しろくま
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北原こどもクリニック  



しろくま 不定期日記


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2003年:<2/3月>  <4/5月> <6/7月> <8/9/10月><11/12月>
2004年:<1/2/3+4月><4 / 5/6月>< 7/ 8/ 9月> < 10/ 11月>
2005年:< 12月/ 1月>< 2月/ 3月><4月><5月/ 6月><7月><8月><9月><10月><11月/12月>
2006年:<1月><2月><3月><4月><5月><6月/7月><8月><9月><10月><11月><12月>
2007年:<1月><2月><3月><4月><5月><6月><7,8月><9月>

●「不定期日記」●

 "KingShow" RAKUGO LIVE at the Jazz cafe BASE    2007/10/31 

■さて、去る10月21日(日)の落語会の話をしようと思っていて、既に2週間近くが経過してしまった。いや、このところ忙しかったのだよ。金翔さん、ごめんなさい。当日、飯山の戸狩小学校へ行っていた僕は聴けなかったのだが、妻と息子2人、それに義理の母が、午後1時半からの箕輪町文化センター大ホールで開かれた、箕輪町「まなびピア箕輪2007」の企画「さわやかパートナーのつどい 」を観に行った。会場で主催者の白鳥さんに会った妻たちは、何だか知らないうちに最前列ま正面の席へ案内されていたという。

最初、「良い夫、悪い夫」とかいう見本をビデオで見せられて、その後も何やら続いて、ようやくお目当ての三遊亭金翔さんの登場だ。妻と長男は「金翔さんは僕らに気がついてなかったよ」と言ってたが、後で訊いたら、舞台に登場して客席を見渡し、最前列に「北原家の面々」がいるのを目にして、金翔さんは驚いたのだそうだ。と言うのも、この日の演目は既に決めてあって、それは『初天神』と『宿屋の富』だったのだが、どちらも、前回7月に伊那の「羅針盤」で開かれた「伊那谷寄席」で披露された演目であり、ぼくの妻と息子たちは、その時の噺を聴いているのだ。そのことを知っているので、焦ったそうだ、金翔さんは。

三遊亭金翔さんが『初天神』を演じ終えて引っ込んだあとに登場したのが、来年の2月には二つ目に昇進することが既に決まっている、柳家さん喬門下の柳家小きちさんだ。この日の演目は、『家見舞』。ぼくは聴いたことのないネタだが、喬太郎さんがこう言ってんだから、柳家ではけっこう有名なネタなんだね。息子の報告によると、柳家小きちさんのことを、義理の母がえらく褒めていたという。克舌がよく、とても聴きやすい落語だというのだ。よかったね、小きちさん(^^;)

■箕輪の会場から伊那の「ホテル・センピア」まで白鳥さんの車で送ってもらったお二人は、チェックイン後にくつろぐ暇もなく「Jazz cafe BASE」のマスターの急襲に会う。夜の落語会会場のセッティングの相談だ。高座は、店内にある「一本足の丸テーブル」で良いということになった。でも、座布団がない! 飯山からへとへとになって帰った僕の家に電話があって、「座布団とラジカセをスミマセンが持ってきて下さい」というマスターのお達し。ラジカセは出囃子のCDを流すのに必要なのだと。

座布団とCDラジカセを抱えた僕が、BASE 入りしたのが夜の7時過ぎ。開演が7時半なのに、店にはまだ誰も来ていない。をいをい、大丈夫かよ。僕は思いっきり不安になったぞ。そうこうするうちに、三々五々とお客が集まりだした。謎のヒョウがらの帽子を被った、落語なんてまったく想定外としか思えない女の子と、外国タバコをプカプカ忙しなく吸う彼氏のカップル。伊那市内のアマチュア劇団に所属する若者4人(男子3人、メガネの女の子1人)。ご近所のおじさん、おばさんたち。それに、前回の「伊那谷寄席」の主催者、東部中の高木先生と奥様。なんやかや言って、20人くらいは集まったかな。よかったよかった。高木くん、ホントありがとね!

