しろくま
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北原こどもクリニック  



しろくま 不定期日記


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2007年:<1月><2月><3月><4月><5月><6月><7,8月><9月><10月><11,12月>
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●「不定期日記」●

 iTunes 8 の「Genius」を使ってみる           2008/09/30 

iTunesが、ヴァージョン8になったので、早速うわさの「Genius」機能を使ってみた。これはなかなかに面白いかもしれない。

iPod を使い始めて、一番に感心した機能が「シャッフル」だった。次にどんな曲がかかるか判らない。その不安と期待。これがいい。CDでは持っていても、めったに聴かない曲や、さらりと流して印象に残らなかった曲が突然かかると意外とよかったりするのだ。とんでもない曲がいきなり流れることもあるが、まさに今、聴きたい曲が絶妙のタイミングで始まったりすることもあるのでビックリする。この iPod に俺のテレパシーが通じたのか!? と思ってしまうこともあったな。

ところが、落語のCDをたくさん入れるようになってからは「シャッフル」が、どーもうまくない。いきなり、古今亭志ん朝「堀の内」のサゲの場面から始まったりするからだ。一つの演目がいくつも分割されている落語のCDを一括して iTunes に登録するワザもあるみたいだが、よくわからない。それから、自分の好みのプレイリストを作ってみても、曲順がすでに分かっているので意外性がなく、案外すぐに厭きてしまうという欠点がある。

■そこで「Genius」の登場とあいなった次第。

天の邪鬼なので、「ひこーき」渋さ知らズ『渋全』という曲で「Genius」にプレイリストを作ってもらったら、以下のような曲がリストアップされてきた。やはり、ジャズの曲だとジャズ中心に選曲される。けっこう「渋い選曲」だな。ただ、癖があるみたいで、他のジャズの曲「You've Got To Have Freedom」で作ってもらった時も同じ曲がけっこうリストアップされていた。例えば、ビル・エヴァンスの「Waltz For Debby」とか。それから、スタン・ゲッツ、ハービー・ハンコックが好きみたいなんだな。これは決して僕の大のお気に入りではないのだが……


1) ひこーき  渋さ知らズ
2) 笑う月   中山うり
3) Waltz For Debby / Bill Evans
4) Solitude / Herbie Hancock
5) Goodbye Porkpie Hat / Joni Mitchell 「Mingus」
6) Last Train Home / Pat Metheny
7) East of the Sun / Stan Getz
8) Here Come The Sun / Nina Simone
9) おいしい水 / Joao Gilberto
10) Love is Here To Stay / Oscar Peterson
11) Change The World / Lynne Arriale Trio
12) Girl Talk / Oscar Peterson
13) Killing Me Softly With His Song / The Singers Unlimited
14) Never Let Me Go / Irene Kral


25) Desafinado / Joao Gilberto


■それから、新たに加わった「ビジュアライズ」機能も面白い。花火のような、蟹星雲の超新星のような、花びらみたいな、いろんなパターンがある。ジョアン・ジルベルト「おいしい水」に曲が変わると、パターンも「棘の長いウニ」みたいになって、これが曲調とぴったしだったので驚いた。面白いな。

 中本晶子さんの「絵本講座」           2008/09/28 

■中本さんは声がいい。落ち着いたアルトの女性の声。聞いていて、なんか「ほっ」と安心するのだな。導入の「ブラックさんとブラウンさん」というのを初めて見たけど、しみじみ良かった。あの、丘を下り丘を上りってのがいいな。『青い目のこねこ』みたいで。でもこれは、ぼくには絶対にできない。そう思った。格式と品位がないから。

中本さんは、その素敵な声で絵本をいろいろと読んでくれた。『んぐまーま』谷川俊太郎・文、大竹伸朗・絵(クレヨンハウス)、『こねこのぴっち』フィッシャー作、石井桃子・訳(福音館書店)、『おおかみと七ひきのこやぎ』ホフマン画、瀬田貞二・訳(福音館書店)、『だめよ ディビット』シャノン作(評論社)、『かちんこちんのソニア』バルソラ作(徳間書店)、『ねえ、どれがいい?』ジョン・バーニンガム(評論社)、『かようびのよる』ウィーズナー(徳間書店)、『もしもゆきがあかだったら』バトゥー作(フレーベル館)、『でんしゃがくるよ』ヴォーグ作(偕成社)などなど。

