しろくま
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北原こどもクリニック  



しろくま 不定期日記


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●「不定期日記」●

 『グーグル・アマゾン化する社会』 森 健(光文社新書) 2006/09/29

●しばらく前に『ウェブ進化論』梅田望夫(ちくま新書)を読みながら、すごく違和感を憶えて嫌になってしまったのだが、先だって、『自閉症』村瀬学(ちくま新書)を読み始めたら、まったく同じ違和感に襲われた。お父さんの[そらまめ式]自閉症療育に載った評を読んで、ぼくの感じた違和感の原因が分かった。並ぶ物へのこだわり、カレンダーの秘密、そのことはよく分かった。じゃぁ、自閉症と診断された「この子」と、父であり母である彼らは、どうやってこれから生きていけばいいのか? 著者の村瀬さんは、そのことに関して何にも答えてはいない。

さて、先日『グーグル・アマゾン化する社会』森健(光文社新書)を読み終わった。これは面白かった。この人はよく勉強している。それをこの本の中で、丁寧に噛み砕いて分かりやすく解説してくれているのだ。こういう本は僕にはありがたいな。オリジナルな視点はないかもしれないが、『ウェブ進化論』を読みながら「何か絵空事だなあ」と感じたぼくの違和感と、同じ居心地の悪さをこの本の著者は感じて、この本を書いたに違いない。

ブログ全盛のいま現在、あらゆる人が自分の好み・意見・感想をネット上に公開できるようになった。インターネットが認知されるようになって、一番に期待されたことは、その意見の「多様性」(言い換えれば「ロングテール」)であったはずだ。ところが実際は、情報が即時に世界を一周する現代においては、逆にみんなの意見が「一極集中化」することのほうが多いのだ。著者は、何故そうなってしまうのか、丁寧に検証していく。ぼくが、グーグルに対して何となく居心地の悪さを感じてしまう理由が、この本を読んでよく確認できた。「グーグル村八分」になると、ネット上に存在しないことと、ほぼイコールなのだから怖ろしいね。

どんなにいきがって文句を言ってみても、お釈迦様の手のひらでちんたらしている孫悟空みたいなもので、グーグルがお釈迦様ならいいのだが、本当はどうなんだろうか。(つづく)

 原村「岩田ペンション」の テラス ダイニング       2006/09/26

●24日の日曜日は、秋晴れのとても気持ちいい一日だった。午前中に高遠へ行って、親父の墓参り。午後は、グローブと軟球、サッカーボールにバトミントンまで車に詰め込んで、原村・自然文化園へと出かけた。

遅めの昼飯は、この7月から「ランチ&カフェ」を始めたという、原村第一ペンションビレッジの岩田ペンションへ。



■ペンションの南側に新たに作られたウッドデッキは、すっごく広々していて開放感いっぱい。このオープン・スペースはなかなかに居心地がいいぞ。周囲の木々の緑とさわやかな秋の風がなんとも気もちいい。デジカメを忘れてしまったので写真がないのが残念だな。

ぼくと次男は、原村の新鮮な野菜スティック付きカレーセットを、妻と長男は「ボボリプレート」というのを注文した。これは、イタリアの特製パンのセルフ・サンドイッチという感じか。壺に入ったミネストローネ風、豚バラ肉入りトマトスープが付く。このスープが旨かったな。長男はイタリアのパンをほおばりながら「コイツは癖になる味だ!」などと生意気なことを言った。カレーもごはんも美味しかったぞ。どこか懐かしい味わいは、松本にある蔵造りの店「デリー」のカレーをイメージしていただけばよいか。

●原村自然文化園の芝生で一汗かいたあと、八ヶ岳小さな絵本美術館へ向かう。ここではいま、梶山俊夫さんの原画展をやっていて、なんと! あの名作『島ひきおに』の原画全点と対面できるのだ。しみじみ感動した。うれしかった。悲しい話だけれど、ぼくはこの絵本がほんとうに好きなのだ。長男が「読んで」と言うので、原画の下にかけられたテキストを声に出して読みながら、順々に原画を見ていった。最後の2枚の原画の前で、予想通り声が詰まって読めなくなってしまった。でも、そこはぐっとこらえて最後まで読み切った。

  うみは、だんだんに あおくなる
  うみは、だんだんに ふかくなる
  まわりに 島かげも、みえなくなった。
  それでも やっぱり、

 ちょんびり ちょんびり からだを のばし、
 みなみへ みなみへと おには あるいた。

  日が のぼり 日が しずみ、
  日が のぼり、日がしずみ……、

 なん日も、なん月も、なん年も、あるいていった。


  『島ひきおに』山下明生・文、梶山俊夫・絵(偕成社)


 久々に走ったら、元気が出てきた             2006/09/11

●子供たちの小学校の運動会が、いよいよ今週末の9月16日(土)に迫った。当日は、わが家はもとより、医院スタッフの子供たちも各地の小学校で同じ日に運動会が開催されることになっていて、医院運営が不可能な状況となってしまった。そこで、誠に申し訳ないのですが、今週末の9月16日(土)は、運動会のために臨時休診にいたします。ご迷惑をおかけして、誠に申し訳ありません。

■最近、 ちょっと落ち込んでいたのだが、自堕落な日々をおくっていても、ちっとも建設的ではないので、今日は久々に「テルメ」へ行って走ってきた。走って走って、汗をいっぱいかいて、風呂に入ったら、ずいぶんと救われた気分になった。体重計に乗ったら、82.9kg。微妙な数字だなぁ(^^;) よし、週3回はテルメに来よう!