『転失気』 三遊亭金翔
『松竹梅』 柳家小きち
『紙入れ』 三遊亭金翔

いやぁ、金翔さんの『紙入れ』の「お内儀さん」はよかった。悪女よのぅ!(^^;; それにしても、あの「一本足テーブルの高座」は、とても不安定で、 オーバー・アクションで演じるとひっくり返りそうで、とってもおっかなかったそうだ。 若い子たちは、生で目の前で、しかもあんなに至近距離で落語を見たのは初めてだったらしい。演劇グループも、妖しげなカップルも、じつに楽しそうにケタケタよく笑っていたな(^^)

■打ち上げの席では、いろいろと面白い話を金翔さんにいっぱいしてもらったのだが、ここで勝手にご披露させていただく訳にはいかないので、知りたい方は、三遊亭金翔さんを落語会に呼んでいただいて、直接訊いてみてくださいね(^^;;

 改題:松本「アルプス公園」の午後              2007/10/30 

■日曜日は、入選した長男の「ヘチマの絵」を見に豊科の信濃教育会生涯教育センターへ。昭和4年建造の建物を長野市から移転復元したもので、上伊那図書館のようなその佇まいは威風堂々としていて素晴らしい。波の出る屋内プール「ラーラ松本」わきを通り、犀川を渡って国道19号へ。お昼は「かつ玄」麓庵でトンカツ。やっぱりここの「ロースかつ」は旨いな。ヒレかつもね。

せっかくバットとグローブも持ってきたから、その後「アルプス公園」へ。すっかり色づいたポプラ並木の黄色がまぶしい。それに、結構な人出で驚く。最近、ずいぶんとキレイに整備されたんだね。10数年前の「うらぶれた雰囲気」は、動物の檻のあたりにしか残っていなかった。子供たちとアルプスドリームコースターに乗る。親子共々「小心者」なんで、すぐとブレーキを引いてしまい、先発した他の子供たちと比べて、やたら遅れてゴールに到着。管理人のおじいさんかも、ヒンシュクを買う。やれやれ(^^;;

夕方5時半に伊那へ帰り着き、一休みしてから夜7時からの伊那中央病院救急部へ「小児夜間一次救急」の当番で出向く。9時半までに4人を診察。終わると「ほっ」とするな。

 川柳つくしさんが、今日の日テレ「エンタの神様」に登場して驚いた   2007/10/27 

■準備が大変だった、高校の先生対象の「軽度発達障害」の講演に、台風が接近する中、県立阿南高校まで行ってきた。よかった、無事終わって(^^;; どうも高校の先生方は、保育園の保育士さんや小学校の先生と比べて軽度発達障害児のことをあまり深くは理解していないようだ。だとすると、今日の話はちょっとポイントがズレてしまったかもしれない。すみません。

いつもの手段だが、講演の始めに絵本を読んだ。校長先生や教頭先生の前でとても失礼だったかもしれないけれど、全員で25人くらいの小さな集まりだったので、勇気を出して『バナナです』をBGM付きで読んだ。そう、「ヒロシです。」のテーマ曲「ガラスの部屋」をCDで流しながら。正直はずした。高校教師のみなさんは、ほとんど「きょとん」としていたな。でも、変な小児科医の存在を知ってもらえただけでも、意味はあったか……

■さて、これからの11月は「講演月間」と言ってもいいくらい、あちこちで話をすることになっている。ぼくの性格上、頼まれると断れないのだ。

・10月30日(火) 上伊那幼年教育研究会で、「絵本の絵を読む、音を聴く」と題して、小学校・保育園の先生方に講演。
・11月03日(土) 伊那市立図書館で、「伊那のパパズ、絵本ライヴ」
・11月11日(日) 伊那市立図書館で、「お父さんの絵本の読み聞かせ」の話
・11月14日(水) 伊那市東春近ふれあい館にて、「アトピーっ子の会」で、アレルギーの話
・11月16日(金) いなっせ7F「ちびっこ広場」で、ノロウイルスとインフルエンザ・ワクチンのはなし
・11月17日(土) 辰野町図書館で、辰野西小学校親子文庫主催の「伊那のパパズ、絵本ライヴ」
・11月18日(日) 岡谷子育て支援センター(イルフプラザ)で、「子供の急病と家庭での対処法」のはなし
・11月28日(水) 飯島町保育園の保育士さんに「軽度発達障害」のはなし。
・12月02日(日) 高遠町図書館で、「伊那のパパズ、絵本ライヴ」
・12月12日(水) 伊那市役所で、男女共同参画の講座「父親の子育て参加に関して」のはなし
・12月16日(日) 南箕輪村図書館で、「伊那のパパズ、絵本ライヴ」
 