大人になっても、絵本を読んでもらうのはうれしい。聞いていて幸せな気持になれるから。なんなんだろうなぁ、この「絵本」の不思議な力。そのことを再認識できた一日でした。中本さん、本当にありがとうございました。

■今日の日曜日は当番医だった。9月も下旬になるというのに、このところ例年になくヒマな毎日が続いていたから、今日はそれほど慌ただしくなくて、昼休みも1時間しっかり確保でき、ちむらの「ちらし寿司」も久々にゆっくりと味わって堪能できたのだった。旨かったなぁ。しかし、夕方5時前から電話が続々とかかってきて、スタッフが帰路についたのは、結局6時過ぎだった。昨日は、午後から急に冷え込んだから、喘息発作の子が多かったな。

 「親善キッス」           2008/09/25 





■再掲! 新米パパ・ママのための「絵本講座」 ■

 日時:9月27日(土)午後3時〜4時半
 場所:伊那図書館・視聴覚室 「入場無料」
 講師:中本晶子さん(富士見高校図書館司書、もと安曇野ちひろ美術館学芸員)
 対象:おとうさん、おかあさん(新米でなくて古米パパ・ママでも、もちろんOKです)
    お子さんもごいっしょにどうぞ。
 主催:北原こどもクリニック、こどもネット伊那

 問い合わせ先:北原こどもクリニック(0265-74-2236)



■星新一のショートショートの中で、読後強烈な印象を残して今でも忘れられないのが『親善キッス』だ。この春、小6の長男が星新一を読み始めて「お父さんオススメの話ある?」って訊かれたので、「お〜いでてこい」と「親善キッス」を教えてやった。どちらも『ボッコちゃん』星新一(新潮文庫)に収められている。やはり今春から始まったNHK総合の新番組で、月曜日の夜10時50分からの10分間に「星新一ショートショート」がアニメや実写で映像化して3本づつ放映されるのだが、その第2回目に早くも「親善キッス」が登場した。もちろんアニメでだったが(^^;; 

■それに関連した話題。今日もまたまた「他人のブログ」ネタで恐縮してしまうのだが、このタイミングを逃すと2度と紹介できないような気がするので、取り上げることにしました。2年4カ月も前にアップされた「もとネタ」を提供してくださった「かわうそ亭」さんは、この話題でリンクされるのを嫌がっているかもしれないな。ごめんなさいね(^^;;

日本語に訳したニュアンスとしては、「くそったれ!」が一番近いみたいですかね。

 『Web ちくま』           2008/09/22 

■ネタはそれなりにあるのだが、今晩も他人の文章の話でお茶を濁してしまおう。

『Web ちくま』の連載の中では、変な外国人マイク・モラスキーの連載「ジャズ喫茶という異空間」に注目している。彼が初めて来日して「ジャズ喫茶」を発見したのとちょうど同じ頃、ぼくも「ジャズ喫茶」に出会っていた。土浦の「183cm」という変な名前のジャズ喫茶だった。JBLのスピーカーから、セロニアス・モンクのピアノが流れていたな。薄暗い空間で、他にお客は一人もいなかった。コーヒーもたしか不味かったように思う。しばらくして直と潰れてしまった。しかたないので、その後は週末になると常磐線に乗って東京へ出て、池袋でオールナイト映画を観て、新宿や渋谷のジャズ喫茶めぐりをするようになるのだった。

■しかし、このサイトで最も注目するのは、女流漫画家・南Q太さんの「夫婦生活」だ。この人は文章が上手い。飾らない素の語りの中に「夫婦の本質」が見え隠れする。読み終わると、なんかすっごくしみじみしてしまうのだ。こういう書き手は今までにいなかったと思う。それにしても、この旦那さん「いい人」すぎるぞ。