走る時には、BGMが重要だ。シャッフルにしてあった iPod から最初に流れてきた曲は、「ラスト・ダンスは私に」だった。越路吹雪が晩年に得意としていた楽曲だ。歌うのは、カナダの若手男性ジャズ・ヴォーカリスト、マイケル・ブーブレだ。これが、すっごくいい。思わず、シャッフルを解除して、CDの最初から聴くこととなった。このCDは、いまから4〜5カ月前に、北原アンドレア先生から「カナダ出身で、若いのに父親から鍛えられて、シナトラみたいに歌唱力抜群。すっごくいいわよ!」と薦められて、その輸入CDをお借りし、i Tunes に入れたものだ。

その後、iPod を聴くたびに、よくかかったのが「ホーム」という、CD5曲目に収録された曲だ。この曲は、彼のオリジナルなのだそうだが、ものすごく良い曲で、歌詞もしみじみ心に沁み入ってくる。最近、このCDの日本版が発売されて、ラジオからこの「ホーム」を数回聴く機会があった。その度に、耳をそばだてた。彼の声の質は、日本人でいうなら南佳孝さんにとっとも近くて、何とも心地よいのだな。

このCDでは、シナトラの代表曲「I've gut you under my skin」や、ジェイムズ・テイラーがカバーした「How sweet it is」を、オリジナルの解釈で見事に歌いあげている。それがじつに気持ちいいのだ。これはオススメです(^^)。

 子供たちに明日はあるのか?               2006/09/09

■安田ママのサイトから「二人の育児」を読んで、しみじみと考えさせられてしまった。

読み終わって、3年前に書いた日記のことを思い出した。それはこれです。

●先生はなぜ小児科を選んだのですか?(その3)       2003/10/04

さて、じゃぁその、中学2年生の小児科医志望の女の子に、高遠へ向かう車中、ぼくは何て答えたのか?   それはね、ちょっと秘密(^^;;
その代わりと言ってはなんだけど、2002年3月に、長野県内の小児科医を結ぶメーリングリストの中で、ぼくが発言した内容を、こちらに転載させていただきます。これで勘弁してくださいね(^^;;

北原@伊那市です。

先週の日曜日に松本へ「モンスターズ・インク」 を見に家族みんなで行ってきました。 映画を見終わって外に出るなり、5歳の長男は目をウルウルさせながら「おとうさん、いい話っだったねぇ」そう言いました。じつは父さんも、眼鏡の奥は涙がいっぱいで、ちょっとだけ恥ずかしかったのですが……

やっぱり「ピクサー」 の映画は凄いですね。アメリカっていう国は、ブッシュとかいう、どうしようもない「おバカさん」 が大統領の、冬期五輪を平気でアメリカ国体にしてしまう、とんでもない国ですが、その一方で、カリスマ言語学者にしてアメリカの良心とも呼ばれるチョムスキーが自由に発言できるし、ピクサー&ディズニーが倒産した「エンロン」 を正面から批判した映画を「子ども向けアニメ」として上映できるアメリカという国の底力には、やはり凄いものがあるなぁ、と尊敬してしまう私でした。

「モンスターズ・インク」の構造は「千と千尋の神隠し」 とまったく同じです。人間の少女が間違って「魔界」 にまぎれこんでしまうお話なのです。でも、見終わった感想はまったく異なります。何故でしょうか?

それは「視点」が異なるからです。「千と千尋」は10歳の少女の視点から、「大人なんていらないよ!」 っていう映画でした。ところが、「モンスターズ・インク」は、大人の視点から「やっぱ、子どもって可愛いね!」 という映画なんですね。

アメリカも日本も、子どもには冷たい国だと思います。特に、自分の子どもを連れて電車に乗ったり、図書館へ行ったりすると、周りの冷ややかな視線を常に意識してしまう毎日です。

そうは言いながら、ぼく自身、自分の子どもが生まれるまでは、子どもには冷たかったです。正直に言えば、子どもが嫌いだったのです。では、なんで小児科医になったのでしょうか? それは自分でもよく判りません(^^;)

よく、「子どもが好きだから、小児科医になりました」 って言う人いるでしょう? でも、それって本当なんでしょうか? 子どもって、悪意に満ちてるし、うそつきだし、意地悪だし、あまのじゃくだし。自分の子どもでもない限り、絶対に好きにはなれない、ぼくはそう思っていました。昔は。

でも、自分ちの子が「かわいい」と思えるようになると、不思議と「人ん家」の子どもも可愛く思えるようになるんですね。そうしてぼくも、最近ではすっかり「子ども好き」です(^^;;;

とにかく、この映画に登場する2歳の女の子「ブー」って、たまらなく可愛いのです。しぐさとか、表情とか、2歳児をよく観察していますね。感心しました。一つだけよく分からなかったのは、アメリカ映画なのに「ブー」髪は黒髪で、顔つきはどう見ても東洋人(もしくはメキシコ人?)なんですが、これには何か大きな意味があるのでしょうか?