う〜む。こんなにあるのか! 大変だぁ

■先ほど夜10時過ぎにテレビを付けたら驚いた。あの、川柳つくしさんがマダムKと称して「ウクレレ漫談」を披露しているではないか!

そう言えば、今週の「フジテレビ・お台場寄席」登場は、川柳つくしさんの師匠、川柳川柳師。大丈夫、無料で聴くことができます。彼のほとんど唯一のネタ「ガーコン」だ。先週の、フジテレビ塚越アナ、菊間アナとの鼎談も面白かった。これは貴重だと思いますよ。お聴き逃しのないようにね(^^;;

 パパズ伊那 絵本ライヴ(その35)飯山市立戸狩小学校   2007/10/21 

■倉科、宮脇、北原の3人は土曜日の夕方飯山入りして、日曜日の早朝伊那を出発してきた坂本、伊東パパと戸狩小学校で合流した。この日、体育館では「戸狩小学校創立30周年記念式典」が開かれており、われわれ「伊那のパパズ」は記念式典の講演会講師として招かれたのだ。全校生徒221名に、その父母、先生方、来賓と、400人近くの前での絵本ライヴとなった。これは、われわれの観客動員数としては最高記録だ。

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倉科さんの提案で、会場が広すぎるから、前半は5人普通に絵本を読んで、後半はプロジェクターでステージ上のスクリーンに絵本を拡大して映して、その前で歌って踊った。みな普段に増しての大熱演で、子供たちの反応もすっごく良く、じつに楽しい時間が過ごせたな(^^)

<第一部>
1)『はじめまして』
2)『あらま!』 → 伊東
3)『魔法のことば』柚木沙弥郎・絵、金関寿夫・訳(福音館書店)→ 北原
4)『おひさまいろのきもの』広野多珂子作・絵 (福音館書店)→ 坂本
5)『いっきょく いきまぁす』長谷川義史・作絵(PHP) → 宮脇
6)『まめうし あいうえお』 → 倉科

<第二部>
1)『かごからとびだした』
2)『パンツのはきかた』
3)『おどります』高畠純(絵本館)
4)『うちのかぞく』
5)『ふうせん』(アリス館)
6)『世界中のこどもたちが103』

■戸狩小学校の片桐教頭先生ほかみなさま、本当にどうもありがとうございました。

帰りは、高速を飛ばして2時間弱で伊那へ帰り着いた。
夜は、Jazz Caffe BASE で、三遊亭金翔さんの落語会。いやぁ、面白かった。その話はまた次回。

 期待の若手落語家、三遊亭金翔さんが再び伊那へやって来る!   2007/10/19 

さとなおさんの日記を読むと、「ちりとてちん」に注目しているご様子。なんだかうれしくなってしまう。そうなんだよねえ、江波杏子はかっこいいなあ。それにしても、和久井映見のぶっ飛びようには驚いてしまう。民営化した小浜の郵便局へ郵パックを出しに行って、ふと何を思ったか、突然、エプロンに買い物カゴを下げたまま直接大阪の A子のマンションに現れたかと思ったら、警察犬のような嗅覚で娘の居場所(天満橋商店街脇か?)を直ちに突きとめる。凄いな。もしかすると、動物的嗅覚に頼らずとも、電話先の「寝床」という居酒屋の名前を元にして見つけたのかもしれないが、そのあたりのことは、どうでもええ。それにしても、今週の展開には驚きっぱなしだ。今日の「哀れな取り立て屋、田中」には、笑った笑った(^^)。あの「引っ越しのサカイ」の人でしょ。 でも、この先まったく先が読めん。いったい来週はどうなるんや? 取りあえずは、あすの土曜日の朝も放送はあるはずだから、見逃さずにしないとね。でも、明日の朝は午前8時からインフルエンザの予防接種を4人、すでに予約が入っている。ということは、8時15分からの放送は見られない、ということだ。さて、どうする?