■ドン・ロス関連でいろいろと検索していたら、伊那市西箕輪に工房を構えてギターを作っている手作りギター職人がいることが判った。それこそ、その道では超有名な人で、大屋建さんという。彼が工房でふだんBGMに流しているお気に入りのCDを紹介するサイトが「MY FAVORITES」なのだが、この人も文章がうまい。紹介されたCDも、どれも「おっ!?」と思うものばかりだ。ぼくと同じくらいの年の人か? さらに、高遠町藤沢には、内田光広さんという手作りギター職人さんが住んでいるという。倉科さんに話を聞いたことがある人か? 「亀工房」の前澤さんといい、伊那市って、以外と文化的な町だったんだね(^^;;

 映画 『寝ずの番』        2008/09/21 

■今日は疲れた。午前中は、サンライフで家族テニス。午後は息子たちを連れてテルメのプールで水泳。父ちゃんはすぐにヘロヘロなのに、子供らは元気なもの。2人とも平泳ぎで 1000m泳ぎ切った。ぼくは 300mがせいぜいだったな。帰宅後、夕食に「ほぼ日のナポリタン」を食べて、夜7時〜9時20分まで「伊那中央病院の一次救急当番」。外は秋雨の降る中、4人の子供を診た。鯉の骨が右の扁桃腺に刺さった女の子。確かに、骨が見える。でも、これを取るのが至難のワザなんですよ。接子で摘むこと3回。取れた!よかった。接子の先の「鯉のホネ」をティッシュにくるんで、お父ちゃんに「はい、お土産」と、渡した。

■今日、久々にプールへ行ったんで、前々から試してみたかったことを実行してみた。そしたら、やっぱり沈んだ。

いえね、「ほぼ日」の、黒柳徹子さん・インタビューが面白かったんです。「水中ヨガ」のはなし。あはは!

■昨日、高遠へ行って「週刊新潮」の今週号を読んでたら、福田和也氏のコラムに、映画『落語娘』と、『寝ずの番』のことが、えらく誉めて書いてあった。『寝ずの番』は、中島らも原作、監督はマキノ雅彦(津川雅彦)。ぼくは今まで観たことがなかったのだが、今晩たまたまCS「日本映画専門チャンネル」で『寝ずの番』をやっていたので見た。なるほど、これは傑作だ。もう大笑いの連続。NHK朝の連続テレビ小説『ちりとてちん』なんて、「屁」とも思わない「スケベで洒落た世界」が、決して下品に落ちることなくきちんと描かれていて、ビックリした。役者がみな上手いなぁ。じつに。感心したぞ。いや、いいものを見せてもらいました(^^;;

 世界一怖ろしい道        2008/09/19 

■1995年から続く息の長いサイト「東京福袋」が昔から好きだ。中でも、「海外で起こった変な事件」をネット上から集めてきて次々とアップしている「東京フクブログ」、これがバカバカしくって面白い。今日、久々に見に行ったら、「世界の怖い道10選」というのが載っていた。

栄えある第一位は、ボリビアの「ノース・ユンガス・ロード」だ。確かに、これは怖い。いったいトラック同士がどうやってすれ違うのか? 古いフランス映画『恐怖の報酬』の、あのシーンを思い出したぞ。でも、この写真には、第二位の中国「Guoliang Tunnel Road」の写真も一部混ざってるな。

しかし、もっと怖いのは、東京福袋・吉野 忍さんオススメの、スペイン南部アンダルシアにある「エル・カミニート・デル・レイ」だ。コイツは凄い! 高所恐怖症のぼくなんかは、YouTube の小さな画面でさえ、お尻のあたりがゾワゾワとしてくるのだった。

 ドン・ロス ライヴ at 「いなっせ」(追補)      2008/09/17 

■2日経っても、いまだ興奮冷めやらぬ日々。それにしても凄かったなぁ。ほとんどの曲が変則オープン・チューニングだったが(最後の方で EADGBE の普通のチューニングにしていたと思う)、曲によって次々とチューニングを簡単に何げなく一瞬で変更して、それで音がまったくズレない。見事な和音、ハーモニーを聴かせていた。さらには、あれだけガシャガシャ激しく弾いても、音が狂わないのだ。不思議だなあ。

