しかしガスリーが一貫して持ち続けた、虐げられた人々のための社会的公正= sosial justice を獲得しようとする意志は、そしてそれを支えたナイーブなまでの理想主義が、多くの志あるミュージシャンによって継承され、今日でもまだ頑固に----意外なほどと言ってもいいだろう----その力を維持し続けている。(271頁)
"You need cube?(氷はほしい?)" と尋ねられる。 "No thanks. With just water, please." と答える。
主人は「うむうむ」という顔でにっこりと微笑む。(注:良いウィスキーに氷を入れて飲むのは、焼き立てのパイを冷凍庫に放り込むようなものだ、と土地の人々は強固に考えている。だからアイルランドとスコットランドでは、酒場にいったらなるべく氷を注文されないほうが良かろう。そうすればとりあえず「文明人のかたわれ」として遇される可能性は高い)【中略】 そのとなりには、小さな水差しに入った水がついてくる。もちろんタップ・ウォーター(水道の水)だ。ミネラル・ウォーターなどという無粋なものは出てこない。タップ・ウォーターのほうが生き生きとして、ずっとうまいのだから。 土地のひとはだいたいウィスキーと水を半々くらいで割って飲む。【中略】「そのほうがウィスキーの味が生きるんだ」と彼らは言う。 (80〜81頁)