■ところで、今年の7月3日に伊那谷を訪れた、若手二つ目の噺家さん三遊亭金翔さんが、来る10月21日(日)に、再び伊那谷へやって来ることになった。日曜日は、上伊那郡箕輪町で、午後1時半から箕輪町文化センター大ホールにて、箕輪町「まなびピア箕輪2007」の企画「さわやかパートナーのつどい 」に登場し、落語を披露するのだ。入場無料。収容人員が400名の大ホールなので、当日直接行っても、まず間違いなく入場できると思います、どうぞ皆様、隣近所ご誘い合わせてご来場のほど、よろしくお願い申し上げます。

■10月21日(日)は、夜の落語会も企画しました。

場所は、ホテル・センピア前、「Jazz Cafe BASE」です。電話番号は 0265-73-1213ですので、明日土曜日の夜6時以降にお問い合わせ下さい。ぼくが今、一番に注目している噺家柳家さん喬一門(1番弟子は柳家喬太郎)の8番目の弟子、前座の柳家小きちさんと伴に、三遊亭金翔さんが落語を聴かせてくれます。木戸銭(入場料)は1000円、飲み物代は別です。今日先ほど「BASE」へ電話したら、あまり入りはよくないみたいですので、どうか落語にご興味がおありの方は、今度の日曜日の夜7時半に、ホテルセンピア前の「Jazz Cafe BASE」へ入らして下さいね。10年後には、いま駒ヶ根の安楽寺で毎年5月に開かれている「柳家喬太郎の会」みたいになるかもしれないよ(^^;) 若手落語家を地方のファンが応援して育てる気風が、伊那の地にも出来上がるといいな(^^)

 『トントンドア』山崎ゆかり・文、荒井良二・絵(偕成社)   2007/10/17 

■これは傑作だ。すっごくいい。なんかこう、抱きしめたくなるような愛しい絵本だな。

絵は、いつも通りの「荒井良二のいつもの絵」が描かれているのだが、不思議なことに「このテキスト」には「この絵」しかあり得ないと、読者全員が認めるに違いない絵がしっかりと描かれている。そこがまず何よりも凄い。世界でただ一人、荒井良二にしか描くことができない絵が、絵本の見開き両面を惜しげもなく使って展開されるのだ。雑なようでいて緻密、派手なようでいて、そっと静かに落ち着いた、やさしい、あったかい絵が。

荒井良二さんが絵本を描こうと思った「きっかけ」が、マーガレット・ワイズ・ブラウンの『Goodnight Moon』原書版を見つけたことだったという。今回の『トントンドア』は、まさに(荒井版)『Goodnight Moon』なのではないか? 素晴らしい絵本だと思うぞ。

でも本当は、この絵本の付属CDに収録されている空気公団の山崎ゆかりさんが歌う「トントンドア」という、一度聴いたら忘れられない印象的な「こもりうた」こそが、この絵本を特別なものにしていることは間違いない。こういうのを、本当のコラボレーションと言うのだな、きっと。

■ただ、この絵本を実際に読み聞かせするとなると、ものすごく難しい。CDの歌と、絵本のテキストを一致させながらページをめくると、何だか妙に慌ただしいし、逆に歌の間奏の時には間が抜けてしまうのだ。しかも、歌の歌詞と絵本のテキストは必ずしも一致していない。CDを流さずに、自分で歌いながら読めば一番いいのかもしれないが、男が歌うには似合わない楽曲だ。それも困る。

■今日の水曜日は、上伊那医師会付属准看護学院1年生への、小児看護の講義の最終日(8回目)だった。旧長谷村での3歳児健診がおしてしまい、約10分ほど遅刻して午後3時40分より授業を開始。前日の夜に、四苦八苦しながら試験問題を作り上げた後だったので、それとなく試験に出した問題を強調して解説した。わかってくれたかな?