コンサートでは、PAの大音響で響き渡るファンキー・リズムとエフェクターの面白い効果に耳を奪われたが、買ってきたCDで聴いてみると、実に複雑で繊細なメロディが超絶テクニックでもって作り出されていることがよく分かった。CD4曲目の「Brooke's Waltz」という曲は、3拍子でくつろいだ雰囲気のメロディアスな佳曲だ。コンサートでも披露されたが、ドン・ロスが前回2004年に来日した際、高遠の前澤さんの家を訪れて数日のんびりと過ごす中で出来上がった曲とのこと。高遠で作られたなんて、うれしいじゃないか。ちなみに、Brooke というのは今の奥さんの名前で、4年前は彼女同伴で高遠を訪れたのだそうだ。

それから、ドン・ロスがコンサートで言っていたが、つい2年くらい前までは「知る人ぞ知る」マニアックでコアなギター・フリークだけのアイドル的存在だった彼が、YouTube のおかげで急にフツーの高校生とかの若い世代にも広く知られるようになり驚いているとのこと、早速YouTube で検索してみると、確かに映像がいっぱいアップされている。「いなっせ」で演奏された曲を中心にピックアップしてみよう。

「Afraid to Dance」
「Michael,Michael,Michael」
「Brooke's Waltz」
「Dracula and Friends Part two」
「RockBarra」
「Don Ross & Andy McKee - Ebon Coast」
「The First Ride」

■最後の「The First Ride」という曲は、乗馬をイメージして作曲されたんだそうで、コンサートの一番ラストに、前澤さんとのデュオで演奏された。これも実にいい曲だ。とにかく、ドン・ロスの曲は印象的な旋律と、アップテンポのリズムと、スケールの大きさが何よりもの魅力だな。もう、すっかりファンになってしまったよ(^^;;

 Don Ross Live in INA City       2008/09/15 

■午後6時を既にずいぶんと回っていた。ぼくは腕時計を気にしながら、焦ってママチャリのペダルを懸命に踏む。中央橋を過ぎ、図書館を通り越して飯田線の踏み切りを渡り、目指すは「いなっせ」。今宵、アコースティック・ギターの世界的名手「ドン・ロス」のソロ・コンサートがあって、6時からもう始まっているのだ。駐輪場に自転車を停めて、エレベーターを6階ホールへと急ぐ。受付には「亀工房」前澤さん家の一番上の女の子(中学生?)が一人ぽつねんと居て、応対してくれる。時刻は6時20分を過ぎていた。

後ろのドアからホールに入ると、既に「亀工房」の演奏が始まっていた。アコースティック・ギターとハンマー・ダルシマーによる夫婦デュオのグループで、ぼくは今回初めて聴かせていただいた。演奏中の曲は「グリーン・スリーブス」だった。「あ・うん」の呼吸とはこういうことを言うのかとため息が出るような、夫婦息があった演奏でただただ感嘆した。このような素晴らしいプロのミュージシャン一家が、もう何年も前から高遠の町を生活の拠点にしていたとは、ぼくは今までぜんぜん知りませんでしたよ。ごめんなさい。「双頭の鷲の下で」や日本の童謡も思いがけないアレンジで素敵だったけれど、オリジナル曲の「JOURNEY 」がよかった。これは、いい曲だなぁ。風景が目に浮かぶようだ。

■よる7時を回って、いよいよお待ちかね「ドン・ロス」の登場だ。1曲目は「Dracula and Friends Part one」という曲。ぼくはいきなり度肝を抜かれた。すんげ〜ぜ、このオッチャン!! まるでギターが打楽器だね。アップ・テンポなのにリズムを正確にキープする驚異的な演奏が実にカッコイイ。こんな独創的な奏法は初めて目にしたよ。あぁ驚いた!