いずれにしても、この映画を見終えた大人は、絶対に幼児虐待はできないと思いますよ、ホント。


●どうして小児科医になったか? よりも、いま現在、小児科医として充実した毎日を送っているかどうか?訊くことのほうが、絶対に意味があると思うのは、ぼくだけでしょうか?

          ぼくは自信を持って「今は」こう言えます。

     小児科医になって、ほんとよかった。小児科医は、ぼくの天職だ! と。


 YOU TUBE 「ようつべ」は面白いが難しい         2006/09/08

●亀田兄弟以降、何かとお騒がせの「YOU TUBE」だが、本当に面白いビデオ・クリップに出会うには、それなりの努力が必要になる。つまり、最新のベスト・ヒットを見ても、面白くないのだ。むしろよく分からないビデオが多い。日本語以外の言語だからしかたないのだけれど。

でも、面白いビデオを教えてくれる先達がいると助かるな。例えば、

http://www.youtube.com/watch?v=ekrKtF1an-g&mode=related&search=

これは傑作だし、

http://www.youtube.com/watch?v=bNF_P281Uu4

これも、いいな。すっごくいいな。

 日本外来小児科学会 in 横浜          2006/09/05

●9月2日(土)パシフィコ横浜では日本外来小児科学会が開かれていた。ぼくらのワークショップ「小児科医と絵本(その3)」は、絵本好きの小児科医13名+その他2名に、外部講師として「パパ's 絵本プロジェクト」の田中尚人さんと、「りんごの木」代表の柴田愛子さんをお招きし、いろいろとお話をうかがった。とっても面白かった。「うんうん」と納得し、「なるほど! そうだったのか」と反省させらたりした。専門家が変に口出しすると、おかあさん方はかえって混乱するのだな。

WS終了後に『はじめまして』新沢としひこ(鈴木出版)の歌の練習を1回だけして、午後5時10分からパシフィコ横浜3Fラウンジで開かれる「絵本の読み語り実践披露」会場へと向かう。同会場では、ポスター・セッションが同時に行われていて、絵本の読み語りをするにはキビシイ状況ではあった。でも、トップバッターの住谷先生が『ふしぎなナイフ』(福音館書店)を読み始めると、一気に皆の注目を集めた。

続けて、小野元子先生が『でんしゃでいこう でんしゃでかえろう』間瀬なおたか(ひさかたチャイルド)を読んで、高田修先生へとバトンタッチ。高田先生は『だっだぁー』ナームラミチヨ(主婦の友社)と『ころころにゃーん』長新太(こどものとも012)の2冊を読む。そうか、こういう読み方があるのだな。とても勉強になったぞ。

   
続いて、田中尚人さんが『うんちっち』(PHP)を読む。さすがだ。聴衆のツカミは抜群。大受けでした! ぼくは、松田幸久先生のギター伴奏で『おどります』高畠純(絵本館)を読んだ。

この絵本は、ほぼ1年前に入手したのだが、「メケメケフラフラ」を、どんなメロディにのせて歌ったらいいのかわからず、ずっとお蔵入りだった。

それが、「まほら伊那地球元気村」で読む絵本を探していて、暑い毎日が続くし、ここは一丁ハワイアン+フラダンスで攻めてみようか!と思って、この8月下旬にギターで、GとD7のコードをウクレレ風にのんびり弾いていたら、ふとメロディが浮かんだのです。地球元気村では、倉科パパにウクレレで伴奏してもらった。

G     D7       G    D7      G
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ソソソミ ファ# ミレレ  ソソソミ ファ# シレソー
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メケメケ  フラフラ    メケメケ  フラフラー


G     D7       G    D7      G
------------------------------------------------------
ソソソミ ファ# ミレレ  ソソソミ ファ# ミレソー
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メケメケ  フラフラ    メケメケ  フラフラー



ぜひ、歌ってみてください(^^)

●さて、そのあと、杉原桂先生が『あなたをずっとずっとあいしてる』宮西達也(ポプラ社)をじっくりしみじみ良い声で聞かせてくれて、最後に、鹿児島県鹿屋市の松田幸久先生が、ギターで弾き語りしながら、自作の『天にかかる石橋』まつだゆきひさ文、くろだやすこ絵(石風社)を読んだ。春夏秋冬の季節の移ろいを描く絵本なので、松田先生は「その季節にぴったりの童謡」を間に挟んで歌ってくれたのだ。ラストの「七夕のうた」まで何曲も弾き語りしてくれたが、これがじつに絵本とマッチしていてとても素晴らしかった。以上50分ほどの会だったが、なかなかに充実した内容だったと自負しておりますよ(^^;)



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