授業終了時刻の午後5時まで、10分ほど時間が余ったので、早く家路につきたい学生さんをなだめて席に付かせ、最後に絵本を2冊読んだ。定番の『さるのせんせいとへびのかんごふさん』穂高順也・作、荒井良二・絵(ビリケン出版)と、続いてこの『トントンドア』荒井良二・絵(偕成社)を読んだ。読んだと言っても、自分ではテキストを読まずに、ラジカセでCDを流しながら適当にページをめくっていっただけだ。歌の間奏のあいだは、もとのページの戻って、すこしゆっくり目にページをめくったりした。そしたら、自然に、歌も絵本も同時にすとんと終わった。教室には静かな余韻が残った。こういうのもいいな。また、やってみよう(^^;)

 『子どもの力は学び合ってこそ育つ』金森俊朗(角川oneテーマ21)   2007/10/15 

■10月27日(土)の講演準備のために、教育関連の新刊新書を続けて読んでいる。この金森先生の本は、先週の土曜日の夜に伊那中央病院へ小児一次救急当番で行った時に、待機中の救急部第2診察室で読み終わった。この日は、患者さんの数は3人と少なかったけれども、けっこうみな重症だった。4歳クループの男児は、相当な呼吸困難ではあったが、吸入をしたら落ち着いたので、処方を出して帰宅させた。2人目は、1歳女児で免疫不全が疑われている子だ。40℃の発熱が2日続いている。元気もない。血液検査をオーダーしたら、採血が難しい子供だったのか、救急部の看護師さんは、患児の右足内果上に留置針を入れて、そこから絞り出して採血している。それだったら、点滴しようかということになった。

検査の結果をみると、白血球数は正常だったが、CRPは 7.8 だった。明日は日曜日、このまま自宅へ帰せば、不安な日曜日を家族は送らなければならない。せっかく点滴が入っているのだから、そのまま入院してもらうことにした。ぼくが入院のオーダーを出す訳にはいかないので、結局は伊那中央病院小児科のこの日当番だった萩元先生に電話して救急部へ来ていただき、後はお任せとなった。どうもありがとうございました、萩元先生。すみませんでしたね。

■ところで、さすが石川県のカリスマ小学校教諭、金森先生は違うな。なるほど、小学校の先生って凄い。クラスの子供たちのことを実にきめ細かくフォローしている。この本は、いろいろと得られることが多かった。勉強になりました。 で、いまは『ヒトはなぜヒトをいじめるのか』正高信男(講談社ブルーバックス)を読んでいるのだが、金森先生の本と比べると、正高センセイの本は、イマイチって感じかな。今回はかなり真面目に書いているんだけどね、逆にぐだぐだして、ちっとも面白くない。まあ、テーマがテーマだから仕方がないか。それでも正高センセイの新刊を見つけると、またハズレであること承知で買ってしまうのだから、やっぱりファンなんだな(^^;;

『ちりとてちん』に関しても、前回さんざん文句を言ったが、ごめんなさい。先週末の土曜日の回から、一気にドライブがかかって急速に面白くなってきた。今週からは、いよいよ大阪が舞台だ。テンポもいいではないか。期待してまっせ!

 『学校のモンスター』諏訪哲二(中公新書ラクレ)   2007/10/12 

『生物と無生物のあいだ』は面白かったのだが、爆笑問題のテレビ番組を見た時の衝撃的なインパクトはなかった。物語としては面白いのだが、あれもこれも書いてしまったがために、フォーカスがぼやけてしまったのではないかと思う。そうは言っても、福岡先生が「いま」考える生命観の全てが注ぎ込まれた本であることには間違いない。それは、この本の最後のセンテンスを読めばわかることだ。

 生命という名の動的な平衡は、それ自体、いずれの瞬間でも危ういまでのバランスをとりつつ、同時に時間軸の上を一方向にたどりながら折りたたまれている。それが動的な平衡の謂いである。それは決して逆戻りのできない営みであり、同時に、どの瞬間でもすでに完成された仕組みである。