ギターは好きな楽器だから、フォーク、ジャズ、クラシックと、いろんなギタリストの演奏を聴いてはきたのだけれど、今まで一度も目にしたことのない不思議な奏法で、予想だにしない音を奏でる楽器に変貌しようとは、思いもよりませんでしたよ。たったギター1本で、こんなにも圧倒的でダイナミックな表現力があったとは…… もう、ほんとビックリです。これが彼のオリジナリティなんだな。押尾コータローは、彼の真似をしているにすぎないんだね。よーく分かりました。無理して「いなっせ」まで行って、本当によかった。チラシを送って下さった前澤さん、どうもありがとうございました。ぼくのギターの神様「中川イサト」も、これで格下げです。明日から「ドン・ロス」を神様とあがめることにしよう。

■コンサートが終わってホールを出たら倉科さんがいて、「凄かったねぇ!」と感動を分かち合った。『Live in Your Head / don ross』を購入し、サインをしてもらう。ほんとうは、「Your Guitar Play is Unbelievable ! It's a Miracle!」とでも言うつもりだったのだが、結局は何にも言えなかった。(You are amazing Guitar Player とでも言うのがクールなのかな )ダメだねぇ。興奮していて、会場にママチャリの鍵を落としてきたのも気づかずにいたのだが、帰りのエレベータの前で倉科さんに自転車でやって来たことを話していたら「あの、自転車の鍵落としませんでした?」会場係りの女性が声をかけてくれて事なきを得たのだった。本当にいろいろとありがとうございました。

 『ベスト・オブ・キャロル・キング』       2008/09/12 

■いま読んでいる本は、『完璧志向が子どもをつぶす』原田正文(ちくま文庫)だ。少し前に、ほとんど同じテーマ、同じ内容の新書 『子どもが育つ条件』柏木惠子(岩波新書)を 2/3 まで読み進んでいたのだが、不思議と読む印象がぜんぜん違う。児童精神科医である原田正文先生の本のほうが断然面白いし、すっごく腑に落ちる。何故だろう? 不思議だ。言いたいことは「ほぼ同じ」なのに。

体温の差なのかな、と思った。こう言っては失礼だが、柏木惠子さんの本は「冷たい」のだ。いまのお母さん・お父さんに対して。ジェンダー意識が見え隠れする柏木惠子さんの本に、男として、父親として、ちょっと反感を覚えてしまったことも事実か。それに対して、原田正文さんの本は「みなにやさしい」そう感じる。明日への希望が見えるとも言える。そこが重要なんじゃないか。

■前々回、松本を訪れた時に「ほんやらどう」で気になりつつ買わずに帰ったCDがあった。それが『ベスト・オブ・キャロル・キング』だ。『つづれおり』はLPでは所有しているが、なぜか未だにCDは持っていない。このベスト盤は、昨年の来日を記念して発売されたもので、全21曲のうち9曲が『つづれおり』に収録されている曲で占められていて、他のベスト盤とはちょっと違った「偏った編集」がなされているのだ。逆にそこが魅力か。だから、どうしても欲しくなってしまい、前回の日曜日に再訪した際に購入して帰った。以来、診察中は連日ラジカセで流している。やっぱり、キャロル・キングはいいなぁ。

CDを聞き流して行くと、「おっ!?」という楽曲と出会う。それが6曲目の「Will You Love Me Tomorrow ?」だ。このCDの中で、たぶん一番にいいんじゃないか? キャロル・キングが作曲家として世に出した曲で、1961年初頭に、初めて全米ナンバー・ワンを獲得した記念すべき一曲。

この曲に関しての詳しい考察は、以下の内田樹先生のブログをご参照下さい。


「音楽との対話」

「シープヘッド・ベイの夜明け」

 伊那のパパズ「絵本ライヴ」(その45)北安曇郡 池田町公民館「ポレポレ塾」  2008/09/09 



■9月6日(土):田中尚人さんの講演「父親だからこその育児, 父親だからこその絵本時間」(箕輪町文化センター)

外来を12時で終了して、JR岡谷駅まで、新宿発11時のあずさに乗った田中尚人さんを迎えに行く。東京は雨だったそうだ。岡谷は真夏の日差しが戻ったような蒸し暑さで、北京オリンピック陸上四継で銅メダルを取った塚原選手の祝賀パレードが行われていたらしい。観光荘に寄って鰻を食ってから箕輪町文化センターへ。すでに駐車場は満車状態で「おおっ!」と思ったら、この日、同センター大ホールで認知症の講演会が開かれていて、車はみなそちらの聴衆のものでした。忙しい中、公民館の白鳥さんが歓待してくれる。本当にどうもお世話になりました。

