります。『ギルバート・グレイプ』です。主人公、ジョニー・デップの弟役を、まだ売れる前のデカプリオが演じていて、彼の役がまさに典型的な自閉症児なのです。印象的なシーンは、デカプリオが高い鉄塔に登ってしまって下りてこず、町中大騒ぎとなる場面。高いところにのぼりたがる精神遅滞児は、おおむね自閉症であるというのは、専門家から見ても事実なのだそうです。『自閉症だったわたしへ』ドナ・ウイリアムズ・著(新潮文庫)の中にも、小学校に入学したばかりの彼女が、校庭の一番高い木に登って下りれなくなる場面が印象的に語られています。 (p75)

 『絵描きの植田さん』 いしいしんじ               2004/01/05

●1月3日は当番医だったのですが、インフルエンザがまだ流行していなかったので、思ったほど患者さんが押し寄せて来なくて助かりました。受診総数は 129人で、午後7時には最後の患者さんの診察を終了しました。2年前の正月も、たしか3日が当番医で、この時は 160人近くの患者さんがみえて、診察を終了したのは午後9時半過ぎでした。この日は、伊那北高校卒業25周年(第29回生)の同窓会が「JA上伊那」で夕方から開かれていて、じつは僕も幹事に名を連ねていたのですが、何もせずにすでに宴会は終了(^^;;

午後10時過ぎに、ようやく2次会場の「しみずや」に到着した時には、完璧にひとりだけ浮いていましたよ。

■年末30日に、『絵描きの植田さん』いしいしんじ(ポプラ社)を2時間で読み終わりました。これ、短めの長編というよりも、ちょいと長めの中編小説ですよね。深い余韻を残すのだけれど、ちょっともの足りない? それを1冊のハードカバーに仕立てちゃうんだから、ポプラ社もちょっと強引なんじゃないかなぁ。でも、白紙が必要以上に多く配置された本の装丁が、静かな冬のイメージに合致して、かえって今の若い人たちには受けるのかもしれない。

それから、いしいしんじの本で、たぶん初めて主人公が日本人とわかる名前の本なんだけど、植田さんという語感は、村上春樹になっちゃうんだな。だからきっと、いしいしんじは今まで無国籍小説を書き続けてきたに違いない。でも、今回はあえて「それ」に挑戦したんだと思う。で、結果は…… けっこう成功してるんじゃないかな。うん。(^^)

読みながら思ったことは、これって、映画になるよなっていうこと。音は聞こえない。でも、映像がありありと目の前に浮かんでくる小説なのです。イメージとしては、八ヶ岳南麓の小さな湖。母と娘とトナカイのぬいぐるみが、湖の向こうから全面氷結した湖面を渡って、次第にこちら側に近づいてくる。それを望遠レンズで捕らえるカメラ。最初はフォーカスが合わず、でも逆光の中で、二人のシルエットが藍色に焦点を結ぶ。画面がフェイドアウトしたそのあと、樹氷のイメージに鹿の動きと雪の流れがスローモーション・フイルムでカットバック挿入されるのです。

だから、正直にいうと植田真さんの挿画は、べつに必要なかったんじゃないかな、と思ってしまいましたよ。別に絵を見なくても、文章を読んだだけで、強烈な視覚的イメージが拡がる小説なのだから…… そう感じながら読んでいったのです。

ところが、本の後半に集中して挿入された植田真さんの挿画がすばらしいのです。確かに、文章の中の「植田さん」の絵と、見事にイメージが重なるのです。ぼくは、この本を読み始めて、てっきり、画家「植田さん」のドキュメンタリー・ノンフィクションなどだと思ってしまったのでしが、じつは、ホンモノの植田さんは、べつに難聴でも、ガス中毒でも、なんでもないんですって(^^;;)

やがてそのなかに三つ、あざやかな極彩色の点が生まれた。オレンジ、黄色、そして緑。それらは寄りそい合って、動物たちの輪の端に置かれていた。一心に描いていた植田さんは、ふと手を止め、自分の描いた三つの点をまじまじと眺めた。 (p78〜79)

この「三つの点」は、植田さんの絵の中にも、きちんと描かれていますよ(^^)

決して「傑作」ではないけれど、愛すべき小品として、末永く語り継がれる小説となったのではないかと、ぼくは密かに確信しています。    ちょっとほめすぎたかなぁ(^^;)



 日本の話芸傑作選                       2004/01/02

●新年、あけまして おめでとうございます

相も変わらぬ、よし無しごとのつづり方、何の役にもたちませんが、もしお暇でしたらなら、今年もちょいと寄っていってみてくださいまし(^^;)


■今年はね、落語が流行るような気がしているのです。今日も朝からCDで古今亭志ん生の「寝床」を聴きながら、毎月月初めに提出しなければならないレセプト(診療報酬明細書)の見直しをしていました。お正月と言えども締め切り期限が延長されるワケではないので、毎年けっこう大変なんです、ほんと。

ま、そんなことはどうでもいいことですが(^^;) とにかく、落語なんです。じつは今も、きのうの元旦の夜にNHK教育テレビで放送された「朝まで落語スペシャル・日本の話芸傑作選」を録画したビデオを見ているところなんです。「日本の話芸」という番組は、毎週土曜日の午後3時前くらいにNHK教育テレビで放送されている地味な演芸番組なんですが、30分番組で落語の演目は1つだけなんで、たっぷり聴けるワケです。今どき貴重な番組ですよね。

でね、日本の話芸傑作選では5時間かけて10人の落語家が登場します。小遊三・歌丸・川柳・円蔵・金馬・円歌・木久蔵・小三治・楽太郎・文治。ふつうテレビで見る落語ってぇのは、時間が限られているから、噺がずいぶん省略さてちゃってるんですが、これはイイノホールで収録されたホール落語なんで、お客もキビシイし、演者も30分間真剣です。これは見応えがありますよ。

『名人 志ん生、そして志ん朝』小林信彦(朝日選書)を、いま読んでいるところなんですが、あの落語のテンポのよさを夏目漱石や太宰治は文章に書き写したんですね。なるほど、そういうワケだったんだ。それにしても天下のNHKだから、すでに鬼籍に入った落語界の名人の至芸を収録したビデオがいっぱいあるはずでしょ。そういうのを、ぜひ見てみたいなぁ。


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