 これを乱すような操作的な介入を行えば、動的平衡は取り返しのつかないダメージを受ける。もし平衡状態が表向き、大きく変化しないように見えても、それはこの動的な仕組みが滑らかで、やわらかいがゆえに、操作を一時的に吸収したからにすぎない。そこでは何かが変形され、何かが損なわれている。生命と環境との相互作用は一回限りの折り紙であるという意味からは、介入が、この一回性の運動を異なる岐路へ導いたことに変わりはない。

 私たちは、自然の流れの前に跪く以外に、そして生命のありようをただ記述すること以外に、なすすべはないのである。それは実のところ、あの少年の日々からすでにずっと自明のことだったのだ。

『生物と無生物のあいだ』p284〜285 より引用)
ぼくはこの、福岡先生の謙虚さが、すっごく好きだ。科学者はこうでなくてはいけない。


■今月出たばかりの新刊『学校のモンスター』諏訪哲二(中公新書ラクレ)も、つい先ほど読み終わった。正直、期待したほどの「ノイエス」はなかった。基本的には『オレ様化する子どもたち』の焼き直しだったからだ。そもそも、本のタイトルが胡散臭い。「学校のモンスター」って、いったい誰のことを言っているのか? ぼくには判らなかった。編集者は、この本が売れるために「このタイトル」を選んだのだと思う。本を手にした読者の90%は、モンスターは「モンスター・ペアレント」の「それ」すなわち、どうしようもない身勝手な自己中の「親」を指すと思うことだろう。

でも、読み終わって思ったのだが、著者はそうは意図していなかった。むしろ、モンスターは「子供たち」のことに違いない。面白かったのは、この著者は「等価交換」論に関して内田樹先生からのラブコールを必ずしも有り難く思っていないことだ。 この本の中では『他人を見下す若者たち』(講談社現代新書)批判が、一番の冴えを見せていたと思う。なるほど! 自分に関係ないものには、興味がないから無視しているんだね。だからこそ、保育園児から小学生に大人気の小島よしお「そんなの関係ねえ!」が受けるのだな。


■ぼくが大好きだった作家、打海文三氏の死を、今日知った。ものすごくショックだ。まだ50代だったのに。まだこれからだったのに。悲しい。彼が死んでから、「作家のブログ」があったことを知った。遅すぎたな。『時には懺悔を』打海文三・著(角川文庫)は「僕の生涯のベスト3」の中の1冊として、今でも燦然と輝いている。

 NHK朝の連続テレビ小説『ちりとてちん』が、なぜつまらないのか?   2007/10/10 

■よく見ると、どことなく似ているシリーズ(その2)

    荒川静香と、片桐はいりは、どこか似ている。


■今日の10月10日は、かつては「体育の日」だった。1964年のこの日、東京オリンピックが開幕し、それを記念して「体育の日」は制定された。何故この日が開催日に設定されたかと言うと、気象庁のデータで1年間のうち、最も晴天率の高い日が、この10月10日だったからだという。実際に、今年も秋の青空が広がった実にいい天気の一日だったな。個人的にこの日は、父の命日でもある。ぼくの父が死んで、まる12年が経った。その翌年の夏の終わり、宮澤賢治と同じ日に生まれた長男は、今年小学校5年生、11歳になった。今は、上橋菜穂子の「守り人シリーズ」にはまっている。彼は現在、すでに3冊目の『夢の守り人』に突入したようだ。

■ところで、この秋に始まったNHK朝の連続テレビ小説『ちりとてちん』を、密かに期待していた。ところが、てんでダメだったんだな、これが。NHK大阪製作の秋のテレビドラマでは『てるてる家族』が傑作だったが、そのデキを期待した僕がバカだったのか、ああ。

和久井映見はいい。すっごくイイ。このボケ加減は、たしかに落語の乗りだ。ところが、ドラマのテンポが悪すぎる。上方落語の噺なんでしょ? ぽんぽん、ぽーんと、テンポよく行かなアカンやろ? 脚本にも問題があるかとは思うが、演出が悪い。もう決定的に悪い。なんで『てるてる家族』の演出ができないんだ? あれで行けばいいのだよ、あれで。福井県小浜市が舞台のうちは、このジトっとしたテンポが続くのかな? はやく主人公が大阪へ出てこないかな。