開演5分前になっても、会場には3家族しか来てなくて「あれあれ困ったぞ」と焦ったのだが、ふたを開けて見れば、大人こども合わせて40人近くが集まってくれた。おとうさんも7〜8人はいたな。うれしかったよ。子供たちが多かったので、田中さんと相談して最初に「かわりばんこ」で絵本をどんどん読んだ。これは面白かったな。あっと言う間の、楽しい1時間45分でした。

1)こどものとも0.1.2.『かんかんかん』 のむらさやか(福音館書店) → 北原
2)『これがほんとの大きさ!』 スティーブ・ジェンキンズ作・絵(評論社) → 田中
3)『もけらもけら』 山下洋輔・文、元永定正・絵(福音館書店) → 北原
4)『だるまさんが』 かがくいひろし(ブロンズ新社) → 北原

5)『うんちっち』 ステファニー・ブレイク作・絵(PHP) → 田中
6)『ひまわり』 和歌山静子(福音館書店) → 北原
7)『つきよのかいじゅう』 長新太 作・絵(佼成出版社)→ 田中
8)『おどります』 高畠純 作・絵(絵本館) → 北原

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■その後、田中尚人さんのおはなし。

モーレツな仕事人間だった頃は、自宅に自分の居場所がなかったですね。家に帰れば子供はすでに寝ていたし、新聞広げてビールを飲みながらテレビでスポーツニュースを見る日々。ところがある日、少し早く帰宅すると、自宅の電気が全て消えていて、ただ一カ所だけ、寝室の枕元のライトだけが付いていたんです。行ってみると、妻が息子に絵本を読んでいた。その時の息子が何とも言えない幸せそうな顔をしていたので、ぼくは口惜しくて仕方なかった。

だから、それからというもの昼間のうちに一生懸命仕事して、少しでも早く帰宅するよう心掛け、息子が寝る前に絵本を読むのは父親の役目となりました。すると、その寝床(布団と枕がある)が、ぼくにとっての掛け替えのない場所となったのです。そうなると欲が出てきて、もう10分、もう30分早く帰ろうとなる。そうすると、子供といっしょにお風呂に入れる。家族いっしょに夕飯を食べることができる。こうして、父親の居場所がベッドサイドだけから風呂場へ、さらにはリビングへとどんどん広がっていったのです。さらには、自分で週末の食事や息子の弁当まで作るようになり、台所まで父親のテリトリーとなった。父親として、だんだんジワジワと家族との付き合い方が変わってきたことを実感しました。(後半のおはなしは省略。ぼくの記憶を頼りに書いているので、田中さんが実際にお話した言葉とは違っています。ご了承下さい)




■9月7日(日):伊那のパパズ「絵本ライヴ」(その45)北安曇郡 池田町公民館「ポレポレ塾」


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「ポレポレ塾」というのは、池田町公民館が主催する未就園児と保護者のために月1回1年間開かれている連続講座で、今回は、その特別拡大版ということで僕らが呼ばれたのだった。午前10時。塾生のおかあさん、子供たちに加えて、この日は若いお父さんや、ポレポレ塾卒業生のお兄ちゃんお姉ちゃんたちも多数集まってくれたよ。


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1)『はじめまして』

2)『だるまさんが』かがくいひろし(ブロンズ新社)
  『ひまわり』 和歌山静子(福音館書店)  → 北原

3)『くらいくらい』長谷川摂子・作、やぎゅうげんいちろう・絵(福音館書店)
  『サンドイッチ サンドイッチ』小西 英子さく(福音館書店)   → 坂本(写真・左)

4)『パンツのはきかた』岸田今日子・文、佐野洋子・絵(福音館書店)

5)『これがほんとの大きさ!』 スティーブ・ジェンキンズ作・絵(評論社) → 田中尚人さん(写真・中 ゴリラの手と自分の手をみんなで比べているところ)

6)『かごからとびだした』(アリス館)

7)『おかあさんのパンツ』山岡ひかる(絵本館)
  『おかあさんのパンツ2』山岡ひかる(絵本館)   → 宮脇(写真・右)

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8)『まめうし あいうえお』あきやまただし(PHP) → 倉科(写真は「い〜っ」)



■池田町の子供たちはみな、最初からすっごく乗りがよくって驚いた。しかも、1時間集中が途切れることがなかったな。大したものです。池田町公民館の中村さん、福島さんほか皆様、本当にどうもありがとうございました。終了後の昼飯は、宮脇ファミリーは「手打ちそば かたせ」へ。北原+倉科+田中尚人さんは、豊科の「いけまつ」で味噌ラーメンと餃子を食す。美味かったな。田中尚人さんには、2日間ともすっかりお世話になってしまった。ほんとにどうもありがとうございました。松本駅から「あずさ」に乗る田中さんを送ったあと、中央道を走って伊那まで帰る。みなさん、おつかれさまでした。

 9月10日締め切り原稿(930字)の半分弱だけ書けた       2008/09/07 

『情報は1冊のノートにまとめなさい』という本を図書館で見つけて借りてきたら、既に似たような試みを自分でもしていたので驚いた。それは、アピカのA6版100円ノートに講演会や学会、研修会で聴いた内容をメモして書き貯めて行く作業だ。講演会では、薬のパンフレットといっしょに薄いレポート用紙が配布されるが、それにメモしても後に見返すことはまずないし、大抵はそのメモ自体が行方不明になってしまい結局は読みたくても読めないものだ。そんな苦い経験から「勉強ノート」と題したその100円ノートに医学系講演も文化系講演もごちゃ混ぜに全て一元化して時系列で記入することにした。ぼくが依頼された講演の草稿もこのノートに書く。そうすると、探したい情報は「そのノート」の保管棚をチェックすれば簡単に見つかるのだ。

 つい先日の9月4日(木)に、8冊目のノートが終了した。このノートは今年の5月9日の記載から始まる。開業した10年前に最初の1冊目を書き始めて、1年半で1冊のペースだったから、この8冊目だけ異様に早く終わってしまったことが分かる。何故だろう?(後は続かない予定)

  柳家喬太郎 『寿司屋水滸伝』        2008/09/05 

■小児科医会のテープ起こしは、必死こいて先週末に何とか提出したが、9月10日〆切原稿(930字)と、10月14日〆切(6400字)が控えている。う〜む困ったぞ。ぼくは絶対に職業的文筆家にはなれないな。決められた字数、決められた〆切。とても耐えられないもの。

『凍える海』ヴァレリアン・アルバーノフ(ヴィレッジブックス)読了。これは面白かった。本が薄いのもよかった。さっと読めた。北極版「エンデュアランス号漂流」のはなし。単純に、人間って凄いなぁ! と感動した。ぼくは全滅する話よりも、生きて生還する話が好きなのだなぁ。

文庫の解説で椎名誠さんが書いているけれども、流氷の上を歩くことの意味、怖ろしさを肌で感じることができた本。それから、「エンデュアランス号漂流」でも感じたが、すぐそこに「陸地」が見えているのに、絶対に上陸できないもどかしさ。海峡の潮流の激しさとか、氷河の絶壁とかに阻まれてしまうのだね。あれよあれよと潮に流されていく。これは辛いな。そうして、お互いに信頼していた仲間に、最後の最後で裏切られた時の絶望。おぉ! おいらなら、絶対に耐えられないよなぁ。スゲーぜ、アルバーノフさん。

「『十五少年漂流記』への旅」椎名誠(新潮選書)も読了。これは「考える人」に連載されていたものだね。まとめて読むと、椎名さんの構想がよく分かって、とっても面白かった。この話に関しては、2006/08/01 の日記に書いたことがある。

■先週のフジテレビ「お台場寄席」に、柳家喬太郎『寿司屋水滸伝』がアップされた。ぼくはこの噺が大好きだ。あまりに馬鹿馬鹿しくってね。でも、この録音、ずいぶん前のものみたいで、喬太郎さんの声、ちょっと若すぎるぞ。