 ブービー・メーカーの一日            2007/10/08 

■1年半前から準備を進めてきた「伊那北高校・第29期生、卒後30周年記念同窓会」が、この連休に開催され無事滞りなく、つつがなく終了した。この日の前後は秋雨前線の接近で雨天が続いたのだが、10月6日、7日の二日間だけは奇跡的に晴天が伊那谷に広がった。本当によかったね、毛賀沢くん。

シンポジウム担当の福澤くん、記念式典担当の橋場くん、そして、事務局で奮闘努力した高木くん、小嶋くん。それから、縁の下の力持ちで表には出なかったのだけれど、当日の事務的所雑用の一切を事前に指揮って1人でその作業に心血を注いでくれた、伊藤尚人くん。ほんとうにありがとう。心より感謝いたします。

■それから、忘れてならないのが、長田内科循環器医院院長の長田くんの存在だ。あれだけ忙しいのに、よくまぁ、ここまで一生懸命「29期生会=大福会」のためにきちんと任務を全うできたなあ。いいかげんな僕にはとても無理だ。長田くんは、10月7日(日)に開催されたレクリエーションの係りだった。当日のメニューは、伊那国際でのゴルフ、大芝高原でのマレットゴルフ、羽広荘下の「名人亭」での蕎麦打ち体験の3本。ぼくは、当日の午前2時半に大芝荘の宴会場『ちりとてちん』<を抜け出して、それから風呂に入り宿泊部屋に帰って寝たので、マレットゴルフは正直どうでもよかったのだが、申し込んであったので寝不足の目をこすりつつ参加した。

ラウンドは、当の長田くん、それからアルプス信用金庫・高遠支店長の唐澤くんとの三人で回った。もともと運動神経がない上に、集中力が欠如したぼくは、たたきにたたいて、結局は最下位に甘んじた。なんだ、澁谷さんのブービー・メーカーではないか。いやはや(^^;; でも、懐かしい顔にいっぱい会えたし、ほんと楽しかったね。

 『生物と無生物のあいだ』福岡伸一(講談社現代新書)     2007/10/05 

■<よく見ると、どことなく似ているシリーズ(1)>

    佐野元春と、茂木健一郎は、どこか似ている。


■強盗犯が素顔を隠す時に使う「変な眉毛のおじさんの仮面」を直ちに思い浮かべてしまったのがいけなかったのか、『生物と無生物のあいだ』の著者、福岡伸一氏がどうしても胡散臭く思えてしまって、このベストセラー本には触手が伸びなかった。しかし、それは大間違いだったな。ごめんなさない。

と言うのも、10月3日の夜に、NHK総合で『爆笑問題のニッポンの教養』を見てしまったからだ。これは凄い番組だった。たまげた、驚いた。ビックリした。しかも福岡教授は、ぼくと同い年ではないか! 当日の放送内容は<こちら>に詳しく載っています。読んでみてください。

何よりも驚いたのは「宗教と科学の違いは、「文体」の違いにすぎないのです」の一言だ。この人はよーく判っている。ぼくは瞬時に理解した。福岡教授は、多摩川の川の流れをじっと見つめている時間が大好きだと言う。生命体(人間を含む)は、分子レベルでは刻一刻と入れ変わっていて、1秒前の自分とはぜんぜん違う自分がいる。それを「動的平衡」と言うのだそうだ。人間を含む生命体は、川の流れと同じようなものなのだ。人間とは、言わば「ガス状の物質」なのだそうだ。その分子を構成するのは、45億年の地球の歴史に繰り返し登場してきた「分子」なのだな。地球上に存在するもののエネルギーは常に一定していて平衡状態にある。われわれの体もそうだ。ぼくの体を「いま」構成する分子の中の一つは、もしかすると数億年前に恐竜が排泄したウンコの中に含まれていた有機物を構成していた分子かもしれないのだ。

すごいことを考える科学者がいたものだなあ。三木成夫先生よりも、もしかすると凄い先生かもしれない、福岡伸一先生は。

と言う訳で、あわてて『生物と無生物のあいだ』を買ってきて読み始めたところだ。それにしても、福岡先生は文章が巧いね。構成力もある。読みだしたら止められない。ぐいぐい読ませる。すごいな。



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