 田中尚人さんの「父親の子育て」講演会:「父親だからこその育児, 父親だからこその絵本時間」  2008/09/02 

■再掲!<9月のイベント>のお知らせ

●さわやかパートナー講座:「父親の子育て」講演会

 日時:9月6日(土)午後3時から。入場無料
 場所:箕輪町文化センター 和室
 講師:田中尚人さん(グランまま社編集長、パパ's 絵本プロジェクト、Fathering Japan 理事)

  「父親だからこその育児, 父親だからこその絵本時間」という演題で田中尚人さんが基調講演。
       その後「絵本の読み聞かせ」とフリートークもあります。

 対象:おとうさん、おかあさん。親子でどうぞ。ぼく(北原文徳)も「おまけ」で出ます。
    おとうさんの意識改革を図る絶好のチャンスです! ぜひ、聴きに来てください!!
    
 主催:箕輪町教育委員会

 問い合わせ先:箕輪町公民館(0265-79-2178)、箕輪町図書館(0265-79-6950)
        北原こどもクリニック(0265-74-2236)





■8月30日(土)は、朝4時に起きて、伊那バスターミナル午前5時発の中央道高速バスに乗って名古屋へ向かった。JR特急しなのでは、午前9時から始まる、日本外来小児科学会のWSに間に合わなかったからだ。前夜からの雨は激しく降り続いていた。駒ヶ根インターから中央道に入った高速バスの運転手さんが、慌ただしく無線で交信している。どうも何かトラブルが発生した模様だ。続いて運転手さんより車内にアナウンスが流れた。この先で事故が発生し通行止めとなってしまったので、松川インターで中央道を一旦下り、一般道を飯田まで行ってそこから再び高速に乗る。名古屋到着時刻は、予定の1時間遅れの見込みとのこと。ぼくは焦った。ということは、名古屋名鉄バスセンター着が9時過ぎになってしまう! 完全に遅刻だ。

WSリーダーの佐々木邦明先生の携帯電話の番号を、たしか昨年熊本での学会の前に聞いておいたはずだったのだが、何故かぼくの携帯には登録されていない。WSでは、ぼくが最初に発表にすることになっていた。さて、困ったぞ。でもどうしようもない。幸い、運転手さんの必死の努力で名古屋には8時35分に到着した。「よし!間に合うぞ」 しかし、学会場の「名古屋国際会議場」は遠かった。今考えると、JRで金山まで行ってしまえばよかったのだが、地下鉄・桜通線→名城線乗り換えで、西高蔵下車。走って走って会場入りしWSの部屋に着いたのは、9時を15分ほど過ぎていた。ごめんなさいね。みなさま。

WSは「小児科診療にユーモアの心を」というタイトルの集まり。
ぼくは、この4月19日(土)に開催した「こども寄席」の模様を15分のビデオに編集してDVDで流した。そこそこ受けた。よかった(^^;;

このWSで印象に残ったのは、福岡県久留米市で開業する吉永陽一郎先生の言葉だ。

「診察室に入ってきたおかあさんのヘアスタイルが変わったことに気づいたら、必ず褒めます。今の子育てに忙しいおかあさんは、ふだん大人と喋る機会が案外ないんじゃないかと思うんですね。だから僕は、診察室ではとにかくおかあさんとよく話します。そうすると、そのおかあさんが、『この人だったら、こんなこと言ってもいいかな』って、心を開いてくれるかもしれないですから。それから、ぼくは診察が終わると子供を抱っこするんですよ。小児科医だからこそできる楽しみですよね」

  すごいなぁ。ぼくにはとても真似できない。
佐々木先生が最後に「小児科の日々の診療時間を、もっと毎日楽しんでほしい」そう仰った。とっても大切なことだ。日々なんとなく外来診療を続けていた僕なんかは、ただただ反省するばかり。これからは、もっと気持をゆったり持って、小児科診療を楽しんでみよう。

■夕方、学会場を後に一人ナゴヤドームへ向かう。ナイターで「中日・広島戦」を観戦するためだ。じつは、妻子も朝7時発の高速バスに乗って名古屋入りして球場で待ち合わせたのだ。試合は3対4で中日が負けてしまったが、白熱するいい試合だった。ドームにこだまする応援の大歓声とか、やっぱり「ナマ」の迫力は違うなあ。



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北原こどもクリニック